テーマ:彼岸と此岸の交錯

『異形のものたち』/小池真理子 〇

『怪談』を読んだ時に「小池真理子さんならドロドロの恋愛ものの方が好きかも」とか言ってたにも関わらず、本作『異形のものたち』も、ホラー系です(^^;)。書評や帯の惹句に仄昏いものを感じると、ついつい〈読みたい本リスト〉入りさせちゃうんですよねぇ、私(笑)。 『怪談』同様に、物語の人物たちは切実な恐ろしさを体験しているのに、読んでいる私は…
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『私の頭が正常であったなら』/山白朝子 〇

山白朝子さんの作品というと、『エムブリヲ奇譚』などの〈エムブリヲ奇譚シリーズ〉の和風幻想譚のイメージが強いので、本作『私の頭が正常であったなら』は、ちょっと意外でした。「現実世界にちょっとだけ不思議な現象が紛れ込んでいる」感じでした。 でも、その「ちょっとだけ不思議な現象」は確かに「ちょっとだけ」なのに、私たちの知ってる現実の裏側にあ…
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『死国』/坂東眞砂子 ◎

いやもう何というか、坂東眞砂子さんだわ・・・。四国という隔絶した土地柄の、遍路とはまた別の土俗信仰を描いた、非常にゾワゾワする作品でした。だいたいね、『死国』ってタイトル、どうなの?!四国=死国、ってのがしっくりきすぎてて、怖いんですよ・・・。少女期の3年半高知に住んでて、3年半だけにもかかわらず多分私の根幹を作ってしまった、あの土地の…
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『ウインドアイ』/ブライアン・エブソン △

海外作品って、どうしてこんなに難しいんだろう…。私が無教養だから?それとも苦手意識から構えてしまってるのかしら・・・(^^;)。書評で興味を持ったはずのブライアン・エブソンさんの『ウインドアイ』、全然響かなかった…。 ごくごく短い物語が25もあったのだけど、読んでて眠くなってしまうぐらい、迂遠というか入り込めないというか・・・。時折、…
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『無貌の神』/恒川光太郎 ◎

久し振りに、恒川光太郎さんの作品。本作『無貌の神』は、恒川さんの真骨頂ではないでしょうか。美しく、悲しく、孤独で、それでいて温かい。そんな世界を堪能しました。 恒川作品を読むとき、〈見知らぬ世界なのに、懐かしい〉という感覚がいつもあります。その懐かしさを追いかけるうちに物語の中に入り込み、登場人物に同調して、描かれる世界の美しさや醜さ…
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『ドロシイ殺し』/小林泰三 〇

『アリス殺し』の〈不思議の国〉、『クララ殺し』の〈ホフマン宇宙〉に続き、蜥蜴のビルがまた、異世界に迷い込んでしまったようです(笑)。今回迷い込んだのは、『オズの魔法使い』の世界・〈フェアリィランド〉。そしてタイトルは『ドロシイ殺し』。毎度のことながら、殺人や遺体の状態の描写がグロいですよ、小林泰三さん・・・。 冒頭、砂漠で干からびかけ…
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『深泥丘奇談・続々』/綾辻行人 ◎

綾辻行人さんの描く、もう一つの京都に存在する深泥丘。そこに暮らしている作家の「私」の曖昧になる記憶、言いようのない違和感。〈なにか、怖ろしくおぞましい経験をした――ような気がする。〉『深泥丘奇談・続々』でもまた、「私」は霞がかる記憶に頓着せず、致し方ないと放置。・・・、いや、それ一番やっちゃダメな気がするんですけど・・・。さあ目の前に、…
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『悲嘆の門』上・下/宮部みゆき 〇

宮部みゆきさんの、『英雄の書』の続編。 〈無明の地〉において〈万書殿〉を守る、『悲嘆の門』。 その門番と戦うための力を集めている戦士・ガラ。 ガラの存在を知ってしまった主人公・孝太郎は、彼女の力を分け与えられ、〈言葉〉が見えるようになる。 分厚い上下巻、起こり続ける陰惨な殺人事件、女子中学生のネットいじめ、失踪する浮浪者たち…
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『怪談』/小池真理子 〇

あれぇ・・・?『怪談』なんていうシンプルなタイトルだと、ゾワゾワ系のすっごく怖い話かと勝手に思ってまして、ちょっと、肩透かしでした。私、小池真理子さんは、あまり読んだことが無いのですが、たぶんドロドロの恋愛ものの方が好きかも・・・。 〈怪談〉と言えば〈怪談〉だけど、ぞっとするようなホラーではなく、説明しがたい不思議な現象が起こって…と…
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『夜行』/森見登美彦 ◎

・・・いやいや、まさかモリミー作品で「しみじみとした切なさ」を感じる日が来るとは思わなんだわ~(^^;)。まあ、どっちかというと〈ぞわっとする不穏な怖ろしさ〉の方が読み終わってだんだん強くなってくるんだけど。森見登美彦さんの作家活動十周年の掉尾を飾る作品、『夜行』。「夜行列車」の「夜行」か、「百鬼夜行」の「夜行」か・・・。ひと時だけの再…
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『山尾悠子作品集成』/山尾悠子 ◎

書評で「日本の女流幻想文学作家の先駆け」と紹介され興味を持ち、あまり深く考えずに図書館に予約を入れて、受け取った時の衝撃(笑)。お・・・重い!分厚い!確実に凶器になる!そんな外見的衝撃もさることながら、この一冊に描き込まれた数多の物語の濃厚さにも、大いに衝撃を受けたのでした。山尾悠子さんの繰り広げる幻想世界をまとめ上げた『山尾悠子作品集…
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『私のサイクロプス』/山白朝子 ◎

人知を超えるレベルの迷い癖のある旅本作家・和泉蠟庵(いずみろうあん)。彼の荷物持ちを務める駄目男・耳彦(みみひこ)。蠟庵に執筆を依頼している書物問屋の者で旅の経費を預かる娘・輪(りん)。この三人のたどる、生と死の狭間を揺れる旅路を描く『私のサイクロプス』。前作『エムリヲ奇譚』に引き続き今回も、すっかり山白朝子さんの描く旅路を、一緒に迷わ…
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『バベル九朔』/万城目学 ○

今まで万城目学さんといえば、『鴨川ホルモー』とか『偉大なるしゅららぼん』などで、ぶははは!なにそれ!?うぷぷぷ・・・と気持ちよく笑っちゃうイメージだったんですけど、本作『バベル九朔』はちょっとそこからは外れている作品です。でも、面白くなかったわけではなく、後半は結構ぐいぐい読み進めまられした。え?どうなっちゃうの?結局どっちが悪者なの?…
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『クララ殺し』/小林泰三 ○

衝撃のグロさで度肝を抜かれた『アリス殺し』の続編ということで、警戒心全開で読み始めた、本書『クララ殺し』。前回ほどの惨殺シーン(笑)は出てこなかった代わりに、今回は同じ人物が何回も殺されるという展開に。小林泰三さん、相変わらず容赦がないようで…。たぶん本作は『アリス殺し』を読んでないと、わからない物語じゃないかなと思います。 前作では…
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『海うそ』/梨木香歩 ◎

梨木香歩さんの描く自然の風景は、静かで力強くて、淋しさと温かさに満ちています。 本作『海うそ』も、濃密な自然の気配とその中で息づく〈ひと〉の強さと弱さが描かれる、美しい物語でした。 大学の研究室の教授が遺した資料に心惹かれ、九州にほど近い〈遅島〉に渡りフィールドワークをする人文地理学者の秋野。島内で様々な協力者を得、かつて修験道…
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『死者のための音楽』/山白朝子 ◎

『エムブリヲ奇譚』で、生と死の影が付き纏う仄暗い耽美を存分に味わった山白朝子さんの短編集、『死者のための音楽』。7つの物語は、彼岸と此岸の狭間をたゆたいながら、私を別世界に連れて行きました。 「長い旅のはじまり」身に覚えのない懐胎で生まれた男の子は、知らぬはずの経を読み、知らぬ土地のことを語る。別の者がその経を唱える。巡り巡る。廻り廻…
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『私はフーイー』/恒川光太郎 ○

恒川光太郎さんの描く沖縄独特の民俗意識みたいなものは、常に死の匂いが付き纏う。明るい光、輝く海、うっそうと茂る森、陽気な人々。生命力豊かなその島で、ひっそりと息づく彼岸の気配。本作『私はフーイー』で、沖縄の森には狂人が棲み付いているイメージが刻み込まれてしまった・・・。私、沖縄に行くことがあっても、絶対森には入らない・・・!! 南国の…
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『エムブリヲ奇譚』/山白朝子 ◎

これは・・・!!とても好みに合いました!生と死の狭間をゆれる旅が多く描かれる『エムブリヲ奇譚』、素晴らしく、いいです。人知を超える(?!)レベルの迷い癖のある旅本作家・和泉蠟庵の取材旅行を、荷物持ちの耳彦が語る。異界に彷徨いこんでしまったのではないかと思われる旅、死者と出会う旅、グロテスクな旅。山白朝子さんは、初読み作家さんなんですが、…
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『鬼談』/京極夏彦 ◎

怖くて、厭な人だなぁ、京極夏彦さんて。鬼は鬼でも、角が生えてて虎皮のパンツをはいてる鬼じゃなくて、人との境目が薄れた先にいる、人ならぬものであり人から成ったもの。そんな鬼の物語が9つも並んでいる。それぞれに、「鬼」の基準が違い、それでも「鬼」だと判る。怖ろしきは、鬼か。怖ろしきは、人か。そんな『鬼談』。 「鬼交」部屋に、入ってきた何か…
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『アリス殺し』/小林泰三 ○

かの有名な『不思議な国のアリス』の世界が、グロテスクに現実とリンクするとしたら?登場人物たちが次々と殺され、現実世界でかの世界とリンクする人々が同時期に不審死を遂げていく。果たしてアリスは、殺人容疑を晴らせるのか?!小林泰三さんは、初読みです。書評で気になっていた『アリス殺し』、何度も何度も騙されました! 『不思議の国のアリス』という…
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『Another エピソードS』/綾辻行人 ◎

『Another』で、合宿前に1週間ほど夜見山市から離れていた見崎鳴が、海辺の町で〈幽霊〉と出会い、体験したこと。『Another エピソードS』で、もう一人の主人公・榊原恒一は、鳴からその夏のエピソードを語り聞かされる。綾辻行人さんらしい叙述トリックに、最後の最後まで、騙されていました~! 前作『Another』でも、繰り返す不条理…
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『幽女の如き怨むもの』/三津田信三 ○

あれ~?ちょっと違うなぁ。 三津田信三さんの刀城言耶・主人公の『◎◎の如き●●もの』シリーズといえば、〈土着民族系ホラーミステリー〉で、二転三転する謎解き、最後に「真相らしきもの」は提示されるものの、解ききれない不可解な謎が全てをひっくり返しかねない、という息もつかせぬ展開なんですが。 本作『幽女の如き怨むもの』は、事件をじっくり追…
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『生霊の如き重るもの』/三津田信三 ○

三津田信三さんの〈土着民族系ホラーミステリー〉刀城言耶『◎◎の如き●●もの』シリーズでございます。相変わらず、怪奇を合理的に読み解き、二転三転する推理を経て、納得のいく真相「らしきもの」が出た後で、(でも、本当に…?) とひっくり返されるラストは、全くもって目が離せない! さて、本作『生霊の如き重るもの』(「いきだまのごときだぶるもの…
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『深泥丘奇談・続』/綾辻行人 ◎

『深泥丘奇談』に続く、綾辻行人さんの怪奇幻想譚シリーズ第2弾です!彼岸と此岸がいつの間にか入れ替わるような、知っているはずの町がどこか違う異界になってしまってるような、そのぞわぞわする落ち着かなさ。周りの人は平然としているのに、自分だけが感じる違和感。常に、〈怖ろしくおぞましい経験をした――ような気がする。〉と曖昧に霞んでしまう記憶。こ…
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『竜が最後に帰る場所』/恒川光太郎 ○

ふと気が付くと、今ここと違う世界にいるのかもしれないという、ひたひたと忍び寄る怖さと共存する、郷愁。物悲しさを孕んだ和製ホラーといえば、恒川光太郎さんである。前作『南の子供が夜いくところ』では、舞台が南の島ということでイメージが違ってしまい、ちょっと残念な思いをしてたのですが、本作『竜が最後に帰る場所』は、しっかり恒川ワールドでしたねぇ…
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『水魑の如き沈むもの』/三津田信三 ○

来ましたよ~。三津田信三さんの土着民俗系ホラーミステリー!(←水無月・Rの勝手なジャンル付け) ぞわぞわ~っとして、じわじわと迫って来る、恐怖がいいです。 そして、いつも通り二転三転する謎解き、真相の「ようなもの」が提示されるも、決して断言できない結末。 流浪の怪奇小説家・刀城言耶が出会った事件、『水魑の如き沈むもの』で解き明かし…
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『密室の如き籠るもの』/三津田信三 ○

土着民俗系ミステリー(注:水無月・R的勝手な分類項目です)の、三津田信三さんの、『◎◎の如き●●もの』シリーズ。 本作『密室の如き籠るもの』(みっしつではなくひめむろと読む)は、このシリーズ初の短編集。 ただ・・・おしむらく、短編にしたら「土着民俗」な部分が薄まってしまったような・・・。 陰鬱~に、めっとした怨念ぽい感じで怖い、っ…
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『山魔の如き嗤うもの』/三津田信三 ◎

山魔(やまんま)に嗤われたら、終わり・・・。 えぇぇぇ!!ちょっと待て、終わりって何?!終わりって! 冒頭の郷木靖美(ごうきのぶよし)氏の原稿「忌み山の一夜」からすでに、〈夏にぴったり不穏な怪奇物語♪〉の風味たっぷりだったのですが・・・。 相変わらず三津田信三さんの『◎◎の如き●●もの』シリーズ、土着系民俗ホラーの怖ろしさを、遺憾…
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『Another』/綾辻行人 ◎

うわぁ・・・。メインの物語は何とか終ったけど、繰り返され続ける「3年3組の災厄」の抜本的解決は出来そうにないという・・・。後味悪ぅ・・・。大体、何が・何故・どうやって・誰が、という理屈が全然、通らないんだもの。クラスに紛れ込む<死者>には一欠けらの悪意 もなく、記憶を操作されている。<現象>としてとらえるしかない、<災厄>。綾辻行人さん…
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『首無の如き祟るもの』/三津田信三 ○

三津田信三さんの『◎◎の如き●●もの』シリーズの第3作目。 ・・・今まで探偵役だった主人公・刀城言耶(とうじょうげんや)は、途中でちらっと姿を見せたかと思うと、別の怪異の話を聞いた途端、それを追ってつむじ風のように去って行っちゃいました・・・。 冒頭の「編者の記」によれば、物語を書いたのは女流推理小説作家・媛之森妙元氏で、刀城言耶氏…
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