『負けるもんか ~正義のセ~』/阿川佐和子 〇

シリーズ当初「融通キカンチン」と称され、猪突猛進新人検事だった凛々子も6年目を迎え、尼崎支部の筆頭検事として、忙しい日々を送っている。
阿川佐和子さんの〈正義のセ〉シリーズ4冊目です。
『負けるもんか ~正義のセ~』、本作では凛々子の検事としてというか人間的な部分での成長が、鮮やかに描かれていました。

甲子園球場近くの官舎に住む凛々子は、ある日思い立って阪神戦を観に行き、そこで尼崎北警察署の110番担当の三上虎子と意気投合する。
また別の日には、同じく尼崎北署の刑事・青井文彦から、市立医大で起こった女性職員転落事故についての相談を受ける。そして尼崎支所に入った、市立医大と医療機器会社の癒着に関する内部告発文書の担当を命じられた凛々子は、青井と協力しながら、調査を始めるが・・・。

凛々子が担当した内部告発の調査に関しては、証拠不十分で起訴は保留、本庁預かりになってしまう。
しかし、北海道で同じ医療機器会社と大学病院の癒着が発覚、そちらに応援として呼ばれ、検事としての本領を発揮し、硬軟併せた取り調べをもって事態解明に努め、無事に起訴へ持って行くことが出来た。

仕事では、こんな感じにバリバリと働いていた凛々子だけれど、じつはプライベートで知り合ったイケメン俳優の「検事のことを教えて欲しい」と言われ、何度か会って思わせぶりな態度をとられて振り回されてしまったり、妹が婚約者と仲違いしたことに安堵する自分にモヤモヤしたり、前シリーズから凛々子に熱を上げ続けている神蔵からしょっちゅうメールが来たり、お年頃の女性なのである。三十路入りすると、色々あるよねぇ。

そして、担当事務官の榎戸との見事なコンビぶり、青井刑事との連携、虎子との友情。なんというか、すごく人間関係が上手くなりましたねぇ、凛々子。上手いって言うとなんだか悪い意味みたいになってしまうけど、真摯に仕事に取り組み、情に篤く人と付き合える、凛々子の人徳ですねぇ。
そういう凛々子だから、神蔵も惚れこんじゃってるんでしょう。

その神蔵、相変わらず全くもって報われてませんけど(笑)。でも、確かに重厚さというか渋さはないけど、誠実でいい人だと思うけどなぁ。たぶん、育ちもいいんだと思んですよ。とはいえ、神蔵の妻として家庭に納まっちゃう凛々子は想像つかないし、とはいえDINKSって言うのもなんとなく違う気がするし・・・。この二人、結構難しいなぁ。
ラストの神蔵の「諦めて、待つ」宣言に、ちょっとときめきました。

しかし、腹立つわぁ、イケメン俳優・朝見。初対面の日にキスしたり、夜遅くに一人暮らしの女性の部屋に来たりして、甘ったるいこと言ったりして、うさんくさい・・・。で、ちょっと連絡してこないと思ったら、モデルとデキ婚とか、なめてんのかしら。
その経験もエネルギーに変えてやる!という凛々子の心意気、ホントに素晴らしい!その心意気が、本作のタイトルになってるんですよね!
こういうバリバリ働く女子、大好きですよ、私。
これからもきっと、いろいろな事件や身の回りの出来事と巡り合い、ぶつかったりくじけたり、でもきっと立ち上がって乗り越えていくんだろうと思います。そのバイタリティと気持ちの熱さ、頭脳戦もできるようになって、一生懸命働く凛々子の物語、また読めたら嬉しいなぁ、と思います。

(2018.12.14 読了)

『正義のセ』
『正義のセ 2』
『正義のセ 3』
『負けるもんか ~正義のセ~』 本稿


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