『熱帯』/森見登美彦 ◎

著者である森見登美彦さん本人が、帯でこう謳っている。
~~我ながら呆れるような怪作である~~(本作帯より引用)
うん、ワタクシ、超絶迷子になりながら読んでおりましたともさ、我らがモリミーよ。
本作は、とある『熱帯』での冒険譚・・・ではなくて、え~と・・・何と説明したらいいかよくわかりません(笑)。
入れ子構造だったり、ループしながらパラレルしてたり、モリミー作品おなじみのアイテムや場所が登場したり、色々と忙しく難解で、それでいて〈物語好き〉にはたまらない魅力が溢れまくってました!

冒頭、「執筆活動が停滞している作家・森見氏」が出てくる。
森見氏は、学生時代に読みかけて見失ってしまった『熱帯』という小説のことを思い出し、東京での編集者との打ち合わせの場でそのことを口にする。
その後、昔の職場の同僚と落ち合い、とある読書会に参加すると、参加者の中に『熱帯』を持っている若い女性が居た・・・。

その女性・白石さんは、『熱帯』について話し合う「学団」というグループに参加しているのだが、その「学団」のメンバー・千夜さんが失踪し、更に千夜さんを追って行った別のメンバー・池内氏とも連絡が取れなくなる。池内氏から白石さんあてに『熱帯』に関する覚書のノートが届き、白石さんは池内氏を追い京都へ向かう新幹線内で、そのノートを読み始める・・・。

ノートに書かれた白石氏の言伝から、いつしか文章は『熱帯』そのものになっており、しかも架空の世界であるはずのその群島には京都に実在する喫茶店や骨董店が見え隠れし、そして『熱帯』著者である佐山尚一も主人公・記憶を失った男であるネモ君も登場し、自在に物語を動かし始める。

池内氏の言伝(白石さんへの手紙?)がずいぶん長いな~と思ってるうちに『熱帯』にすり替わり、「学団」のメンバーが語りつくした範囲を超えて、それはもう事細かに語られて行った辺りで、もう私は迷子になってましたね。
「ちょっと待て、これを語ってるのは、もう白石氏ではないのか?」「ネモ君の正体とは?」「達磨が出てきた!」「千夜さんのお父さんが魔王?!」「佐山尚一は複数いる??」・・・・。
様々な疑問や驚き、感嘆がぐるぐる渦巻き、一つ一つを整理する時間すら惜しくなり、グイグイと読んでいくうちに更に謎が降りかかってきて、もう、しっちゃかめっちゃか(笑)。
誰が語っているのか、それは『熱帯』なのか『千一夜物語』なのか、作中内の現実と並行世界との区別すらあやふやになっているのに、読んでる私自身の虚実の境界も微妙な感覚に落とされ、そして「え~いもう、かまうもんか!」と乱暴に読み進める(笑)。

読み終えて、ぽか~ん(笑)。
モリミーどこ行った~!!(笑)。
パラレルワールドなのはいい。ハッピーエンドではないにしろ、佐山氏の『熱帯』体験は、一通りの結末を迎えたということなのでしょう。
語り継がれ、結末を求められ続けた物語は、閉じたようです。
で、「沈黙読書会」に参加してたはずのモリミーが、消えちゃいましたよ。
あらぁ・・・私はこっちの世界は困るわぁ。モリミーがいない世界は、困る(笑)。
森見作品が読めなくなったら、つまらないですもの!!
これは、物語の世界だけであって欲しい現象ですな。

すみません、全然まともな感想書けてませんね(^^;)。
「・・・怪作なんだから、仕方ない。」ってことにしておいてください。
京都や達磨や四畳半、物語の迷走や、個性的な語り口を持つ人々、様々な物事・人物・事象が入り乱れ、すべてが伏線で・・・、とてもモリミーらしい作品でした。 
ニヤリと笑えるエピソード、ついついツッコミを入れてしまうおかしな展開、・・・なのに、登場人物たちの焦燥や不安などが滲み出る、物静かな淋しさが奥底に漂っている感じ、やっぱりモリミー好きだなぁ、私!

(2019.09.19 読了)

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