『クリスマスを探偵と』/伊坂幸太郎(文)・マヌエーレ・フィオール(絵) 〇

伊坂幸太郎さんが大学一年生の時に書いた短編小説をもとに、挿絵を入れ〈クリスマスのプレゼント〉に出来る形にした、伊坂風〈聖夜の奇跡〉の物語。
絵本という形でありますが、大人にも読み応えある『クリスマスを探偵と』、軽めの会話にこっそり張り巡らされる伏線、その回収の鮮やかさに、やっぱり伊坂さんだよねぇ、と嬉しくなりました。

先ほど、大人にも読み応えあると書きましたが、どっちかというと子供向けではない・・・と言えるんじゃないでしょうか(笑)。というのも「サンタクロースはいない」とか「父親の浮気調査」とか、小さいお子さん向けじゃない話題がチラホラ・・・でしたね(笑)。

クリスマスの夜、ある男を尾行する探偵・カール。尾行していた男が大きな屋敷に入ったのを見届け、見張りをしようと近くの公園に入ると、若い男がいて二人の会話が始まる。
お互いの仕事についてや今日がクリスマスであることからクリスマスの苦い思い出を語り合ううちに、若い男はクリスマスに関わる諸説と絡めて、カールの苦い思い出にこじつけのような気休めのような解釈を付ける。それに納得できず反論をするカールに、新たな解釈を差し出す若い男。
そして、屋敷から出てきた男の扮装が「サンタクロース」だったことから、若い男の解釈もあながち・・・?
~~サンタクロースにも休憩があるんだな~~(本文より引用)

会話に紛れ込む、ちょっとした伏線。それを鮮やかに回収して、そしてカールの「家族へのわだかまり」がふっと薄れる瞬間が訪れ、そして読者がニンマリするオチが来る。
いやぁ、伊坂さんらしいですねぇ♪
自転の関係で、一日は二十四時間ではなく三十一時間使えるサンタクロースが羨ましくなりました(笑)。

頑なに自分が持っている情報や思い込みだけで物事をとらえるのではなく、こじつけでも気休めでも別の解釈が全くの他人からそっと差し出され、それを受け入れることが出来そう…という展開がなんというか、クリスマスらしい温かさがあって良かったです。
それと、サンタクロースやトナカイの諸説も面白かったですね。

柔らかな光があふれる挿絵も、良かったです。公園の暗がりであっても、月明かりや周囲の家の灯りでふわっと明るい。男二人でベンチに並んで会話してるなんて、一歩間違えばサスペンス調になってしまうところが(なんせ一人は探偵、もう一人は詳細不明)、ファンタジーに感じられました。
そう、柔らかく明るいけれど、甘ったるい感じはしないのが、物語ととても合ってましたね。
「探偵」「クリスマス」「サンタクロース」「親子」・・・、ほっとして優しい気持ちになり、そしてちょっとニヤッとできる、楽しい物語でした。

(2018.010.06 読了)

※最近、トラックバックが出来ないブログサイトが増えてきました(T_T)。
ブロガーさんにご許可頂いたレビューをご紹介します♪
☆おすすめです!☆

クリスマスを探偵と [ 伊坂 幸太郎 ]
楽天ブックス
伊坂 幸太郎 マヌエーレ・フィオール 河出書房新社BKSCPN_【bookーfestivalーthr


楽天市場


"『クリスマスを探偵と』/伊坂幸太郎(文)・マヌエーレ・フィオール(絵) 〇" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント