テーマ:物語

『祝祭と予感』/恩田陸 ◎

あの『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ6編。読んでいてい楽しくて、それでいて緊張して、気付けば1日でイッキ読みでした。恩田陸さん、ホントすごい作家さんです。音楽を愛し、音楽に愛される人々を描いた『祝祭と予感』。どの掌編の主人公の音楽に対する気持ちの深さにも、それぞれに清々しい美しさがありました。 6編とも、本当に素晴らしかった。『蜜蜂と遠雷』…
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『総理にされた男』/中山七里 ◎

中山七里さんの作品は〈悪辣弁護士・御子柴シリーズ〉しか読んだことがなかったのですが、本作『総理にされた男』は全く違った雰囲気で、ビックリしました。ずっとハラハラしどおしで、なんだかすごい勢いで読んでしまいましたわ~。 ある日突然、拉致同然に連れ去られた売れない役者・加納慎策は、時の総理大臣・真垣統一郎の代役を務める羽目になるのだが、次…
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『異人館画廊 ~透明な絵と堕天使の誘惑~ 』/谷瑞恵 〇

ついに、谷瑞恵さんの〈異人館画廊〉シリーズ、ターニングポイント。『異人館画廊 ~透明な絵と堕天使の誘惑~ 』は、とうとう主人公・千景の幼少時の「誘拐事件」の真相が判明します。本作のレビューは、私にはネタバレせずに書くことが出来ないので、申し訳ありませんがその旨ご了承くださいませ。 千景のもとに、図像術をほのめかすような脅迫じみた手紙が…
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『わざと忌み家を建てて棲む』/三津田信三 ◎

本作『わざと忌み家を建てて棲む』は、『どこの家にも怖いものはいる』の続編で、作家・三津田信三氏と怪異譚愛好家の編集者・三間坂氏がとある怪異を読み調べるうちに、身の回りに怖ろしい怪異が迫ってくる・・・という展開は同様ですが、まあ、相変わらず油断が出来ません。三津田信三さんの当時の著作の状況や、『どこの~』の反響についてなどがさりげなく挟ま…
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『夫の墓には入りません』/垣谷美雨 〇

以前、『老後の資金がありません』を超絶切実でいずれ我が身かも・・・とビクつきながらも読んだワタクシですが、本作『夫の墓には入りません』も、タイトルからしてもう非常に〈攻めてる〉ですよ、垣谷美雨さん・・・。これ、嫁の立場と姑の立場で、読み方や感想が全然違ってきそうですね・・・。もちろん私は嫁の立場です。そして、読んでるうちにどんどん背筋が…
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『私の頭が正常であったなら』/山白朝子 〇

山白朝子さんの作品というと、『エムブリヲ奇譚』などの〈エムブリヲ奇譚シリーズ〉の和風幻想譚のイメージが強いので、本作『私の頭が正常であったなら』は、ちょっと意外でした。「現実世界にちょっとだけ不思議な現象が紛れ込んでいる」感じでした。 でも、その「ちょっとだけ不思議な現象」は確かに「ちょっとだけ」なのに、私たちの知ってる現実の裏側にあ…
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『ソラリス』/スタニワフ・レム △

え~と、そのなんですな、本格SFってさ・・・水無月・Rのキャパを軽く超えていくんだなって、痛感しました!!向いてないのね、単純アタマのワタクシには(^^;)。いや、今回は登場人物の多さじゃないんですよ。なんというか、「SF」の「サイエンス」部分が難しかったんですよねぇ。超絶文系人間なもので・・・。スタニワフ・レムさんの代表的SF作品であ…
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『クリスマス・テロル』/佐藤友哉 〇

まさかの、著者・佐藤友哉氏ご本人による〈読者告発〉が物語中で行われようとは(笑)。いやいや、参るわぁ。『クリスマス・テロル』という、物騒かつ何となくメルヘンなタイトルからは、想像できなかったですよ全く。なんていうか、うん、攻めてるねぇ、佐藤さん。攻めてるけど、防衛線も張ってるし、告白も露悪もあるし、非常に混沌としてます。 衝動に突き動…
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『キノの旅(22) -the Beautiful World-』/時雨沢恵一 〇

時雨沢恵一さんの「キノの旅」シリーズ22冊目。パースエイダー(銃器)有段者・キノと喋るモトラド(自動2輪車)・エルメスの、淡々と続く印象的な旅。彼らの出会う国や地域や人々は、現実の私たちの世界のとある部分をデフォルメしたものだったりすることも多い。様々な状況にあって尚、彼らは全てを受け入れ、受け流し、旅を続けていく。『キノの旅 (22)…
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『ブロードキャスト』/湊かなえ 〇

湊かなえさんらしからぬ青春物で、何というか(笑)。イヤミスじゃないことが前もってわかってなかったら、巡り廻る悪意を探して・・見つからなくて呆然・・という流れになってたと思います(笑)。つまり『ブロードキャスト』って、そういう作品でした。 中学時代に駅伝で全国を目指していた主人公・圭祐(僅差で全国を逃す)は、「高校でも駅伝をを頑張って行…
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『断絶への航海』/ジェイムズ・P・ホーガン 〇

去年読んだ『図解で分かる14歳から知っておきたいAI』という、〈AIという技術の基礎知識やそれが人間の未来にどんな影響を及ぼすか〉ということを書いた実用書?子供向け解説本?・・・な本を読んだ際に、〈人間とAIが共存する世界〉として描かれたSFである本書『断絶への航海』のあらすじが紹介されていました。興味があったので〈読みたい本リスト〉に…
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『悪玉伝』/朝井まかて 〇

ううむ・・・。なんか、少々感想が難しいなぁ・・・。本作『悪玉伝』は、実際に江戸時代に起きた「辰巳屋騒動」という、大阪の商家相続の争いを発端とし奉行所役人への収賄で御家人に死罪が言い渡されるに及ぶ、なかなかにセンセーショナルな大事件を描いたもの。朝井まかてさんらしい爽快感はやや抑えめ、私的にはちょっと物足りなかったかなぁ。まあ、かの大岡越…
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『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』荻原規子 ◎

荻原規子さんの〈RDG レッドデータガール〉シリーズの最終巻を読んだのがもう、6年も前ですかぁ・・・。本作『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』は、深行視点の短編3つと真響視点の中編1つからなる、スピンオフ作品です。本編はほぼ泉水子目線でストーリーが展開していたので、別の人の視点で本編の間の出来事やその後のことを知れたのは、…
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『熱帯』/森見登美彦 ◎

著者である森見登美彦さん本人が、帯でこう謳っている。~~我ながら呆れるような怪作である~~(本作帯より引用)うん、ワタクシ、超絶迷子になりながら読んでおりましたともさ、我らがモリミーよ。本作は、とある『熱帯』での冒険譚・・・ではなくて、え~と・・・何と説明したらいいかよくわかりません(笑)。入れ子構造だったり、ループしながらパラレルして…
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『フーガはユーガ』/伊坂幸太郎 〇

暴力で支配する父親、貧困、同級生たちの蔑視、様々な困難を2人で耐え忍んできた双子の兄弟、風我と優我。彼らには、年に1日だけ特殊な能力が発揮できる。と言っても、自由にコントロールできるわけでもなく、大掛かりなことが出来るわけでもない。伊坂幸太郎さん、今回はちょっとなんというか、読んでて辛かったです。『フーガはユーガ』、ラストまで読んで切な…
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『高校入試』/湊かなえ 〇

地方名門公立高校の入試前日、「入試をぶっつぶす」と書かれた紙が、会場となる教室の黒板に貼られているのが発見される。入試当日も、ネットへの試験問題流出、試験会場のリアルタイム実況・・・、対策に奔走する学校側だが、すべては後手に回ってしまう。湊かなえさんらしい映像的展開・・・と言いたいところですが、まず先にドラマ脚本があり、本作『高校入試』…
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『インビジブルレイン』/誉田哲也 〇

誉田哲也さんの〈姫川玲子〉シリーズ第4作。チンピラ惨殺事件を追う姫川たち。上層部からの指示に疑念を持ち、単独捜査を始めた姫川が出会った男の正体。過去の警察の失態を隠蔽したい上層部、上司の進退と真実の公開とそのやり方に苦悩する姫川、『インビジブルレイン』は降り続ける。 チンピラ惨殺事の捜査を続けるうちに、玲子たち捜査一課のメンバーに「今…
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『雲上雲下』/朝井まかて 〇

どこともわからぬ場所で、尾の短い子狐にせがまれて古今東西の物語を語る「草どん」。物語の持つ「力」とその運命、希望の持てる終わりにホッとしました。朝井まかてさんの語る『雲上雲下』すべての世界の物語、〈物語というものの奥深さと力強さ〉を再認識する読書となりました。 怪我をした子狐を助けた山姥も加わり、様々な物語が語られてゆく。龍の子の物語…
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『ドS刑事 ~井の中の蛙大海を知らず殺人事件~』/七尾与史 〇

死体愛好癖が極まり死体を見たいからと警官になり、捜査一課強行犯係に所属する刑事・黒井マヤ(父は警視監)。彼女に見初められ静岡県警から引き抜かれたイケメンな相棒・代官山(通称代官様)。少女のような可愛らしさを持つ、東大卒キャリア(ぽんこつ)の浜田。この三人が乗り込んだ豪華客船・リヴァイアサンに爆弾が仕掛けられ、機動隊爆弾処理のエキスパート…
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『ずうのめ人形』/澤村伊智 ◎

2年半前、『ぼぎわんが、来る』で私を恐怖のどん底にたたき落としてくれた澤村伊智さん。本作『ずうのめ人形』も、最初はグロくはあるものの普通のホラーに見えていたのが、途中からとんでもない展開に。「ホラー読むなら、夏だよな」と思って意気揚々と図書館から借りて来たんですが、背筋凍りましたわ~。 オカルト雑誌編集部でバイトをしている青年・藤間は…
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『殺戮にいたる病』/我孫子武丸 〇

うん、実は〈叙述トリック〉ってことは、知ってて読んだんですよね。な・の・に!まるっと騙されました・・・最後の最後まで!!いや、最初の方で「んん?なんかこれおかしくないか?」って思ったんですけどね、殺人描写のグロさに目眩まされちゃって、そっちに気が行ってしまって(グロいのはあんまり得意じゃないんで)。我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』、新…
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『砂上』/桜木紫乃 〇

北海道の片隅で細々と生きている、作家志望の柊玲央。数年前に離婚した元夫からの慰謝料とビストロ勤務で、何とか生活をしている。桜木紫乃さんの描く作家という者の業の物語『砂上』は、桜木さんの私小説ではないかと思うほどのリアルさをもって丹念に書き込まれる〈虚構〉の切実さが、狂おしい物語でした。 玲央の応募したエッセイ大賞を主宰する婦人誌の女性…
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『東京自叙伝』/奥泉光 〇

時に多数の鼠や地下生物や鳥などに拡散し、時に一人の人間に凝縮しながら、長きにわたって「東京」という土地に意識があり続ける存在の〈私〉。 その私が語りだす、5人の人間に凝縮していた時代の物語、『東京自叙伝』。 いやぁ、読むのに時間がかかってしまって、ちょっと疲れました、奥泉光さん。 この作品、感想難しいです…。 面白かった、と…
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『あとは野となれ大和撫子』/宮内悠介 ◎

いやぁ、面白かった!!大統領が暗殺され、議員たちは一斉に遁走、残されたのは後宮(と言ってもいわゆる妾女の住処ではなく女性の教育機関)の女性たち、という中央アジアの架空の国・アラルスタンを舞台に、その後宮の女性たちが国を守り支える奮闘を描いた、爽快な物語。『あとは野となれ大和撫子』という軽快なタイトル、高等教育を受けた女性たちの苦悩はあり…
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『火の中の竜 ~ネットコンサルト「さらまんどら」の炎上事件簿~』/汀こもるの 〇

車椅子の美青年所長・オメガ率いる、ネットよろず相談所「さらまんどら」。 彼らの得意な分野は「炎上案件」。 店のサイトが炎上してしまったパソコン教室の生徒を連れて行った「先生」こと「ぼく」も、その仲間に加わることになり、事件にかかわっていくことに・・・。 汀こもるのさん、初読み作家さんです。勢いのある展開で、大変読みやすかったです。…
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『ディレクターズ・カット』/歌野晶午 ◎

う~わ~。後味悪~い。さすが歌野晶午さんだよなぁ(^^;)。まさに、『ディレクターズ・カット』。肥大化する自己顕示欲(承認欲求)、捩くれ暴走する「脚色された事実」、救いのないラスト。しかも、実際ありそうなディティールの連続で、読んでいてゾワゾワしました。 知り合いの若者たちを使ってやらせ動画を作成していた製作会社のディレクター・長谷見…
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『異人館画廊 ~失われた絵と学園の秘密~』/谷瑞恵 〇

絵画に対する感性の鋭さや両親の養育放棄からイギリスへ留学し、スキップで大学で図像学を修めた此花千景は祖父の死後帰国し、祖母の営む「異人館画廊」で暮らしている。千景も一員である稀覯絵画鑑賞グループ・キューブのメンバーが関わる、図像が使われているという絵画にまつわる事件を描く〈異人館画廊〉シリーズ。5冊目にあたる本作『異人館画廊 ~失われた…
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『女たち三百人の裏切りの書』/古川日出男 〇

世に流布している『源氏物語』の「宇治十帖」は贋物であるとして、没して百余年の紫式部の亡霊が立ち現れる。「ほんものを語ろうぞ、物語として書にし、世に広めよ」と宣言して・・・。古川日出男さんが描き始めた〈本物の「宇治十帖」〉は、亡霊の語る物語の域を超え、夢と現と虚と実を増幅させながら、時代をの趨勢を飲み込んでいく。『女たち三百人の裏切りの書…
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『サムライ・ダイアリー ~鸚鵡籠中記異聞~』 天野純希 〇

実在の尾張藩士・朝日文左衛門が26年間書き続けた日記の「秘本」が綴られる『サムライ・ダイアリー ~鸚鵡籠中記異聞~』。表本は実在してて、当時の世相・風俗を知る貴重な資料なのだそうですが、こんな異本があったら、こっちの方が世の中には受けたでしょうね(笑)。天野純希さんの描くダメダメ藩士・文左衛門の日々が、なんとも情けなくそれでいて「しょう…
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『室町繚乱 ~義満と世阿弥と吉野の姫君~』/阿部暁子 ◎

室町時代の知識があまりないまま読み始めたのですが、阿部暁子さん、大変面白かったです。 世間知らずだった南朝の皇女・透子の成長を描いた『室町繚乱 ~義満と世阿弥と吉野の姫君~』、相争う南北朝及び幕府という複雑な政治事情を背負った若者たちの苦悩と決意を咲き乱れさせる、力強い物語でした。 吉野の山奥の南朝から、北朝に寝返った楠木正儀を…
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