テーマ:彼岸と此岸の交錯

『密室の如き籠るもの』/三津田信三 ○

土着民俗系ミステリー(注:水無月・R的勝手な分類項目です)の、三津田信三さんの、『◎◎の如き●●もの』シリーズ。本作『密室の如き籠るもの』(みっしつではなくひめむろと読む)は、このシリーズ初の短編集。ただ・・・おしむらく、短編にしたら「土着民俗」な部分が薄まってしまったような・・・。陰鬱~に、じめっとした怨念ぽい感じで怖い、ってのが私的…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『山魔の如き嗤うもの』/三津田信三 ◎

山魔(やまんま)に嗤われたら、終わり・・・。えぇぇぇ!!ちょっと待て、終わりって何?!終わりって!冒頭の郷木靖美(ごうきのぶよし)氏の原稿「忌み山の一夜」からすでに、〈夏にぴったり不穏な怪奇物語♪〉の風味たっぷりだったのですが・・・。相変わらず三津田信三さんの『◎◎の如き●●もの』シリーズ、土着系民俗ホラーの怖ろしさを、遺憾なく発揮して…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『Another』/綾辻行人 ◎

うわぁ・・・。メインの物語は何とか終ったけど、繰り返され続ける「3年3組の災厄」の抜本的解決は出来そうにないという・・・。後味悪ぅ・・・。大体、何が・何故・どうやって・誰が、という理屈が全然、通らないんだもの。クラスに紛れ込む<死者>には一欠けらの悪意 もなく、記憶を操作されている。<現象>としてとらえるしかない、<災厄>。綾辻行人さん…
トラックバック:2
コメント:2

続きを読むread more

『首無の如き祟るもの』/三津田信三 ○

三津田信三さんの『◎◎の如き●●もの』シリーズの第3作目。・・・今まで探偵役だった主人公・刀城言耶(とうじょうげんや)は、途中でちらっと姿を見せたかと思うと、別の怪異の話を聞いた途端、それを追ってつむじ風のように去って行っちゃいました・・・。冒頭の「編者の記」によれば、物語を書いたのは女流推理小説作家・媛之森妙元氏で、刀城言耶氏は媛之森…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『宵山万華鏡』/森見登美彦 ○

京都のお祭り「宵山」の日、幼い姉妹はそれぞれの冒険をし、おバカな「偽祇園祭」は計画&実行され、ある人はひたすら宵山の日を繰り返し、別世界に「宵山様」が存在し・・・。森見登美彦さんが描く、不思議なファンタジーワールドは自在に姿を変え、伸び縮みし、何かを飲み込んだり、放出したりしている。うわぁ~、世界の外側にあるはずの『宵山万華鏡』を覗いて…
トラックバック:8
コメント:12

続きを読むread more

『凶鳥の如き忌むもの』/三津田信三 ○

怪奇幻想小説作家・刀城言耶(とうじょうげんや)が怪異譚を求めて訪れた瀬戸内海の島で、次々と姿を消してゆく〈鳥人の儀〉の立会人達。それは、18年前の〈鳥人の儀〉と相通じるものがあった・・・。『厭魅の如き憑くもの』で禍々しい土着民俗学系ミステリーに遭遇し、怖いけど読みたい!と思った三津田信三さんの、『○○の如き○○もの』シリーズの2冊目です…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

『風神秘抄』/荻原規子 ○

荻原規子さんと言えば、YAファンタジーの女王的存在ですよね。ブログ始めるよりもっと前に『空色勾玉』を始めとする、勾玉シリーズを読んだのですが、少年少女の成長と神話・伝説世界の融合、日本的な背景に描かれる美しい自然、大変清々しい読後感でした。その勾玉シリーズとは一線を画しつつも、流れをくむ物語、『風神秘抄』。 ○○秘抄、と言えば後白河法…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『英雄の書』上・下/宮部みゆき ◎

水無月・Rは物語読みだから、本や図書館(図書室)及び本屋、そしてもちろん物語に関する物語に、とても心惹かれる。そして『英雄の書』もまた、心躍る展開としっかりした世界観、主人公の少女の成長、色々な面で私を惹きつけた。宮部みゆきさんの描く、物語が循環する世界。 上下二巻とも300ページ越えの、超大作である。M市図書館で20人ほど順番待ちを…
トラックバック:6
コメント:8

続きを読むread more

『薬指の標本』/小川洋子 ○

痛い痛い痛いぃ~・・・。すみません、多分小川洋子さんは、痛くない描写をしたと思うんですが、水無月・Rは小心者でして、痛いのは苦手なのですよ・・・。主人公・私の薬指の先端を失ったそのいきさつのシーンが、現実味が薄かったのに、なんか自分の身に置き換えてしまって、痛くて痛くて・・・。サイダーを桃色に染めて落ちてゆく肉片・・・キャー、勘弁してく…
トラックバック:2
コメント:4

続きを読むread more

『f植物園の巣穴』/梨木香歩 ◎

この心地よいまでの、心もとなさ。何かがおかしいと思いつつ、どこからどうズレてしまったか分からない、現実と幻想の合間を漂いゆくかのような、浮遊感。やっぱりイイですねぇ~、梨木香歩さん。f郷にある植物園に勤める男が、ある日ふと、違和感に気付く。そこから『f植物園の巣穴』という、不可思議な物語が始まる。ううむ・・・今回も、まともなことが書けそ…
トラックバック:5
コメント:8

続きを読むread more

『厭魅の如き憑くもの』/三津田信三 ◎

お・・・おどろおどろしいぃ~。戦後間もなくの混乱期、とある山の奥にある、神々櫛村に続く殺人事件。同じ姿をした、村の守り神「カカシ様」と忌むべき存在「厭魅(まじもの)」。代々、美しい女性双生児の続く、憑きもの落としの巫女家系。 民俗学とホラーが融合した、異様な世界。・・・こういう怖さは、たまらない。逃げたくても、いつの間にかぴったりと背…
トラックバック:3
コメント:6

続きを読むread more

『四とそれ以上の国』/いしいしんじ ○

う~わ~、難しかったぁ・・・。着地点の見えない展開、そしてオチのない終わり。迂遠で、曖昧で、象徴的な、何か。こう・・・背中がぞわぞわとするような、何かが蠢いているような、落ち着かない気配。たった一文字の章題も、なんとも不安感をそそる。いしいしんじさんは、結構当たり外れが(水無月・Rとしては)あります。ハマった時はとんでもなく心奪われてし…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『大人のための怪奇掌編』/倉橋由美子 ◎

倉橋由美子さんは、2005年に没している。 不条理な幻想色の強いファンタジー、シニカルなエロス、ギリシャ神話や日本神道神話など神の実在化など、怖ろしくも美しい、ダークな世界を描いてこれほど綺麗にはまる作家を、私は他に知らない。 背後にある血の匂い、暗黒を秘めた灯り、だが表面は、サラサラとしている。まさに、『大人のための怪奇掌編』であ…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『きのうの世界』/恩田陸 ◎

―― 以前、こんなことを書いた気がする。「恩田陸は、しんしんと怖い」と。本作『きのうの世界』は、しんしんと怖いというより、不穏だ・・・。とにかく、不穏。何かを隠して、忘れている町。一人の余所者がそこで殺され、そこから様々な謎が巡り廻り、不可思議な現象が起き、そして隠された町の真実が明らかになる。 2人称、3人称(彼・彼女・固有の名前)…
トラックバック:7
コメント:7

続きを読むread more

『草祭』/恒川光太郎 ◎

恒川光太郎さんの描く異界。それは、怖ろしくも美しい、そしてどこにでも存在していそうな、現実世界と微妙にズレた、怪しい世界。恒川さんには、彼岸と此岸の境目が見えているに違いない、と思う。その常人には感知できない境界線を知っているからこそ、あの世界を表現できるのだろう。本作『草祭』も、その恒川さんの本領発揮、引き寄せる異界と溶けゆく現実が、…
トラックバック:3
コメント:4

続きを読むread more

『深泥丘奇談』/綾辻行人 ◎

―――これは、すごいわ。じわじわと忍び寄り、いつの間にか入れ換わっている異界。激しい眩暈に見舞われた主人公の作家が今いるのは、昔から知っているの「深泥丘」なのか?綾辻行人さんの本業は、本格ミステリですが、こちら『深泥丘奇談』は怪奇幻想譚といった趣。その妖しい世界は、水無月・Rの心をガッチリ掴んでしまいました・・・!! すみません、今年…
トラックバック:2
コメント:2

続きを読むread more

『沼地のある森を抜けて』/梨木香歩 ○

あれ?今まで私が読んできた梨木香歩さんの作品とは、何かが違う感じがする。少々湿度の高い、美しい情緒のある世界は、同じ雰囲気。けれどこの『沼地のある森をぬけて』は、梨木作品特有の突き詰めてくる痛みや悔恨がない。いや、在るのかも知れないが、私には迫ってこない。いつも梨木作品から迫ってくる、あの痛みから逃げ惑っていた私には、ちょっと安心。 …
トラックバック:5
コメント:9

続きを読むread more

『きつねのはなし』/森見登美彦 ○

これは・・・判断が難しいな~。たぶんね、この物語を最初に読んだら、森見登美彦さんにはハマらなかったような気がします。私的には、愛と笑いとツッコミ処にあふれる、モリミーワールドが好きなので・・・。良くも悪くも京都な物語、って印象ですねぇ。魑魅魍魎・・・しかもダークなほうで。 『きつねのはなし』には「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」…
トラックバック:12
コメント:13

続きを読むread more

『雷の季節の終わりに』/恒川光太郎 ◎

これはいい作品だ~。なんだろう、こう、ひたひたと忍び寄ってくる、そこはかとない、怖さ。すぐ後ろに、闇がわだかまっている。今にも、「ひと」を呑み込もうと。いや、飲み込まれるのは人なのか。世界はすでに、呑み込まれているのではないか。彼岸と此岸の境は、曖昧だが、明らかにある。恒川光太郎さんは、常人には見えぬその境目が、見えているのではないか。…
トラックバック:10
コメント:14

続きを読むread more

『秋の牢獄』/恒川光太郎 ◎

背後を、闇を纏った「何か」が通り抜けたような、密やかな悪寒がした。・・・これは、本当のホラーだ。ホラーだけれど、ただ恐怖を煽るというのではなく、しんしんと降りつもる仄かな寂しさを湛え、「ひと」の心を静かな暗がりに捕えて離さない。・・・何をカッコつけてるのかって?いや、そうじゃないんですってば!ホント、これは、すごいですよ。ガンガン恐怖を…
トラックバック:8
コメント:14

続きを読むread more

『みずうみ』/いしいじんじ ◎

ひそやかに水をたたえる、静かな『みずうみ』の物語。こういう、静謐な感じの漂う物語って、大好き・・・。コポリ、コポリ・・・と、月に1度あふれ、村を潤す、みずうみ。村の家々には、水の眠りをただよう人が必ず1人ずついる。みずうみから水があふれる日、眠り続ける人も口から水を溢れあふれさせながら、様々なとりとめのない話を、語る。語り手・ぼくは一家…
トラックバック:2
コメント:4

続きを読むread more

『あめふらし』/長野まゆみ ◎

読み始め、あれ・・・?なんか知ってるぞ、市村…と思ったら、やはり『よろづ春夏冬中』の市村兄弟の弟じゃありませんか。あの、ちょっととぼけた、異界モノを引き寄せちゃう体質の。市村・弟くん、今回も困った?立場に立たされるのですが、相変わらず飄々と流されていきます。私、こういうキャラクター好きだなぁ。妖物に取り囲まれて困ってるのに、なぜか天然ボ…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

『村田エフェンディ滞土録』/梨木香歩 ◎

ブログを始めて、読むようになった作家、梨木香歩さんの作品です。流れるような美しい文章を書かれる作家さんですよね~。こういう美しい文章は、いいなぁ。読んでいて、安心感がとってもある。以前読んで、非常に感銘を受けた、『家守綺譚』 に出てくる「土耳古(トルコ)へ招聘された学者」が、主人公の村田さんな訳です。その村田さんの「土耳古日記」が本書、…
トラックバック:5
コメント:8

続きを読むread more

『家守綺奇譚』/梨木香歩 ◎

湖で行方を断った親友の実家の管理を任された、物書きの私・綿貫征四郎。引っ越してすぐに、床の間の掛け軸の絵から親友・高堂があらわれる。高堂は、庭のサルスベリが私に懸想をしているという。そこから、私の植物にからむ物語が短編連作で始まる。 『家守綺譚』は、水無月・R好みの作品だ。梨木香歩は『りかさん』を読んだことがあるぐらいなのだが、こうい…
トラックバック:5
コメント:8

続きを読むread more

『夜市』/恒川光太郎 ◎

異界とつながる『夜市』では、なんでも手に入る。が、何かを買わないと、そこから出られない。少年時代、弟と2人でそこに迷い込んだが買う金を持たず、弟を売って「野球の才能」を買い、逃れた男が再び「夜市」に入り、自分を売って弟を買うというが・・・。 かの昔弟を買った「人買い」が、男を騙し、偽の少年を売りつけようとする。が、それを看破し、「夜市…
トラックバック:3
コメント:8

続きを読むread more

『エンド・ゲーム』/恩田陸 ◎

『エンド・ゲーム』/恩田陸は、『常野物語』の三冊目。『光の帝国』に出てきた、「裏返す能力」拝島家の物語。 父は十数年前に失踪し、母は旅先で意識不明になり、娘は「洗濯屋」に導かれて、父と母のところへ辿り着くが。母の能力の秘密、そして自分が「ハイブリット」であるという事実、父の失踪の真相、そして仕組まれた「本当」を隠す仕組み・・・。前半は…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『蒲公英草紙』恩田陸 ◎

「常野物語」の2冊目。『光の帝国』に出てきた、「仕舞う」能力の春田家の過去の物語。文句なしに面白い。物語を進めていく少女は「常野」一族ではないが、自分のであった出来事を『蒲公英草紙』として記す。『蒲公英草紙』では、著者恩田陸は、この少女の視点から、「常野」を描く。 日清戦争後の日本の田園で起こる、「常野」の物語。村の長(おさ)的一族と…
トラックバック:2
コメント:4

続きを読むread more

『光の帝国』恩田陸 ◎

常に野にあれ、と自らを律していたという様々な不思議な能力を持つ一族、「常野」。その、様々な能力を物語る短編集、『光の帝国』は、恩田陸らしさの際立っている作品である。 様々な能力は、何のためにあるのか。「常野」の人々は、何を目指しているのか。どんな歴史に翻弄されているのか。明かされないまま、物語は展開していく。 『光の帝国』では、ほと…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more