テーマ:儚き耽美

『少女外道』/皆川博子 ○

・・・あう~。 いつも思うんですよねぇ。皆川博子さんの作品て、微妙に私の好みから外れる感じが、すっごく惜しい…って。 本作『少女外道』も、そんな感じで。 何だろうなぁ、ダークさが足りないというか。ううむ。 「少女外道」 とある現象に幻惑される少女は、長じて画家となる。 「巻鶴トサカの一週間」 大叔母の葬儀。焼き場で紛れ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『蕃東国年代記』/西崎憲 ○

日本海に浮かぶ架空の国家、蕃東(ばんどん)。この国の中世後期あたりの、いくつかの物語。 この国は、「倭国」と「唐」の影響を受けた優雅な文化を持ち、竜が天に昇り骨魚が海を泳ぐ日常に満ちている。 そんな、ファンタジーと共存する『蕃東国年代記』。こういう世界観は、素敵ですねぇ。 著者の西崎憲さん、初読みなんですが、翻訳家でファンタジーノ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『海に沈んだ町』/三崎亜記 ○

あの〈3.11 東日本大震災〉のあと、この『海に沈んだ町』というタイトルの作品を手に取るのは、少々ためらいがあった。もちろん、全然関係ない。初版は2011年1月だし、雑誌掲載に至っては2009年の夏である。内容だって、地震や津波ではなく、三崎亜記さん特有の〈日本に似ているけど、明らかに構成のルールが違う世界〉での日常の出来事である。 …
トラックバック:3
コメント:4

続きを読むread more

『太陽の庭』/宮木あや子 ◎

かつて私は『雨の塔』を読み、その儚い美しさに、息苦しいまでの孤独に、とても心を打たれた。 本作『太陽の庭』は、その『雨の塔』と同じ世界に存在する、別の物語である。 源氏物語の現代版のような物語が、宮木あや子さんによって語り始められる。 だが、次第に物語は、違ったものに変わっていく・・・。 ホント、最初は「まんま源氏物語じゃん…
トラックバック:6
コメント:12

続きを読むread more

『おとぎ話の忘れ物』/小川洋子・樋上公実子 ○

〈スワンキャンディー〉という、飴の製造及び小売一筋の店の片隅に、[忘れ物図書室]はある。あちこちの忘れもの保管所から救い出されたおとぎ話たちが、翻訳され、製本され、静かに並べられている図書室。さあ、お好みのキャンディーを口に入れ、おとぎ話の世界へ・・・。樋上公実子さんの絵に合わせて、小川洋子さんが、不思議な物語を描き上げた、『おとぎ話の…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『刻まれない明日』/三崎亜記 ◎

十年前、3095人が姿を消した。天災とも人災ともいわれ、詳細が明らかにされないまま過ぎ去ったこの十年、失われたはずの人々は、今はもう存在しない図書館から本を借り、ラジオ局にハガキを送る。この街は、失われた人々を悼みながら、その喪失感と共に生きてきた。相変わらず、「設定ノート」が見たい作家さん№1ですよ、三崎亜記さん! 『失われた町』の…
トラックバック:5
コメント:8

続きを読むread more

『鼓笛隊の襲来』/三崎亜記 ◎

ふおお~、三崎亜記さんらしいエッセンスの詰まった、短編集ですね~。一見、私たちの暮らしている世界と違いはないようなのに、ほんの少しのルールの違いが決定的に世界を全く違うものに変えてしまう。その鮮やかさに、溜息が出てしまう。『鼓笛隊の襲来』の様々な世界は、哀しいような暖かいような、不思議な味わいがあります。 三崎さんの作品を読むと、いつ…
トラックバック:4
コメント:4

続きを読むread more

『丹生都比売』/梨木香歩 ○

壬申の乱前夜、そして乱に続く天皇家継承の悲劇を描いた、王朝ロマンである。梨木香歩さんの作品は、ソコソコ読んでますが、珍しい傾向の作品だと思います。でも、どこかほかの作品ともつながるような・・・不思議な感覚です。 大海人皇子の皇子・草壁皇子は、父に従って吉野に下った時に、口のきけない不思議な少女・キサと出会い、銀色の勾玉をもらう。父・大…
トラックバック:2
コメント:4

続きを読むread more

『ギンノヨル』(「青い鳥少年文庫」vol.4)/長野まゆみ ○

夜間診療所で父と暮らしている少年・ルリ。父が、学校の休暇に合わせて、旅に出ようという。父と旅行に出かけたルリは、ケスという青年と途中合流した。『オルスバン』・『ヒルサガリ』・『オトモダチ』に続く、青い鳥少年文庫シリーズ最終巻『ギンノヨル』。 父と汽車に乗り、停車駅でケスと合流する。乗り返したところで、父はケスとともに行けという。ケスと…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『少年アリス 改造版』/長野まゆみ ◎

著者長野まゆみさんが、デビュー20周年を記念してデビュー作・『少年アリス』を改造(=セルフリメイク)。本作・『少年アリス 改造版』のことである。20年の長きにわたって、水無月・Rの心を捉え続ける作家、長野まゆみさん。繊細に儚く、現実味を削ぎ落とされてゆく少年像。改造された、その姿や如何に。 多分、水無月・Rが幻想的な物語に酔い痴れて感…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『薬指の標本』/小川洋子 ○

痛い痛い痛いぃ~・・・。すみません、多分小川洋子さんは、痛くない描写をしたと思うんですが、水無月・Rは小心者でして、痛いのは苦手なのですよ・・・。主人公・私の薬指の先端を失ったそのいきさつのシーンが、現実味が薄かったのに、なんか自分の身に置き換えてしまって、痛くて痛くて・・・。サイダーを桃色に染めて落ちてゆく肉片・・・キャー、勘弁してく…
トラックバック:2
コメント:4

続きを読むread more

『オトモダチ』(「青い鳥少年文庫」vol.3)/長野まゆみ ○

『オルスバン』・『ヒルサガリ』の少年・僕は、季節限定営業の《孔雀ホテル》のさよならフェスティバルに行く。そこで出会った、サーカスの曲芸師の少年・アリオトと『オトモダチ』になる。長野まゆみさんの、美しくて儚い、そして少しもの淋しい物語。 鳥や魚を放す、その祭りの行事で僕が選んだのは、リンドウカケス。リンドウカケスは僕に菫色の羽をくれた。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『f植物園の巣穴』/梨木香歩 ◎

この心地よいまでの、心もとなさ。何かがおかしいと思いつつ、どこからどうズレてしまったか分からない、現実と幻想の合間を漂いゆくかのような、浮遊感。やっぱりイイですねぇ~、梨木香歩さん。f郷にある植物園に勤める男が、ある日ふと、違和感に気付く。そこから『f植物園の巣穴』という、不可思議な物語が始まる。ううむ・・・今回も、まともなことが書けそ…
トラックバック:5
コメント:8

続きを読むread more

『廃墟建築士』/三崎亜記 ○

・・・相変わらず、水無月・R内「設定ノートが見てみたい作家さん」ナンバー1な、三崎亜記さんです。「廃墟」が「文化の尺度」になるというのは、どういう世界・・・?作品中で滔々と説明されることが、全然理解出来なくて、脳内をするすると通り抜けてしまって。作品タイトルだというのに、解らなかったのです『廃墟建築士』。自分の読解力に、自信がなくなって…
トラックバック:5
コメント:10

続きを読むread more

『ヒルサガリ』(「青い鳥少年文庫」vol.2)/長野まゆみ ○

『オルスバン』の少年・僕は、鳥の化身である雨宿(アマヤドリ)に再会する。ああ・・・再会できたんだ。まだ、少年の域にとどまっていられたんだ・・・良かった。長野まゆみさんの描く、キラキラと輝く儚い世界。とある『ヒルサガリ』の出来事。 僕は父と、池の畔にある父の友人・空知先生宅を訪れる。ゆったり流れる時間、美味しそうな素朴な食べ物。父と空知…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『オルスバン』(「青い鳥少年文庫」vol.1)/長野まゆみ ○

少年のもとを訪れたのは、鳥の化身たちであった。長野まゆみさんの描く世界は、不思議に半透明である。薄曇った雲母をちりばめて、華奢で儚い夢が、そこにある。『オルスバン』は、そんな短編を1編だけ載せた不思議な作品である。 全体の三分の二を占める、洋館とそこに在る人形の写真。実を言うと、こういう無機的な人形は苦手です。何というか、あまりにも「…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『大人のための怪奇掌編』/倉橋由美子 ◎

倉橋由美子さんは、2005年に没している。 不条理な幻想色の強いファンタジー、シニカルなエロス、ギリシャ神話や日本神道神話など神の実在化など、怖ろしくも美しい、ダークな世界を描いてこれほど綺麗にはまる作家を、私は他に知らない。 背後にある血の匂い、暗黒を秘めた灯り、だが表面は、サラサラとしている。まさに、『大人のための怪奇掌編』であ…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『猫を抱いて象と泳ぐ』/小川洋子 ◎

チェス盤の下にもぐりこんで、相手の駒を置く音で位置を判断し、自分の駒を進める、独自のスタイルを貫いた、リトル・アリョーヒン。彼の数奇な人生が、美しいチェスの棋譜にも似た、優しく輝かしいファンタジーで描かれている。小川洋子さんは、こういったファンタジー系が好きです、私。 『猫を抱いて象と泳ぐ』という、不思議なタイトル。リトル・アリョーヒ…
トラックバック:9
コメント:10

続きを読むread more

『酔郷譚』/倉橋由美子 ○

2005年に永眠された、倉橋由美子さんの遺作、『酔郷譚』。倉橋さんの「桂子さんの物語」シリーズですねぇ。人間の女性とも、妖怪変化とも知れぬ桂子さんの紡ぎだす幽境の物語は、過去に楽しませて頂きましたが、今作の主人公は桂子さんではなく、桂子さんの結婚相手・入江さんの孫、慧君です。 慧君が、鬼の眷族とも思われるバーテンダー・九鬼さんに提供さ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『雨の塔』/宮木あや子 ◎

家や一族の企業のために「使われ」る、妾腹の娘や訳ありな娘たちが集められている、全寮制女子学校。大学に当たるその四年間、全く外へ出ることが出来ず情報からも隔離される、陸の孤島。そこで出会った4人の娘たちの、美しくも儚く哀しい孤独。 ・・・こういう雰囲気、すっごく好きだわ~。宮木あや子さんの世界に、どっぷりハマって読みました。 大学…
トラックバック:6
コメント:11

続きを読むread more

『海』/小川洋子 ◎

『夜明けの縁をさ迷う人々』を読んだ時に、【今日何読んだ?どうだった??】の麻巳美さんにお勧め頂いた、小川洋子さんの『海』。麻巳美さんのお勧めなら間違いなし~!と期待満々で読みました。・・・おお~、素晴らしい!これはいいです、ホントに。 7篇の、ささやかながらも美しくまたたく、優しい物語たち。長さもテーマも全く違うのに共通しているのは、…
トラックバック:8
コメント:10

続きを読むread more

『夜明けの縁をさまよう人々』/小川洋子 ◎

小川洋子さんの描く不思議な世界。一見、普通に私たちがいる現実世界のことのようなのに、いつの間にか、何かがズレてる。物語の登場人物たちは、夢の世界と現(うつつ)の世界のあわいを漂っているかのような・・・。まさにタイトルどおりの世界を感じさせる『夜明けの縁をさ迷う人々』はそんな、美しかったり、グロテスクだったり、そこはかとなく暗黒調だったり…
トラックバック:5
コメント:6

続きを読むread more

『スカイ・イクリプス』/森博嗣 ◎

~~綺麗だ。   濁ったものはここにはない。   なにもかも、   消えてしまったから。   美しい。   空しかない。~~ (本文より引用) 空で、戦闘のダンスをすることでだけ、生命の現実感を得ることが出来る〈キルドレ〉達。 彼らは、思春期の姿のまま、永遠に生き続ける。 森博嗣さんの「スカイ・クロラ」シリーズ。本編…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『カルトローレ』/長野まゆみ ◎

ははぁ~。これは、好みが分かれるなぁ~。私は、かなりこういうの好きだけど・・・。作中にも出てくる複雑なクロシェ編み(鉤針編み)のように張り巡らされた設定。そして回収されることのない伏線。すべては、読者の気持ち次第で。そんな、不思議な浮遊感のある世界を描いた、長野まゆみの『カルトローレ』。感想やあらすじを語るのは、すごく難しい。 主人公…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

『クレィドゥ・ザ・スカイ』/森博嗣 ◎

~~ここにあるのは、   空気、   二機の飛行機。   そして、見つめあう目だ。~~ (本文より引用) 記憶が欠如というよりかすれている、〈キルドレ〉の「僕」。 僕はいったい誰なのか。そんなことは、どうでもいい。ただ、無性に空を飛びたい。なのに・・・。 <キルドレ>は、永遠の子供・・・だったはずだが。 森…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『フラッタ・リンツ・ライフ』/森博嗣 ◎

~~なにも欲しくない。    誰のためでもない。    誰も褒めてはくれない。    ただ、飛び続けたい。    僕が僕であり続けたい。    生きているかぎり。~~   (本文より引用) 永遠の子供、〈キルドレ〉。空で戦闘機を駆っている時だけしか、自分の存在を確実に感じられない。「僕」は、何のために、空を飛ぶのか。何故、僕…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『おわりの雪』/ユべール・マンガレリ ○

少年の孤独。病に伏せる父親。養老院の老人たちと管理人。囚われのトビ。冬の雪原と犬。 ぼくは少年時代を回顧する。そこに流れゆく、静かに降り積もる淋しさ。 この淋しさは、悲しいまでに美しい。回想だからこそ、昇華されて。何かがすり替わったのかもしれないけれど。 でも、ぼくの中ではそれは、美しい思い出なのだろう。 ユベール・マンガレ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ダウン・ツ・ヘヴン』/森博嗣 ◎

~~真っ黒な    澄んだ瞳。    その中に、    空がある。    そこへ    墜ちていけるような。~~   (本文より引用) 永遠に子供のまま、成長しない、キルドレの僕・草薙水素(クサナギ・スイト)。戦闘機で空を飛ぶその時だけ、生を実感できる。・・・それなのに。 森博嗣さんの「スカイ・クロラ」シリーズ。『スカ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ナ・バ・テア』/森博嗣 ◎

~~僕は、    空で    生きているわけではない。    空の底に沈んでいる。    ここで生きているんだ。~~   (本文より引用) 前作『スカイ・クロラ』と同様、〈キルドレ〉であるパイロットの「僕」が主人公。空にいる時だけ笑うことが出来る。地上にいる時は息苦しい。 しかし、「僕」が草薙水素(スイト)だとは、途中ま…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『スカイ・クロラ』/森博嗣 ◎

~~僕はまだ子供で、    ときどき、    右手が人を殺す。    その代わり、    誰かの右手が、    僕を殺してくれるだろう。~~   (本文より引用) この夏、押井守監督で映画化(アニメ)されるそうですね。見てみたいなぁ。押井さんなら期待以上の作品に作ってくれそうな気がする。 遺伝子制御剤の作成過程で生まれ…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more