テーマ:儚き耽美

『私の頭が正常であったなら』/山白朝子 〇

山白朝子さんの作品というと、『エムブリヲ奇譚』などの〈エムブリヲ奇譚シリーズ〉の和風幻想譚のイメージが強いので、本作『私の頭が正常であったなら』は、ちょっと意外でした。「現実世界にちょっとだけ不思議な現象が紛れ込んでいる」感じでした。 でも、その「ちょっとだけ不思議な現象」は確かに「ちょっとだけ」なのに、私たちの知ってる現実の裏側にあ…
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『末枯れの花守』/菅浩江 ◎

今まで菅浩江さんの作品と言えば、〈人〉と〈機械〉の遠い未来を描いた優しく切ない物語、というイメージだったのですが、本作『末枯れの花守』は全く違う世界観の物語でした。でも、こういう和風の幻想世界ものも、大好きです。美しくも温かく切ない世界を、堪能しました! 思いが深まりすぎる者を「永遠の花としてやろう」と誘いに来る、2人の美姫・常世姫と…
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『夜に啼く鳥は』/千早茜 〇

これほど感想が難しい作品は、久しぶり。 千早茜さんの描く現代奇譚・『夜に啼く鳥は』は、八尾比丘尼の末裔であるという〈蟲宿しの一族〉の長である「御先(ミサキ)」とその一族の物語。 悲しくて、美しくて、終わりが来ない日々と永らえられない命が背反する切なさ。 ・・・ううむ、具体的な感想が、なかなか思い浮かばない…難しい。 昔々、と…
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『ミツハの一族』/乾ルカ ◎

美しい、本当に美しい物語でした。 札幌に程近い、開拓村。水源を守る神に選ばれた、二つの役目の者たち。 乾ルカさんの作品は、6年も前に読んだ『蜜姫村』以来ですねぇ。 『ミツハの一族』は、近代から現代への過渡期である大正時代にひっそりと息づいていた古きしきたりとそこに関わる若者たちの、美しい物語でした。 故郷の宮司である従兄の死…
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『不時着する流星たち』/小川洋子 〇

一つ一つ、違った趣を持つ10編の短編集。 小川洋子さんの描く、現実と少しずれているかのような世界に生きる人々の、優しく静かな、あるいは微妙な不穏さを孕んだ物語集『不時着する流星たち』は、心穏やかな読み心地でした。 「誘拐の女王」 母の再婚で新しい姉が出来た。彼女は誘拐されたことがあると言い、その当時の冒険話をしてくれる。 「…
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『まばたき』/穂村弘 酒井駒子・絵 ◎ (絵本)

モンシロチョウが、花から飛び立つ瞬間など、『まばたき』ぐらいの短い瞬間を描く絵本。 穂村弘さんというと、私的には雑誌『ダ・ヴィンチ』の「短歌ください」の選者さんでなじみがあり、どんな絵本なのだろうと、ふと気になって図書館から借りて来ました。 酒井駒子さんのやや暗く静かな絵が、とてもいい雰囲気です。 モンシロチョウ、鳩時計、猫、…
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『手のひらの幻獣』/三崎亜記 ◎

いやもう、毎度言ってることですが、「世界設定のノートが見たい作家さん」№1ですよ~、三崎亜記さんッッ!! 私たちの暮らす、現代日本に似て非なる〈この国〉。世界の構成ルールが多分、全く違うのだろうと思います。「街は生きていて」「不条理に失われる人や思いが常にあり」「精神的な能力が飛躍的に上昇している」この世界。 数々の三崎作品は、たぶ…
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『山尾悠子作品集成』/山尾悠子 ◎

書評で「日本の女流幻想文学作家の先駆け」と紹介され興味を持ち、あまり深く考えずに図書館に予約を入れて、受け取った時の衝撃(笑)。お・・・重い!分厚い!確実に凶器になる!そんな外見的衝撃もさることながら、この一冊に描き込まれた数多の物語の濃厚さにも、大いに衝撃を受けたのでした。山尾悠子さんの繰り広げる幻想世界をまとめ上げた『山尾悠子作品集…
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『私のサイクロプス』/山白朝子 ◎

人知を超えるレベルの迷い癖のある旅本作家・和泉蠟庵(いずみろうあん)。彼の荷物持ちを務める駄目男・耳彦(みみひこ)。蠟庵に執筆を依頼している書物問屋の者で旅の経費を預かる娘・輪(りん)。この三人のたどる、生と死の狭間を揺れる旅路を描く『私のサイクロプス』。前作『エムリヲ奇譚』に引き続き今回も、すっかり山白朝子さんの描く旅路を、一緒に迷わ…
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『死者のための音楽』/山白朝子 ◎

『エムブリヲ奇譚』で、生と死の影が付き纏う仄暗い耽美を存分に味わった山白朝子さんの短編集、『死者のための音楽』。7つの物語は、彼岸と此岸の狭間をたゆたいながら、私を別世界に連れて行きました。 「長い旅のはじまり」身に覚えのない懐胎で生まれた男の子は、知らぬはずの経を読み、知らぬ土地のことを語る。別の者がその経を唱える。巡り巡る。廻り廻…
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『遠くの日には青くⅡ』/西造+世叛 ◎ (コミックス)

〈タテ読み、タダ読み〉のcomicoで連載されている西造(さいぞう)さんと世叛(よはん)さんの『遠くの日には青くⅡ』。 美しくも儚く、青みがかった透明な水の向こう側の世界にそっと紛れ込むかのような、密やかな優しさと淋しさが、切なくなります。 私、本作品メインの〈プリシリーズ〉が大好きで、読むたびに何度でも泣けるんですが、もちろん…
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『エムブリヲ奇譚』/山白朝子 ◎

これは・・・!!とても好みに合いました!生と死の狭間をゆれる旅が多く描かれる『エムブリヲ奇譚』、素晴らしく、いいです。人知を超える(?!)レベルの迷い癖のある旅本作家・和泉蠟庵の取材旅行を、荷物持ちの耳彦が語る。異界に彷徨いこんでしまったのではないかと思われる旅、死者と出会う旅、グロテスクな旅。山白朝子さんは、初読み作家さんなんですが、…
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『冬虫夏草』/梨木香歩 ◎

征四郎さん、大好きですぅ~~!!のっけから、妙なテンションでございます(笑)。申し訳ありませぬ。だって、梨木香歩さんの『家守綺譚』の続編なんですもの~。相変わらず、妖気巻きこまれ体質な主人公・綿貫征四郎さんが素敵すぎて、そして植物にちなんだ章タイトルと物語の調和が美しくて、大変良い読書時間を過ごさせていただきました♪『冬虫夏草』、鈴鹿山…
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『遠くの日には青く』/西造+世叛 ◎ (コミックス)

美しくも儚く、青みがかった透明な水の向こう側の世界を垣間見ているかのような、浮遊感。 郷愁をそそる、優しく切なく、そして少しだけ罪作りな物語。 〈タテ読み、タダ読み〉のcomicoで連載されている西造(さいぞう)さんと世叛(よはん)さんの短編集、『遠くの日には青く』が待ちに待った単行本化です。 待っててよかった!とっても、素敵です…
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『ほんとうの花を見せにきた』/桜庭一樹 ○

竹のおばけ、バンブー。中国から来たという。 人間と距離をおいてその存在をひた隠しにしている彼らの中の一人が、凄惨な殺戮現場から幼い少年を救い出した。 桜庭一樹さんが描く、120年の寿命を持つ吸血鬼の物語三編。 私は表題『ほんとうの花を見せにきた』よりも、「あなたが未来の国へ行く」の方が好きかな。 少女である痛みの物語でも、人…
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『ターミナルタウン』/三崎亜記 ○

・・・あ~、・・・う~。 み、・・・三崎亜記さん、世界観の設定ノート見せてくださいぃぃ~!! 私たちの知っている日本とよく似た「この国」。だけど、明らかに構成のルールが違う世界。 多分、どの三崎作品も同じ世界を描いていて、ちょっとしたリンクがあちこちにあって。 人々は、その世界構成ルールに従って、日々を生きている。 元・静原町…
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『偽恋愛小説家』/森晶麿 ◎

デビュー作で恋愛小説賞の大賞を取った、夢宮宇多。彼を担当する新人編集者・井上月子は彼を夢センセと呼んでいる。 その夢センセに盗作疑惑がかけられて・・・。 森晶麿さんは、初読み作家さんです。 『偽恋愛小説家』っていう、タイトルが素晴らしいですよね。非常に心惹かれる。どんな物語なんだろう、とワクワクしながら読み始めました。 タイ…
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『黎明に叛くもの』/宇月原晴明 ◎

昨年、外伝『天王船』を先に読み、年をまたいで本編である本作『黎明に叛くもの』を読み始めました。重厚で緻密で幻想的で・・・読むのにすごく時間がかかりました(なんせ文庫の厚みが3センチ以上ある)。が、やっぱり読めてよかったです。歴史と幻想の物語の名手・宇月原晴明さんの描く戦国絵巻、絢爛豪華で少し切なくて、胸を詰まらせながら読みました。 『…
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『天王船』/宇月原晴明 ◎

わぁ・・・。やっぱりいいなぁ、宇月原晴明さん。歴史と幻想が美しく織り上げる物語、酔いしれました!本作『天王船』が、未読の『黎明に叛くもの』の外伝的短編集であることは知っていたのですが、あえて外伝から読むことにしました。退廃と陰影に彩られた4つの物語、大変堪能致しました! 「隠岐黒」暗殺組織に属する少年と、傀儡(くぐつ)の出会い。「天王…
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『桜の首飾り』/千早茜 ○

桜にまつわる、7つの物語。 儚く美しいあの淡い色合いは、人を魅了するけれど、魔を引き寄せることもあるんじゃないか。 魔とは、ひとの心の隙間。 千早茜さんが描く、心の隙間に滑り込む物語たち。 現実の桜の花びらをつないで作った『桜の首飾り』は、すぐに萎れて茶色くなってしまうけれど、心の中の桜の光景は、いつまでも美しい。 そんな物語…
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『かがやく月の宮』/宇月原晴明 ◎

すっっっごく、お久しぶりでございます(-_-;)。今年2度目の訳アリ転職(パート)&夏バテのおかげで、インプット・アウトプット共に機能停止寸前の水無月・Rでございます。子供の夏休み初日から、新しい仕事なんか始めるモノじゃありませんな(^_^;)。物語はよかったのに、読むのもレビュー書き始めるのにもすごく時間がかかってしまいましたが、宇月…
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『桜庭一樹短編集』/桜庭一樹 ○

桜庭一樹さんらしい〈強化ガラス製の少女〉の物語もあれば、意外な組み合わせの物語もあり、空気感も色々の『桜庭一樹短編集』、大変楽しませていただきました~ 「このたびはとんだことで」 妻と愛人の狂気に満ちた攻防を見守る「俺」は。 「青年のための推理クラブ」 あの『青年のための読書クラブ』のスピンアウト?…
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『金色機械』/恒川光太郎 ◎

え~と、・・・C3PO?!(笑)。『金色機械』というタイトルから、もっと違うものを想像してたら、ホントまんま金色のヒューマノイドタイプのロボットだったので、ついつい<スター○ォーズ>のあのロボットを思い出して笑ってしまったじゃありませんか。いや、全然あんなコミカルな存在じゃないですけどね、金色様は。「月の世界から来た」という金色様を主軸…
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『ことり』/小川洋子 ○

小川洋子さんの作品は、久し振りです。穏やかで静かな物語は、とても落ち着きますね。 ささやかな喜びを描きながらも、全体に流れるのは淋しさと悲しさ、そして温かさ。「ことりの小父さん」と呼ばれる主人公の、ひっそりとした一生が丁寧に、美しく描かれています。 『ことり』というタイトル通り、小さい小さい命を慈しみ、共に生きてきた小父さんの、静か…
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『玉磨き』/三崎亜記 ◎

三崎亜記さんの描く世界は、現代日本に似ているけど、明らかに世界の構成ルールが違う。町が意志を持っているかのようだったり、人や場所が消失することに穢れの意味を持たせ、追及されないようにコントロールされていたり。その世界の物語は何か、うすら寒いものを感じるのに、そこはかとない郷愁を覚えるのだ。 本作『玉磨き』も、そういった我々には不条理だ…
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『逆回りのお散歩』/三崎亜記 ○

相変わらず、水無月・R的「設定ノートを見たい作家さんNo.1」な三崎亜記さんです(^_^;)。 三崎さんの描く〈日本と似ているけれど明らかに構成のルールが違う世界〉は、私たち読者にとって不条理で異質な世界。だけど、この世界はこのルールで回っていて、誰もがそれを疑問に思わず、受け入れられている。ふと思う。私たちの世界が、正常だと言えるの…
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『金色の獣、彼方へ向かう』/恒川光太郎 ○

鼬(イタチ)に似た金色の獣に関する、4つの物語。恒川光太郎さんは、様々な時代にひそやかに現れ、姿を消してゆくその獣と、それに関わった〈人間〉を描く。それらは、聖なるものか、邪なるものか、正邪を超えてただ〈在る〉妖かしなのか。『金色の獣、彼方へ向かう』、向かった彼方で、その獣は何を見たのだろうか。 「異神千夜」人里離れた山の中で暮らす遼…
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『あやかし草子 ~みやこのおはなし~』/千早茜 ○

『おとぎのかけら ~新釈西洋童話集~』で、甘美で仄暗く、纏わりつくような醜さと美しい世界で私を魅了した千早茜さん。本作『あやかし草子 ~みやこのおはなし~』では、京の都に現れては人をあちら側へいざなう〈妖異のものども〉と〈人〉が彷徨う物語が描かれていきます。 「鬼の笛」見事な笛を吹く男に、鬼が嫁を与えるが。「ムジナ和尚」涙を理解できな…
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『デカルコマニア』/長野まゆみ 〇

あ~。これは、忙しいときに読んじゃダメな作品だったわ~(^_^;)。 10日ぐらいかけて、切れ切れで読んだら、混乱しまくりでした・・・。 長野まゆみさん、ごめんなさい~。 メビウスの輪のように廻り廻る一族の系譜を描いた、『デカルコマニア』。 長野さん作品のこういう雰囲気のある物語は、好きなんですけど、どうにも今回は、間が悪かった…
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『11 ~eleven~』/津原泰水 △

あうう~。超・難解でした。帯にね、三浦しをんさんが「完璧」と絶賛してたんですけどね、私には完璧すぎたらしいよ(-_-;)。どうも私、津原泰水さんの幻想的な世界には、合わないみたいだ。残念。『11 ~eleven~』のタイトルにあるように、11編の物語が次々に語り下ろされていく。それぞれに違った作風で、ぞっとするものもあれば、何だかよく判…
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