テーマ:物語

『作りかけの明日』/三崎亜記 ◎

今までの三崎亜記さんの作品を、緩やかに美しくまとめて織り上げるかのような作品でした。本作『作りかけの明日』は、三崎さんがかつて描いた『刻まれない明日』で繰り返し語られた「10年前の事件」で何があったのかを記す物語。あの時何故、こんなことが起こったのか。何故、消失した人々はラジオ局にリクエストを送り、図書館分館で本を借りているという記録が…
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『クララとお日さま』/カズオ・イシグロ ◎

カズオ・イシグロさんって、読むのに気力と脳の活用エリアを必要とする作家さんなんですよね、私。難解である、というのとはちょっと違って、なんだろう・・・彼の作品の醸し出す〈郷愁〉に共感を覚えながらも、何かちょっとしたボタンの掛け違いを意識してしまうような・・・。そんなふうに色々と考えてしまって、ノーベル文学賞の受賞第1作である本作『クララと…
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『ピュア』/小野美由紀 ◎

読み始めて早々に、「あ。私こういうストーリー好きだわ」と思いました。超絶文系のくせに、未来のテクノロジーを描くSFやファンタジーが大好きな私。更に本作『ピュア』は、物語の奥底に物悲しい美しさを湛えていて、私の嗜好をいたく刺激したんですよねぇ。小野美由紀さんって初めて読む作家さんですが、他の作品もこんな傾向なのかしら。読んでみたいですね。…
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『コロナと潜水服』/奥田英朗 ◎

ほっこりと優しくて、ちょっとだけホラー(全然怖くないけど)な短編集。ここ最近の暑さでなんだかイライラしてたのが嘘みたいに心がふんわりとして自然と笑顔になってしまうような、素敵な作品でした♪奥田英朗さん、ありがとうございました!!どういう作品かという前情報なしで読み始めたので、『コロナと潜水服』というタイトルに「深刻な話かもしれない・・・…
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『碆霊の如き祀るもの』/三津田信三 ◎

かなり久し振りの三津田信三さんの〈土着民族系ホラーミステリー〉、〈刀城言耶『◎◎の如き●●もの』シリーズ〉ですな・・・って、『幽女の如き怨むもの』を読んだの2012年?!ホントに?!9年を隔てても読みたいシリーズであり、読み始めれば一気にその世界に戻って行けるシリーズです。はぁ・・・堪能しましたわぁ。『碆霊の如き祀るもの』、怖ろしきもの…
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『クジラアタマの王様』/伊坂幸太郎 ◎

『クジラアタマの王様』というタイトルが、実はなかなかに意味深ですよね。〈クジラアタマの王様〉とはハシビロコウの英語名?学名?なんだそうですが、〈王様〉ねぇ・・・なるほどなぁ。伊坂幸太郎さんが描く、夢の世界と現実世界のリンクストーリー。主人公の岸がすごく普通の人なのが、好感が持てましたねぇ。 実は、ハシビロコウは結構好きな鳥類だったので…
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『狂骨の夢』/京極夏彦 〇

いやもう、ホント勘弁してほしいですよ、この凶器レベルの製本(笑)。まあねぇ、京極夏彦さんだから、しょうがないんですけどね。ノベルス版で読んだんで、まだそんなに重くなかったのだけが救いですよ、まったく(笑)。頭蓋骨や生首が頻出し、登場人物たちのトラウマや執念が錯綜する『狂骨の夢』、なんというか・・・正直言って、大変疲労しました。でも、頑張…
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『間宵の母』/歌野晶午 〇

とてつもないどんでん返しで、読者の足元をすくってくる歌野晶午さん。警戒しながら読んでても、最後の最後に「うわぁ、さすが歌野さんだよ」と唸らざるを得ない作品多々。という訳で、本作『間宵の母』も、ガチガチに警戒しながら読み始めましたよ、私。間宵紗江子という不幸に見舞われ続ける女性の関係者たちの視点から、彼女やその周辺の出来事が描かれます。 …
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『痴情小説』/岩井志麻子 〇

岡山の女たちの、汗したたり情もねばつくような、痴情に溺れる13編。とはいえ、『痴情小説』とは、あまりにストレートなタイトルではありませんかね、岩井志麻子さん(笑)。あまりにあまりなタイトル故、家族にはタイトルを見られないように気を付けちゃいましたよ、ワタクシ(^^;)。一応、未成年な次男もおりますもので(笑)。 本書は、岡山弁がもつじ…
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『おまかせハウスの人々』/菅浩江 〇

あらまあ、私的〈いつもの菅浩江さん(〈ひと〉と〈機械〉の狭間で揺れ動く物語)〉とも、先日読んだ『ゆらぎの森のシエラ』ともちょっと違う印象でしたね。本作『おまかせハウスの人々』は、割とライトに「ちょっと未来の日本(?)で機械文化が進んだら」という世界を描いた短編集です。ライトなSFだけど、人の悲哀もしっかり描かれ、ホッとしたりゾッとしたり…
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『婚活中毒』/秋吉理香子 ◎

いやぁ、なんとも読後感の悪い・・・。でも、ここのところかなり読書スピードが落ちてた私がイッキ読み出来てしまったぐらい、グイグイ読ませる短編集でした!秋吉理香子さん、すごい!さすが!!『婚活中毒』というタイトルもなかなかに思わせぶりで、短編それぞれのタイトルもシンプルにして秀逸。じゃあ、話はライトなのかというと、ドロドロありゾッとするもの…
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『輪舞曲(ロンド)』/朝井まかて 〇

大正期に活躍した女優・伊澤蘭奢(いざわらんじゃ)。彼女の遺稿集の編纂に携わった、4人の男たち。朝井まかてさんによる伊澤蘭奢を浮き彫りにする物語、『輪舞曲(ロンド)』ですが、果たして彼女の本当の姿は描き切れたのか。それとも、彼女は真に〈女優〉として生き抜いたがために、〈女優としての伊澤蘭奢〉が浮かび上がってしまったのか。人は多面体である、…
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『メルサスの少年 ~螺旋の街の物語~』/菅浩江 ◎

私の中では、〈ひと〉と〈機械〉の狭間で揺れ動くものたちを描くSFファンタジーが菅浩江さんの最も美しいジャンルだと思っていたのですが、そんな思い込みを打ち破って〈少年少女の迷いと懊悩に満ちつつも、清々しい成長〉を描いた作品でした。いやぁ、素晴らしかった。なんというか、とても胸に迫る作品です。『メルサスの少年 ~螺旋の街の物語~』は、私の好…
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『楽園の烏』/阿部智里 〇

阿部智里さんの〈八咫烏世界シリーズ〉、第2部開始!です。1部で描かれた山内という世界とその危機、2部ではどう展開しているのか?と思っていたら、『楽園の烏』というタイトル。なんだか、意外なネーミングだと感じられました。 タイトルにに微妙な違和感を覚えながら読み始めると、だんだんにその違和感の正体が明らかになって来ます。気まぐれな養父から…
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『草々不一』/朝井まかて 〇

これは、江戸町人の日常を描いた『福袋』と対を成す作品ですねぇ。本作『草々不一』は、時代は同じく江戸期、描かれるのは武家社会。と言っても、華やかな職に就く有名な人々ではなく、牢人者だったり出世に悩む者だったり、「武士たるもの、こうあらねば」という面目を保つために、迷ったり苦心したりする、なんとも人間味の深いものたちの物語です。やっぱり朝井…
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『三千円の使いかた』/原田ひ香 〇

人によって、三千円の価値はそれぞれ。御厨(みくりや)家の祖母・琴子、母・智子、長女(既婚)・真帆、次女(独身)・美帆、それぞれにとっての〈お金とは〉を緩やかに描く原田ひ香さんの『三千円の使いかた』、それぞれ違う彼女たちの事情、考え方、その考え方の変わって行く様子、興味深かったです。 アラフィフで主婦の智子の章が、一番刺さったかな~。離…
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『姑の遺品整理は、迷惑です』/垣谷美雨 〇

ううう、身につまされすぎて、胃が痛いです、垣谷美雨さん(笑)。いや、まだ現実には両親・義両親ともに健在ですが、いずれはたぶん・・・、我が身です。『姑の遺品整理は、迷惑です』 は、急死した姑の住んでいた団地の3DKを引き払うために、その遺品整理をしなくてはならなくなってしまった望登子の奮闘物語。 最初の頃は、ひたすらため込み気質の姑を恨…
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『ゆらぎの森のシエラ』/菅浩江 〇

読んでて、違和感があったんですよね。あれ、私何読んでるんだろうって。菅浩江さんの作品のつもりで読み始めたのに、何か違う。この違和感は何だろうと思いながら、『ゆらぎの森のシエラ』を読み進めていきました。 違和感の正体は、私の勝手な期待だったことが判明します(笑)。私にとって今までの菅作品は〈ひと〉と〈機械〉狭間で揺れ動く物語だったり、遠…
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『CAボーイ』/宮木あや子 ◎

あ~、面白かった!!楽しかった!!この作品は宮木あや子さんのノリテンポ良し系ですねぇ!読みながら色んなツッコミを入れたり、爆笑したり、大変忙しい読書となりましたよ♪主人公・治真は20代後半なので、『CAボーイ』というタイトルにはちょっと「ボーイ・・・???」ってなったんですけど、途中で『校閲ガール』をはじめとする〈校閲ガール〉シリーズと…
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『神様の暇つぶし』/千早茜 〇

物語の終盤に差し掛かって、「わからない・・・理解できない、いや、理解したいのかどうかも分からない」と思ってしまったのです。千早茜さんの描く、焼けつくような情動とそれが一気に去ってしまってもなお生き続けてしまったうら寂しさに、焦燥と共に突き放されたような気持ちになりました。『神様の暇つぶし』というタイトル、誰が何が〈神様〉で〈暇つぶし〉と…
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『Another 2001』/綾辻行人 ◎

図書館でこの『Another 2001』 を受け取った時、正直「ヤバい・・・」と思いました。まず、京極作品張りに分厚くて重い(笑)。そして、前作『Another』及び『Another エピソードS』で語られた、繰り返す理不尽な〈災厄〉や〈死者〉の存在の不気味さを思い出して。これは、心してかからないと、とんでもなく難航する恐れがあるわ・・…
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『完璧じゃない、あたしたち』/王谷晶 〇

たくさんの「あたしたち」の関係を描く、王谷晶さんの『完璧じゃない、あたしたち』。新聞の書評を見て、面白いかなと思ってリスト入り。23もの短編があり、様々な「あたしたち」がいて、理解出来たり出来なかったり。軽い文体で、するすると読み易かったですねぇ。 最初の物語「小桜妙子をどう呼べばいい」は「自分の1人称を選択できない女」の話。実を言う…
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『シーソーモンスター』/伊坂幸太郎 ◎

2021年、最初の読了本は伊坂幸太郎さんの『シーソーモンスター』です。まあ、本当のことを言うと、21年になってから読んだのはほんの十数ページなのですが・・・(年末は忙しい、と言い訳させてください;;)。この作品は、「人と人の対立」というキーワードで、「海族と山族の血筋をひく者同士はぶつかり合う運命にある」という設定を共有させた、『螺旋プ…
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『零號琴』/飛浩隆 ◎

いやあ、壮大というかもうホント、大変でしたわ~。『グラン・ヴァカンス ~廃園の天使Ⅰ~』で私の心をわしづかみにした飛浩隆さんの『零號琴』、SFでファンタジーでしかも世界観説明がないままに物語が始まるもんだから、世界観が朧げに出も見えてくるまでずっと、「???」が私の頭の中をピヨピヨと飛び交っておりました。 とてもとても、未来の話。人類…
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『発現』/阿部智里 △

〈八咫烏〉シリーズの阿部智里さんのシリーズ外の第1作。・・・なんだけど、う~ん、なんだろこれ。私的にはちょっと不完全燃焼だなぁ。母を自死で亡くした兄妹に『発現』した、怖ろしい幻覚。その過程と苦しみを追う平成30年パートと、戦争帰りの兄の自死の謎を追う弟の昭和40年パートが交互に語られていく・・・。 う~ん、これねぇ、澤村伊智さんだった…
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『四畳半タイムマシンブルース』/森見登美彦 ◎

モリミーこと森見登美彦さんの原点ともいえる〈四畳半にわだかまる腐れ大学生〉が遺憾なくその能力?を発揮する物語(笑)。かつてワタクシのトホホ愛を大いにゆすぶってくれた『四畳半神話大系』のメンバーが、突然現れたタイムマシンを利用して、昨晩壊れてしまったエアコンのリモコンを取りに行こうとしたことで始まる、ドタバタコメディー、『四畳半タイムマシ…
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『30センチの冒険』/三崎亜記 ◎

三崎亜記さんのキーワードが多出する作品。寝過ごしたバスの終点で下ろされた図書館司書のユーリは、〈大地の秩序が乱れた世界〉に紛れ込んでしまう。渡来人としてその世界で〈救世主〉として期待された彼が持っていたのは、30センチのものさしであった。彼の『30センチの冒険』は、この世界を救うのか。ユーリは、元の世界に戻ることが出来るのか・・・。 …
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『理由あって冬に出る』/似鳥鶏 〇

『彼女の色に届くまで』 を読んで、似鳥鶏さん面白いなぁ・・・となり、さっそく図書館で予約を入れた本作『理由あって冬に出る』。似鳥さんのデビュー作なんですってねぇ。テンポよく進むライトミステリで、初々しさも感じられる、いい作品でした!! 文化部部員たちが出入りする芸術棟に幽霊が出る、という噂が発生し、それを恐れた部員たちが練習できる場所…
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『ドミノin上海』/恩田陸 ◎

前作『ドミノ』で〈・・・まさにドミノ〉というアタマ悪い感想(笑)を書きましたが、今回は〈いやはやドミノ・・・〉という更にアタマの悪い感想を、まずは捧げたいと思います(笑)。だって恩田陸さん、とんでもない数のエピソードが絡み合い、パタパタと収束していくんですもん、『ドミノin上海』!!映画監督・フィリップのペット・ダリオに訪れたとある運命…
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『夜は終わらない』/星野智幸 〇

「一度入り込んだら抜け出せない 命がけの最期の物語」という紹介をみて興味が湧いて、読みたい本リスト入りしていた本作・『夜は終わらない』。星野智幸さんは初読みです。男から金を巻き上げ、不要となれば容赦なく葬り去る結婚詐欺師・玲緒奈。男たちを消す際には、彼女を魅了するような物語を語らせるのが、玲緒奈のルール。次々と不要になった男を消していく…
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