『八咫烏外伝 烏百花 ~蛍の章~』/阿部智里 ◎

阿倍智里さんの〈八咫烏世界〉シリーズの、各長編の合間にあった、愛の物語6編。
それぞれにとっての愛が、美しく力強く、描かれてていました。素晴らしかったです。
『八咫烏外伝 烏百花 ~蛍の章~』ってことは、他にも短編集が出るという認識でよろしいでしょうか。
是非に、こういう本編とは別のサイドから描かれる物語も読みたいので、期待して待ってます!

「しのぶひと」
真赭の薄に押し寄せる縁談、最有力候補は雪哉だったが。
「すみのさくら」
浜木綿が南家を放逐されていた、子供の頃の話。
「まつばちりて」
落女(女性殿上人)・松韻の生涯にあった愛。
「ふゆきにおもう」
雪哉の実母・冬木と育ての母・梓、雪哉の子供時代。
「ゆきやのせみ」
誤認逮捕された若宮と澄尾を救った雪哉が、そのあと・・・。
「わらうひと」
真赭の薄と澄尾の間にあるもの。

私が『烏に単は似合わない』の時から大好きだった、真赭の薄。賢く美しく、度胸もあり、何より金烏夫妻を大事に思う気持ちの強さをもった、素晴らしい女性ですよね。
その彼女の心にあるのは、金烏夫妻に仕え、山内の平和と安泰を願うという、確固とした高い志。
それでも、澄尾の気持ちは嬉しく思うし、真剣に返答するその誠実さに、本当に心打たれましたねぇ。
いつか、彼女と澄尾が、すべてから解き放たれて、幸せな日々が送れるようになったらいいと、願ってやみません。

愛の物語6つ、と書きましたが、「ゆきやのせみ」が〈愛〉をテーマにしているのかというと、どうなんでしょうか(笑)。主従愛ってことでいいですかな(笑)。
喰い逃げの冤罪で捕まった、若宮と澄尾を鮮やかに救出したまでは良かったけれど、南家に追われて山道に逃げ込んだ若宮と雪哉を待っていたのは、〈空腹〉であった・・・。
若宮の「とれた……」から始まるその騒動は、雪哉の面差しを変えたという・・・。
いや・・・生はアカン、生は・・・。生じゃなくても蝉はアカン・・・・。
この主従のテンポ良い会話と、雪哉のモノローグが読んでいて、泣き笑いしそになりましたよ。
こういうことが色々あって、雪哉は大人になっていったんだなぁ(笑)。ガンバレ、雪哉。

「ふゆきにおもう」の雪哉の実母・冬木の、病弱ながら賢く芯の通った強さ、そしてただ一度の恋にすべてを擲って嫁いだあとの、実家と夫の仕打ち、かつて自分の侍女であった梓の側室入りと長男誕生・・・、そして雪哉を生んで亡くなったこと。彼女の取った行動が理解されないままだったのが、雪哉とその弟の失踪を期に、梓の知るところとなって、梓が〈自分たちは一つの家族なのだ〉と再確認できたのが、本当によかったです。

「まつばちりて」の落女・松韻の生涯の物語も、とても凛として美しかったと思います。
女性であることを辞め、男に交じって殿上人として働き、研鑽を積んでいた彼女が、忍熊に与えられた愛情。経緯はどうあれ、お互いがお互いを思っての結末は悲しいものだったけれども、とても美しかったと思います。

さて、次は本編第二部開始でしょうか。ますます楽しみです。

(2019.03.04 読了)

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