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zoom RSS 『群青』/宮木あや子 ○

<<   作成日時 : 2009/01/30 22:45   >>

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映画『群青』の脚本を原案に、宮木あや子さんが書き下ろした、小説なんだそうです。
だからかなぁ・・・。今まで読んできた「宮木さん色」が薄い気がするのは・・・。
沖縄の離島を舞台に、激しく愛を花開かせ散って逝った命、喪った愛に正気を奪われ、そして取りもどされた世界。青く深い色合いの海は、全てを見ていたのだろうか。

宮木さんの、閉鎖された世界で繰り広げられる、美しくも儚く寂しく、触れたら折れてしまいそうなほど研ぎ澄まされた孤独感が、あまり感じられなかった。それでも、吸い込まれるように半日で読了した。
実はまだ、まとまらない思考で、キーボードを叩いている。
どうも、物語の中心点を見つけられないのだ。

病に冒され、南風原島で療養するピアニスト・森下由起子は、島の漁師・龍二と出会い、お互いに心惹かれあい、共に暮らすようになる。病故に出産後半年ほどで逝去。(「紺碧」
由起子と隆二の娘・涼子。たった3人の同学年の子供達は、強く結び付く友情を育てている。ある日、涼子に訪れる、成長の証し。そこから3人の道は少しずつ別れてゆく。(「三原色」
涼子と幼馴染の一也は、思いを通じ合わせる。はじかれた大介は失意のまま、島を去る。一也の悲しみを埋めたいと願う涼子。しかし、一也は海に命を奪われ、涼子は正気を失う。愛した人は、生死のとばりのむこう側で待っているのか。2年半ぶりに島に帰ってきた大介は、涼子を守ろうとさまざまなものに挑む。大介も一度は海に吸い込まれるが、龍二に助け出される。そして、涼子は母に再会する。そして、世界が取り戻される。(「群青」

全編にわたって、深い色合いの海がたゆたっている。紺碧であり、群青である、海の色。深い悲しみをたたえているようで、聖母マリアのマントの色でもある、海の色。
喜びも、悲しみも、孤独も、全てを内に秘め、海は海の子供達である人間を見ている。
その深い青の海の中に見え隠れする、赤い珊瑚のイメージが、鮮烈。

「紺碧」の、由起子と隆二の激しくも深い愛は、とても美しいと思った。お互いがお互いのためにあるかのような、暖かく優しい関係。愛おしむ・慈しむ、とはこういう愛を言うのだと、痛切なまでの愛情が、あふれていた。
「三原色」では、成長して思春期の入り口に達する、子供達の分岐点が鮮やかに描かれていた。
そして「群青」の、失われた世界、再生しようとしては崩れ去って行く世界、現実へ光がさす世界、どれもが広がりを見せていて、悲しみをこえて新しく始まるその先が、優しかった。

強いて言うなら、「群青」の後半が、少し急ぎ過ぎているような気がする。唯一無二の一也を喪い、心を病んだ涼子が再生するためには、大介の喪失と生還、母との再会だけでは、なんとなく無理がある。龍二の後悔とそこから生まれる慈しみの心がもっと欲しかったと思う。
映画脚本という制約があるからだろうか。ちょっともったいない気がする。

(2009.1.30 読了)
群青
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Shogakukan paperbacks 著者:宮木あや子出版社:小学館サイズ:単行本ページ数:2


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『群青』 by 宮木あや子
妖艶かつ哀切ない愛憎溢れた物語を女の視点から描き続けてきた宮木あや子氏だが、本作は女と男の視点が半々といったところだろうか。また限られた時間の中で収めなければならない映画の脚本が原点になっているせいかもしれない、目まぐるしくupテンポに話は進み、感情の動きを納得させるだけの余裕がなく、いつもの情緒豊かな宮木氏らしい作品とはいえない。 ...続きを見る
■空蝉草紙■
2009/01/31 09:28
群青 〔宮木 あや子〕
群青 (shogakukan paperbacks)宮木 あや子小学館 2008-09-30売り上げランキング : 25543おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 離島の女と男をめぐる生と死と再生の物語 長澤まさみ主演、沖縄・八重山諸島を舞台にした映画「群青」の原作小説。 愛する.... ...続きを見る
まったり読書日記
2009/02/02 21:16
群青 / 宮木あや子
あぁ、やっぱり。先に長澤まさみ(映画)ありきの話だったのね。どうりで宮木色(心に秘めた力強さみたいなの)が薄いと思った。しかも、こういう沖縄で再生する話って、どっかで読んだような…、と思わせるところがちょっと残念。でも、青い海と本土とは違う時間の流れを.... ...続きを見る
たかこの記憶領域
2010/03/08 09:34

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
トラバお返しに参りました=3 う〜、やはり水無月・Rさんの書評を見てしまうと今回の宮木さんと同じく、足らないな〜と思ってしまいます(苦笑) 本書はちょっともったいなかった感じですね。私はむしろ最新作『泥ぞつもりて』の方が好きです。もうお読みですか?
空蝉
2009/01/31 09:30
空蝉さん、ありがとうございます(^^)
いやいやいや(笑)。水無月・Rのは、ノリと勢いだけでございますよ(^_^;)。
『泥そつもりて』は、図書館に購入依頼中です。でもいつ手に入るか・・・(購入書籍検討会議が月1回だけらしいので)。
宮木さんらしい、情念深き美しい物語だろうと思うと、今からドキドキします。
水無月・R
2009/01/31 22:19
こんばんは。
脚本の小説化のせいか、本来の力量が発揮されてなかったようで、残念でした。
南の島の景色や海の美しさが印象に残る作品でした。
藍色
2009/02/01 05:49
後半はちょっと駆け足の展開でしたね。そこが物足りなさに繋がっていて、残念でした。
とはいえ、前半はカットしてほしくないし〜。む〜ん。
エビノート
2009/02/02 21:14
>藍色さん。
ホント、もったいなかったですよねぇ・・・。もっと宮木さんの色を出してくれたら良かったかな〜、と思いますね。

>エビノートさん。
そうなんですよね。
全体的なバランスが・・・なんて偉そうなことを言えるほど教養があるわけじゃないんですが、でも「感覚的」に「足りない」と感じてしまい、ちょっと残念でした。
水無月・R
2009/02/02 21:29
そう、本当にちょっと「足りない」感じが私もしました。確かに美しくて、良いことは良いんですけどね。
でも、青い海と赤い珊瑚、色の使い方がうまいなぁ、とも思いました。映像でみたらキレイでしょうね。
たかこ
2010/03/08 09:36
たかこさん、ありがとうございます(^^)。
やはり目で見ることを前提に作ってる映像作品の小説化、ということで非常に美しい情景でしたね。
ただ、宮木さんの特色は、あんまり出せてなかったかな〜と思って、宮木作品好きとしては、ちょっと・・・ですね(^_^;)。
水無月・R
2010/03/08 22:20

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