テーマ:彼岸と此岸の交錯

『宵山万華鏡』/森見登美彦 ○

京都のお祭り「宵山」の日、幼い姉妹はそれぞれの冒険をし、おバカな「偽祇園祭」は計画&実行され、ある人はひたすら宵山の日を繰り返し、別世界に「宵山様」が存在し・・・。 森見登美彦さんが描く、不思議なファンタジーワールドは自在に姿を変え、伸び縮みし、何かを飲み込んだり、放出したりしている。 うわぁ~、世界の外側にあるはずの『宵山万華鏡』…
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『凶鳥の如き忌むもの』/三津田信三 ○

怪奇幻想小説作家・刀城言耶(とうじょうげんや)が怪異譚を求めて訪れた瀬戸内海の島で、次々と姿を消してゆく〈鳥人の儀〉の立会人達。それは、18年前の〈鳥人の儀〉と相通じるものがあった・・・。 『厭魅の如き憑くもの』で禍々しい土着民俗学系ミステリーに遭遇し、怖いけど読みたい!と思った三津田信三さんの、『○○の如き○○もの』シリーズの2冊目…
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『風神秘抄』/荻原規子 ○

荻原規子さんと言えば、YAファンタジーの女王的存在ですよね。 ブログ始めるよりもっと前に『空色勾玉』を始めとする、勾玉シリーズを読んだのですが、少年少女の成長と神話・伝説世界の融合、日本的な背景に描かれる美しい自然、大変清々しい読後感でした。 その勾玉シリーズとは一線を画しつつも、流れをくむ物語、『風神秘抄』。 ○○秘抄、と言…
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『英雄の書』上・下/宮部みゆき ◎

水無月・Rは物語読みだから、本や図書館(図書室)及び本屋、そしてもちろん物語に関する物語に、とても心惹かれる。 そして『英雄の書』もまた、心躍る展開としっかりした世界観、主人公の少女の成長、色々な面で私を惹きつけた。 宮部みゆきさんの描く、物語が循環する世界。 上下二巻とも300ページ越えの、超大作である。M市図書館で20人ほ…
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『薬指の標本』/小川洋子 ○

痛い痛い痛いぃ~・・・。 すみません、多分小川洋子さんは、痛くない描写をしたと思うんですが、水無月・Rは小心者でして、痛いのは苦手なのですよ・・・。主人公・私の薬指の先端を失ったそのいきさつのシーンが、現実味が薄かったのに、なんか自分の身に置き換えてしまって、痛くて痛くて・・・。サイダーを桃色に染めて落ちてゆく肉片・・・キャー、勘弁し…
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『f植物園の巣穴』/梨木香歩 ◎

この心地よいまでの、心もとなさ。 何かがおかしいと思いつつ、どこからどうズレてしまったか分からない、現実と幻想の合間を漂いゆくかのような、浮遊感。 やっぱりイイですねぇ~、梨木香歩さん。 f郷にある植物園に勤める男が、ある日ふと、違和感に気付く。 そこから『f植物園の巣穴』という、不可思議な物語が始まる。 ううむ・・・今回も、…
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『厭魅の如き憑くもの』/三津田信三 ◎

お・・・おどろおどろしいぃ~。 戦後間もなくの混乱期、とある山の奥にある、神々櫛村に続く殺人事件。同じ姿をした、村の守り神「カカシ様」と忌むべき存在「厭魅(まじもの)」。代々、美しい女性双生児の続く、憑きもの落としの巫女家系。 民俗学とホラーが融合した、異様な世界。・・・こういう怖さは、たまらない。逃げたくても、いつの間にかぴっ…
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『四とそれ以上の国』/いしいしんじ ○

う~わ~、難しかったぁ・・・。着地点の見えない展開、そしてオチのない終わり。迂遠で、曖昧で、象徴的な、何か。こう・・・背中がぞわぞわとするような、何かが蠢いているような、落ち着かない気配。たった一文字の章題も、なんとも不安感をそそる。いしいしんじさんは、結構当たり外れが(水無月・Rとしては)あります。ハマった時はとんでもなく心奪われてし…
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『大人のための怪奇掌編』/倉橋由美子 ◎

倉橋由美子さんは、2005年に没している。 不条理な幻想色の強いファンタジー、シニカルなエロス、ギリシャ神話や日本神道神話など神の実在化など、怖ろしくも美しい、ダークな世界を描いてこれほど綺麗にはまる作家を、私は他に知らない。 背後にある血の匂い、暗黒を秘めた灯り、だが表面は、サラサラとしている。まさに、『大人のための怪奇掌編』であ…
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『きのうの世界』/恩田陸 ◎

―― 昔、こんなことを書いた気がする。 「恩田陸は、しんしんと怖い」と。 本作『きのうの世界』は、しんしんと怖いというより、不穏だ・・・。 とにかく、不穏。 何かを隠して、忘れている町。一人の余所者がそこで殺され、そこから様々な謎が巡り廻り、不可思議な現象が起き、そして隠された町の真実が明らかになる。 2人称、3人称(彼・…
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『草祭』/恒川光太郎 ◎

恒川光太郎さんの描く異界。 それは、怖ろしくも美しい、そしてどこにでも存在していそうな、現実世界と微妙にズレた、怪しい世界。 恒川さんには、彼岸と此岸の境目が見えているに違いない、と思う。その常人には感知できない境界線を知っているからこそ、あの世界を表現できるのだろう。 本作『草祭』も、その恒川さんの本領発揮、引き寄せる異界と溶け…
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『深泥丘奇談』/綾辻行人 ◎

―――これは、すごいわ。 じわじわと忍び寄り、いつの間にか入れ換わっている異界。激しい眩暈に見舞われた主人公の作家が今いるのは、昔から知っているの「深泥丘」なのか? 綾辻行人さんの本業は、本格ミステリですが、こちら『深泥丘奇談』は怪奇幻想譚といった趣。 その妖しい世界は、水無月・Rの心をガッチリ掴んでしまいました・・・!! …
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『沼地のある森を抜けて』/梨木香歩 ○

あれ?今まで私が読んできた梨木香歩さんの作品とは、何かが違う感じがする。 少々湿度の高い、美しい情緒のある世界は、同じ雰囲気。 けれどこの『沼地のある森をぬけて』は、梨木作品特有の突き詰めてくる痛みや悔恨がない。いや、在るのかも知れないが、私には迫ってこない。いつも梨木作品から迫ってくる、あの痛みから逃げ惑っていた私には、ちょっと安…
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『きつねのはなし』/森見登美彦 ○

これは・・・判断が難しいな~。たぶんね、この物語を最初に読んだら、森見登美彦さんにはハマらなかったような気がします。私的には、愛と笑いとツッコミ処にあふれる、モリミーワールドが好きなので・・・。 良くも悪くも京都な物語、って印象ですねぇ。魑魅魍魎・・・しかもダークなほうで。 『きつねのはなし』には「きつねのはなし」「果実の中の龍…
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『雷の季節の終わりに』/恒川光太郎 ◎

これはいい作品だ~。なんだろう、こう、ひたひたと忍び寄ってくる、そこはかとない、怖さ。すぐ後ろに、闇がわだかまっている。今にも、「ひと」を呑み込もうと。いや、飲み込まれるのは人なのか。世界はすでに、呑み込まれているのではないか。彼岸と此岸の境は、曖昧だが、明らかにある。恒川光太郎さんは、常人には見えぬその境目が、見えているのではないか。…
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『秋の牢獄』/恒川光太郎 ◎

背後を、闇を纏った「何か」が通り抜けたような、密やかな悪寒がした。 ・・・これは、本当のホラーだ。ホラーだけれど、ただ恐怖を煽るというのではなく、しんしんと降りつもる仄かな寂しさを湛え、「ひと」の心を静かな暗がりに捕えて離さない。 ・・・何をカッコつけてるのかって?いや、そうじゃないんですってば!ホント、これは、すごいですよ。ガンガ…
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『みずうみ』/いしいじんじ ◎

ひそやかに水をたたえる、静かな『みずうみ』の物語。こういう、静謐な感じの漂う物語って、大好き・・・。 コポリ、コポリ・・・と、月に1度あふれ、村を潤す、みずうみ。村の家には、水の眠りをただよう人が必ず1人ずついる。みずうみから水があふれる日、眠り続ける人も口から水を溢れあふれさせながら、様々なとりとめのない話を、語る。語り手・ぼくは一…
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『あめふらし』/長野まゆみ ◎

読み始め、あれ・・・?なんか知ってるぞ、市村…と思ったら、やはり『よろづ春夏冬中』の市村兄弟の弟じゃありませんか。あの、ちょっととぼけた、異界モノを引き寄せちゃう体質の。 市村・弟くん、今回も困った?立場に立たされるのですが、相変わらず飄々と流されていきます。私、こういうキャラクター好きだなぁ。妖物に取り囲まれて困ってるのに、なぜか天…
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『村田エフェンディ滞土録』/梨木香歩 ◎

ブログを始めて、読むようになった作家、梨木香歩さんの作品です。流れるような美しい文章を書かれる作家さんですよね~。こういう美しい文章は、いいなぁ。読んでいて、安心感がとってもある。以前読んで、非常に感銘を受けた、『家守綺譚』 に出てくる「土耳古(トルコ)へ招聘された学者」が、主人公の村田さんな訳です。その村田さんの「土耳古日記」が本書、…
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『家守綺奇譚』/梨木香歩 ◎

湖で行方を断った親友の実家の管理を任された、物書きの私・綿貫征四郎。引っ越してすぐに、床の間の掛け軸の絵から親友・高堂があらわれる。高堂は、庭のサルスベリが私に懸想をしているという。そこから、私の植物にからむ物語が短編連作で始まる。 『家守綺譚』は、水無月・R好みの作品だ。 梨木香歩は『りかさん』を読んだことがあるぐらいなのだが…
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『夜市』/恒川光太郎 ◎

異界とつながる『夜市』では、なんでも手に入る。が、何かを買わないと、そこから出られない。 少年時代、弟と2人でそこに迷い込んだが買う金を持たず、弟を売って「野球の才能」を買い、逃れた男が再び「夜市」に入り、自分を売って弟を買うというが・・・。 かの昔弟を買った「人買い」が、男を騙し、偽の少年を売りつけようとする。が、それを看破し…
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『エンド・ゲーム』/恩田陸 ◎

『エンド・ゲーム』/恩田陸は、『常野物語』の三冊目。『光の帝国』に出てきた、「裏返す能力」拝島家の物語。 父は十数年前に失踪し、母は旅先で意識不明になり、娘は「洗濯屋」に導かれて、父と母のところへ辿り着くが。母の能力の秘密、そして自分が「ハイブリット」であるという事実、父の失踪の真相、そして仕組まれた「本当」を隠す仕組み・・・。 …
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『蒲公英草紙』恩田陸 ◎

「常野物語」の2冊目。『光の帝国』に出てきた、「仕舞う」能力の春田家の過去の物語。文句なしに面白い。 物語を進めていく少女は「常野」一族ではないが、自分のであった出来事を『蒲公英草紙』として記す。『蒲公英草紙』では、著者恩田陸は、この少女の視点から、「常野」を描く。 日清戦争後の日本の田園で起こる、「常野」の物語。村の長(…
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『光の帝国』恩田陸 ◎

常に野にあれ、と自らを律していたという様々な不思議な能力を持つ一族、「常野」。その、様々な能力を物語る短編集、『光の帝国』は、恩田陸らしさの際立っている作品である。 様々な能力は、何のためにあるのか。「常野」の人々は、何を目指しているのか。どんな歴史に翻弄されているのか。明かされないまま、物語は展開していく。 『光の帝国』で…
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