テーマ:儚き耽美

『悪魔の薔薇』/タニス・リー ◎

現代のシェヘラザード姫、タニス・リーの幻想怪奇短編集ですよ! 素晴らしいですね~、『悪魔の薔薇』。 仄暗い世界に揺らめく、人とも獣とも妖魔ともつかぬ「もの」達。闇に浮かぶ、かぼそい金銀の操り糸。人の心の裏側をえぐる、繊細な描写。 ダークファンタジーの真骨頂とは、このことですよ! (あ~あ、とうとうタニス・リーにも悶えるようになっ…
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『高丘親王航海記』/澁澤龍彦 ○

水無月・R、感動の名作、宇月原晴明の『安徳天皇漂海記』で重要な参考資料とされていた作品です。でも、作品カラーは全然違いましたねぇ~。なんかね、非常に軽妙な感じでしたよ、『高丘親王航海記』。澁澤龍彦って言うと、なんだか難しい作品を想像してたんですが。『安徳天皇漂海記』とリンクしてたのは、南海(インド洋)を彷徨うところぐらいだった気がします…
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『少年アリス』/長野まゆみ ◎ (再読)

長野まゆみのデビュー作です。 奥付を見ると1989年初版とあります。出版とどちらが先だったのかわからないのですが、同じ頃にNHKのFMでラジオドラマが放送されていました。 それを聴いた時の衝撃は、未だに忘れられません。独特の世界観、そして、「少年」という繊細で美しく現実感のない存在。 音だけで構築されるその世界に、あえやかに描きだ…
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『廃帝綺譚』/宇月原晴明 ◎

イザナギ・イザナミ神の産みたもうた長子(だが子とは数えられていない)、「水蛭子(ひるこ)」。天皇家代々に伝わる「3種の神器」とは別に、天子を護る類なき秘宝として受け継がれてきたその「水蛭子~真床追衾(まことのおうふすま)~」の玉に包まれ、大海を漂い、怨念を浄化させた安徳天皇。その物語が、前作『安徳天皇漂海記』である。宇月原晴明、『廃帝綺…
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『みずうみ』/いしいじんじ ◎

ひそやかに水をたたえる、静かな『みずうみ』の物語。こういう、静謐な感じの漂う物語って、大好き・・・。コポリ、コポリ・・・と、月に1度あふれ、村を潤す、みずうみ。村の家々には、水の眠りをただよう人が必ず1人ずついる。みずうみから水があふれる日、眠り続ける人も口から水を溢れあふれさせながら、様々なとりとめのない話を、語る。語り手・ぼくは一家…
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『安徳天皇漂海記』/宇月原晴明 ◎

今日ほど、自分の文才のなさを悔やんだことはありません。こんなにいい作品に出会えたのに、それを言葉にすることが出来ない。どう表現したらいいのか判らない。新聞の書評に『廃帝綺譚』があり、その中で前の作品として紹介されていたのが『安徳天皇漂海記』でした。「書評で結構興味を引いたけど、それがホントに自分の好みに合う作品かは、読んでみんと判らんよ…
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『銀色の愛ふたたび』/タニス・リー ○

タニス・リーの代表作(と勝手に水無月・Rが思っている)『銀色の恋人』の続編です。と言っても米国での刊行は24年の間が開いています。日本での刊行はどうなんですかね。水無月・Rが最初に読んだタニス・リーが『銀色の恋人』でしたから、少なくとも20年ぐらい前には日本で翻訳出版されてたと思われます。 今回、ハヤカワ文庫から『銀色の恋人』(再版)…
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『あめふらし』/長野まゆみ ◎

読み始め、あれ・・・?なんか知ってるぞ、市村…と思ったら、やはり『よろづ春夏冬中』の市村兄弟の弟じゃありませんか。あの、ちょっととぼけた、異界モノを引き寄せちゃう体質の。 市村・弟くん、今回も困った?立場に立たされるのですが、相変わらず飄々と流されていきます。私、こういうキャラクター好きだなぁ。妖物に取り囲まれて困ってるのに、なぜか天…
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『西の魔女が死んだ』/梨木香歩 ○

魔女になるためのトレーニングとは、精神力を鍛えるもの。早寝早起き、シッカリご飯を食べること。運動をし、規則正しい生活をすること。 小学生長男の代わりに『怪談レストラン』シリーズを探すため、図書館の児童書コーナーへ行きましたところ、『西の魔女が死んだ』を見つけ ました。 梨木香歩は、ブログを始めてから、お気に入りの作家さんです。文…
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『失われた町』/三崎亜記 ○

三十年に1度、1つの町から人が全て消失する。そこで生活していた人々は、自分達が失われることを知りつつ、「町」の影響下にあるため、助けを求めることも、阻止することも出来ない。そうやって、消滅は繰り返されてきた。失われた人々を惜しみ嘆くことは、「余滅」を引き起こすとして、忌避されている。 そんな「町」と対抗する組織「消滅管理局」。「町」は…
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『メルカトル』/長野まゆみ ◎

久しぶりに、長野まゆみの幻想系作品です。リアル感の薄い、幻想的で繊細で、美しい物語です。ああ、いいですねぇ、こういうの、大好きです。 あらすじを書こうと思ったんですが、長くなりそうなので、部分的にだけ。 欧羅巴らしき、とある土地の地図収集館に勤め始めた主人公・リュス。彼の周りで、不審な人々が不思議な策略を廻らし始める。地図会社を…
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『この庭に ~黒いミンクの話~』/梨木香歩 ○

『りかさん』、『からくりからくさ』に微妙に続く、物語のようです。とはいえ、上記2作品とはあまり関わりがなく、『からくりからくさ』で産まれた、マーガレットの子供の見た夢の話、のような、そうでないような・・・。 <あらすじ> <何か>から逃げるように、この北の地に来た私は、とある家に籠りきり、アルコール漬けの日々を送っていた。アルコ…
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『カルプス・アルピス』/嶽本野ばら ◎

ヤンキーちゃんとロリータちゃんで有名な?嶽本野ばらさんです。『下妻物語』は面白かったな 。『ハピネス』も。 なので、今回もロリータチックなお話を想像しておりました。 そしたら、全然違いました。でも、美しい文章は全く予想を裏切ることなく、物語を綴ってくれました。 田仲容子さんという画家の作品からインスパイアされて、6編の物語をつ…
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『村田エフェンディ滞土録』/梨木香歩 ◎

ブログを始めて、読むようになった作家、梨木香歩さんの作品です。流れるような美しい文章を書かれる作家さんですよね~。こういう美しい文章は、いいなぁ。読んでいて、安心感がとってもある。以前読んで、非常に感銘を受けた、『家守綺譚』 に出てくる「土耳古(トルコ)へ招聘された学者」が、主人公の村田さんな訳です。その村田さんの「土耳古日記」が本書、…
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『箪笥のなか』/長野まゆみ ○

あれ?いつもと感じが違います。いわゆる「美少年話」じゃないですね。長野まゆみ特有の、美しい文章は健在ですが。 今回は、和の雰囲気たっぷりに、親戚から譲り受けた古い箪笥を巡って、語り手・私と色々と引き寄せてしまう弟や私の家の大家などが箪笥に宿る<何か>の気配を感じ、また<何か>に出会う。『箪笥のなか』は、何が宿っていたのか。古い家具…
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『鏡の森』/タニス・リー ○

おしい!非ッ常~におしい!タニス・リーの「ダークさ」が変に緩められてしまってる。白雪姫とギリシャ神話を下地にダークファンタジーを描いてると思うんだけど、何だか、物足りないのですよ。なんだろう、何が足りないんだろう・・・。  美しい森の城の王女アルパツィアは、城を攻め落とした征服王ドラコのもとへ略奪され、その子を身篭る。その恐怖から…
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『バイティング・ザ・サン』/タニス・リー ◎

アンドロイドやロボットが人間に奉仕し、人間は快楽にのみ生きる未来都市。人は死なず何度でも生命を復活され、外見や性別までも自由に変え、砂漠の中の巨大ドームの中でのみ生活する。奔放に生きる青年期・ジャング達は、破壊・狂乱をつづけるが、都市はそれをも包み込み、平穏に管理を続け、ただ人を生かしていく。 『バイティング・ザ・サン』とは、「太…
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『賢治先生』/長野まゆみ ◎

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに、『賢治先生』が駅で「銀河鉄道」の夢を見る、という物語。 長野まゆみらしい美しい文章で、幻想的な雰囲気を語った、すがすがしい作品です。 しかも、出てくる「カンパネッラ」や「ジョヴァンナ」の、スレたナナメ加減と来たら。モチーフ元の『銀河鉄道の夜』の「カンパネルラ」や「ジョヴァンニ」の幼さゆえの…
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『時の旅人』/長野まゆみ ◎

関東大震災で80年未来へタイムスリップしたチカホの「リュウグウノツカイ」。 昭和48年から13年過去へタイムスリップしたウシホの「タマテバコ」。 2069年から100年を遡ったリクの「トコシエノタビ」。 この3つの時間旅行を描く『時の旅人』。 3つの章に共通しているのは、13歳の少年がタイムスリップすること・S校という中学(…
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『翼を広げたプリンセス』/タニス・リー ○

「ウルフタワーシリーズ」最終巻、『翼を広げたプリンセス』。今まで水無月・Rが読んできたタニス・リーのダークファンタジーとはちょっと傾向の違う、ジュヴナイル向けのファンタジーである。 生まれ育った<ハウス&ガーデン>を脱出し、荒地の旅を経て<シティ>にたどり着き、<ウルフ・タワー>の「掟」を破壊して<シティ>を脱出した、『ウルフ・タ…
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『家守綺奇譚』/梨木香歩 ◎

湖で行方を断った親友の実家の管理を任された、物書きの私・綿貫征四郎。引っ越してすぐに、床の間の掛け軸の絵から親友・高堂があらわれる。高堂は、庭のサルスベリが私に懸想をしているという。そこから、私の植物にからむ物語が短編連作で始まる。 『家守綺譚』は、水無月・R好みの作品だ。 梨木香歩は『りかさん』を読んだことがあるぐらいなのだが…
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『二人のクライディス』/タニス・リー ○

前巻で動き回る迷宮<ライズ>から脱出した主人公、クライディ。恋人であるアルグルの元へ戻ろうと、スターに乗って移住の民ハルタのところへたどり着く。ところがハルタの一族には、クライディがさらわれた振りをして「シティ」に戻ったと思われていて、冷たい態度で拒否された上に、アルグルが一族を離れた事を聞かされる。アルグルを追って、旅を始めるクライデ…
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『ライズ 星の継ぎ人たち』/タニス・リー ○

『ウルフ・タワー』シリーズ第2作目。主人公クライディは放浪の民のリーダー・アルグルとの結婚式直前、ウルフタワー脱出の際に騙した<シティ>の護衛に攫われる。しかし、ウルフタワーのある<シティ>に辿り着くことはなく、<ライズ>へと連れ去られる。『ライズ 星の継ぎ人たち』では、更に数奇な運命をたどるクライディ。 <ライズ>の宮殿は、部屋…
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『ウルフ・タワーの掟』/タニス・リー ○

ダークファンタジーの女王、タニス・リーを久しぶりに読んだ。学生時代『パラディスの秘録』シリーズや『銀色の恋人』などを読んで、耽美な幻想世界に浸ったものである。今回の『ウルフ・タワーの掟』は耽美 な幻想世界というよりは明るいファンタジー的である。 <ハウス&ガーデン>で奴隷として育った主人公クライディが実は<シティ>のプリンセス(貴…
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『海猫宿舎』/長野まゆみ ◎

近未来の物語なのだろうか。日々悪化する自然環境に適応できない、カラダの弱った子供たちの療養施設『海猫宿舎』に、新しい先生が現れる。 新しい先生の住む灯台に現れる、常人には見えない白いひげの老人は誰なのか? 少年達は緩やかに成長する。長野まゆみ作品独特の間が紡ぎだされ、美しく繊細な描写に惹き込まれた。 ああ、長野ワールドって…
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『夜市』/恒川光太郎 ◎

異界とつながる『夜市』では、なんでも手に入る。が、何かを買わないと、そこから出られない。 少年時代、弟と2人でそこに迷い込んだが買う金を持たず、弟を売って「野球の才能」を買い、逃れた男が再び「夜市」に入り、自分を売って弟を買うというが・・・。 かの昔弟を買った「人買い」が、男を騙し、偽の少年を売りつけようとする。が、それを看破し…
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『よろづ春夏冬中(あきないちゅう)』/長野まゆみ ○

う・・・・やられた。『よろづ春夏冬中』は,長野まゆみの少年愛系の短編集である。水無月・Rは、長野まゆみ作品が大好きである。だが・・・これは・・・。 いつもの長野ワールドだ。読んでいて心地よい、美しく繊細な文章。古式ゆかしい感のある言葉遣いや会話体など、引き込まれる。だが・・・・、コレはちょっと・・・。 「今まで読み慣れていた物語…
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『鳩の栖』長野まゆみ ◎

水無月・Rが20年近く愛読しているのが長野まゆみである。 といっても、いつも読んでいるわけでなく、数冊読んでは何故か間が2~3年あく。 愛好家達の間では「長野ワールド」と呼ばれているらしい、不思議な雰囲気(昭和初期のゆったりとした時間の流れを感じさせるもの)をいつも読み続けていると、浮き世離れしすぎる心地がするからだろうか。 …
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小川洋子『貴婦人Aの蘇生』 ◎

剥製猛獣館に私と共に暮らす伯母は、皇女アナスタシアを装う。 小川洋子『貴婦人Aの蘇生』は、未亡人となった伯母と共に、伯父の遺産である剥製のあふれる洋館で暮らす「私」が、伯母の亡くなるまでを描いた物語である。 ロシア人の伯母は、自分の名にはない「A」の模様を刺繍する。伯父の剥製を狙ったコレクターが来館するうち、伯母を「皇女アナスタ…
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三崎亜記「バスジャック」 ◎

三崎亜記『バスジャック』 ◎ 標題「バスジャック」は、バスジャックがイベント化し、形式美まで問われる日常。あるバスジャックに乗り合わせた面々がそれを形式にのっとって打ち破るが、実はそのまま本当の形式美も兼ね備えたバスジャック犯となり・・・という緻密なストーリー。 その他の物語も、ストーリー運びが非常にシッカリとして、読み応え…
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