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zoom RSS 『食堂かたつむり』/小川糸 ◎

<<   作成日時 : 2009/02/08 22:16   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 7 / コメント 13

食べる、という行為は他の命を繋いでゆくということなのだなぁ・・・。
普段、主婦として毎日漫然と料理をしていることを、ちょっと反省する。
(まあ・・・向き不向きというのもあるからな、と逃げておくことにするが。)
小川糸さんの『食堂かたつむり』は、前から読みたいと思いつつ、なかなか手に取ることが出来なかった一冊ですが、ひょんなことから、リアル友人から借りて読むことになりました。
Oさん、ありがとう。とても、良い物語でした。

東京で料理人として勤めていた倫子は、ある日突然、同棲していたインド人の恋人に家財道具・料理器具・二人で溜めていたお金、全てを持ち去られる。自失して、声も失った倫子は、帰るまいと決めていた故郷に戻り、確執のある母から借金をして、実家の土地に理想の店を持つことにする。1日1組限定の、お客様に寄り添う料理を提供する食堂、「食堂かたつむり」を。
「食堂かたつむり」のお客は、料理と空間を提供され、癒されてゆく。
そして、同様に倫子も相手を想い料理をするということで癒されてゆく。
倫子の母を訪れた病魔。倫子の出生の秘密。母の可愛がっていた豚を、母の披露宴の料理に変え、命を引き継いでゆくこと。
そして、様々なことを乗り越え、倫子は声を取り戻す。

・・・確かに、料理って、そうなんだよね。手をかければどこまでも、思い入れればいくらでも、工夫というか上のステップというか、なんて言うんだろう・・・やれることがあるんだよね。
この作品を読んで、ホントそう思った。もちろん、手間はかかるし、知識も必要だし、何よりセンスがなければ、こんな沁み入るような料理は作れない。そして、そのセンスは誰にでもあるものじゃないんだな〜、と思いました。倫子の人を想う優しい心持が、料理に反映されるとき、完璧なものになる。素晴らしいと思うけど、誰もが出来ることではないんだよねぇ。

豚のエルメスを解体して、全てを無駄にせず、料理に変えてゆく倫子の、命を大切にする気持ちが、暖かい。もちろん、可愛がっていた豚を食肉にするという行為は、とても辛いのだけど。
豚は、料理されて人の体になり、受け継がれてゆく。食べるという行為に、感謝できる瞬間を描いた、良いシーンだったと思います。

倫子の母・ルリコが、実は倫子を大事に思っていたこと、倫子の出生の秘密とルリコの結婚。ルリコが遠く旅立って行った事、倫子が料理を作れなくなったこと。そして、癒される料理。
とても、暖かい物語でした。

そんな田舎で、1日1組しかお客を取らず(冬場は営業できないし)採算が合うのか、とか、口のきけない状態で、開業するのは大変だったはずだけど、描かれてないよな〜とか、田舎だから食材は豊富と言っても、山で採れる食材とかって、営業許可に問題が出ないのかしらんとか、色々気になる面はもありましたが。(←余計なお世話)
倫子の料理を食べてみたいなと思いました。もちろん、ちゃんと面接をしてもらって。倫子は、私にどんな料理を提供してくれるのだろうか。「食堂かたつむり」の料理に含まれる魔法は、私にも効くのだろうか。

料理は倫子のレベルには到底達することが出来ないけれど、食べるものに感謝する気持ち失わずにいようと、思いました。私が食べた、野菜や肉や魚、お菓子ですら、他の命から来ている。だから、雑に食べてはいけない、大事に感謝して心をこめて「いただきます」と「ごちそうさまでした」を言おう、そう思いました。

(2009.02.07 読了)

食堂かたつむり
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著者:小川糸出版社:ポプラ社サイズ:単行本ページ数:234p発行年月:2008年01月この著者の新着


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「食堂かたつむり」 小川糸
食堂かたつむり小川 糸ポプラ社 2008-01売り上げランキング : 7334Amazonで詳しく見る by G-Tools 内容説明 衝撃的な失恋のあと、倫子は故郷に戻り、実家の離れで食堂かたつむりを始めた。ここの料理を食べると、恋や願い事が叶うというまことしやかな噂とともに、食堂は評判になるが…。 ...続きを見る
今日何読んだ?どうだった??
2009/02/09 18:15
「食堂かたつむり」 小川 糸
   食堂かたつむり  小川 糸  単行本: 234ページ  ポプラ社 (2008/01) ...続きを見る
コンパス・ローズ  compass ro...
2009/02/09 23:21
食堂かたつむり(小川糸)
何気なく料理を作っている自分が恥ずかしくなった。・・・というと大袈裟だけど、もうちょっと何かしらの気持ちを持って料理を作るようにしなきゃいけないなぁ・・・と反省。そしたら、読了した次の日の朝、お弁当用の卵焼きが近年にないくらい見事に焼けた。お気に入りの韮入り卵焼き。フライパンに卵を流し込んだ時から「お!」という感じで、お箸でくるりんと巻く度に心の中の「おぉ!」が段々と大きくなっていくのが分かる。フライパンから取り出した卵焼きは、お弁当箱にピッタリの大きさ(我が家は卵焼き用のフライパンは使用... ...続きを見る
Bookworm
2009/02/10 05:10
食堂かたつむり 小川糸 ポプラ社
ピン、と一本糸が張っているような、強さを持った作品でした。 ちょっと気力が弱っていた私は、この物語を読むのに、何日も かかってしまった。読み流すことができない、というか。 目をそむけたくなるものを、ちゃんと見なさい、と言われる感じ。 いや、そんな命令口調ではないな。 流し込んだり、よそ見しながら食べたりできなかった。 丁寧に作られた料理を前にして、背筋を伸ばして、ゆっくり頂きました。 ...続きを見る
おいしい本箱Diary
2009/02/11 00:26
食堂かたつむり 〔小川 糸〕
食堂かたつむり小川 糸ポプラ社 2008-01売り上げランキング : 2031おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 料理の神様、お願いします―― 衝撃的な失恋のあと、倫子は故郷に戻り実家の離れで食堂を始める。 ある噂とともに店は評判になるが。 (出版社.... ...続きを見る
まったり読書日記
2009/04/02 21:53
【食堂かたつむり】 小川糸 著
豚舎のドアには、大きく「エルメス」と書かれた表札が打ち付けられていた…  まずは来訪記念のポチッ[:ひらめき:] [:next:] ブログランキング[:右斜め上:]【あらすじ】ある日料理店のアルバイトから戻ると、家財道具もろとも同棲していた恋人の姿は消え、部屋はもぬけの殻になっていた。衝撃的な失恋とともに声まで失った倫子は、ふるさとに戻り、実家の離れで小さな食堂を始める。お客は一日に一組だけ。決まったメニューはなく、事前のやりとりからイメージをふくらませて、その人のためだけに作る料理。食べたお客... ...続きを見る
じゅずじの旦那
2009/04/24 15:09
「食堂かたつむり」小川糸
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本のある生活
2009/06/19 21:34

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
水無月・Rさんこんにちは
ほのぼの〜っといいお話でしたよね。言われるとおりつっこみどころは結構満載だったりするんですが、そこはおいといて…楽しむのが正解だと思います。

わたしも(もってことはないか)料理そんなに得意じゃないので、主人公には憧れます…でも上手じゃなくても心をこめて、食材になった命に感謝しながらつくらないといけないなぁと思いました。
麻巳美
2009/02/09 18:18
麻巳美さん、ありがとうございます(^^)。
食べるって、大切なことだなぁ。命につながることだもんなぁ。
そう思って、今日のご飯は心をこめて「いただきます」しました。(←作るのは・・いつもどおり
水無月・R
2009/02/09 21:56
水無月・Rさん、こんばんは〜
心を込めて作った料理に癒されるって素敵です。
反面エルメスのことはちょっと引っかかりも…
動植物、森羅万象によって続いていく命の連鎖、失われる命にも納得ですが、倫子の言葉にうむむむな私でした^^;
最後に明かされる母の思いには涙です。
最近またすっかり料理の大切さ忘れていました、反省。
雪芽
2009/02/09 23:41
おはようございます。
ツッコミ所満載ではありましたが(笑)、料理の大切さ、日々、命をいただいてるんだということ等、改めて気づかされることを多かった作品でした。
この作品を読んだ時は、感謝の気持ちを忘れないように・・・と思ったんですが、またしてもざざざっと料理してる日々を送ってるような・・・^^;;;
すずな
2009/02/10 05:15
>雪芽さん。
料理というか、食べることへの感謝って、忘れがちなんですよね。
料理は下手でも、食べる命への感謝を忘れてはいけないな〜と思いました。

>すずなさん。
いや〜、ツッコミ処に関しては、言及すべきかちょっと悩んだんですけどね(笑)。
まあ、料理に関しては得手不得手があるわけで(←逃げ)、食べることの大切さを心に刻み、そして感謝して食べることを使用、もちろん子どもたちにもそれを伝えなくちゃね、と思った次第です。
水無月・R
2009/02/10 22:46
こんばんは♪私も、日ごろ、どれだけ手間をかけずに料理するかを考えている人間なんで
この本には、心打たれました。「命をもらう」という事の意味を、考えさせる物語でしたね。
水無月・Rさんの突っ込みに、笑わせて頂きました(*^m^*)
私は小心者なんで、一日一組限定、などと言われると緊張してしまって、ご飯がどんな味か
わからなくなりそうです(笑)
ERI
2009/02/11 00:35
ERIさん、ありがとうございます(^^)。
「命をもらう」ということは、無駄にザクザク〜ッと食べちゃいけない、人間はほかの命に変わることはできないから、食物連鎖の最終点として、感謝しなくちゃな・・・と思いました。
きっと「食堂かたつむり」のご飯は、緊張もほどいてくれるんじゃないでしょうか♪
美味しくて、ほっこりする、素敵なごはんですよ、きっと。
水無月・R
2009/02/11 21:37
倫子の作る「ジュテームスープ」を食してみたいです。恋愛運アップしそう(笑)
「いただきます」や「ごちそうさま」の重みを感じましたね。作るのは苦手ですが、せめて食べる時には食事の大切さを感じながら生活していきたいなと思います。
エビノート
2009/04/02 22:08
エビノートさん、ありがとうございます(^^)。
ひとが生きてゆくためには、食べることは外せないのに、何だか大雑把な扱いをしてしまってる自分を反省しましたね〜。
・・・いや、でも今どうよ、というと(^_^;)。
うん、感謝は大事ですよね(笑)。
水無月・R
2009/04/02 22:23
とくにかく食材が活き活きとしていたように思えます。
それだけでも、うまそうかと(^^ゞ
ちょっと心温まる、いい本でした。
じゅずじ
2009/04/24 15:11
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
お腹がすきますよね〜、この本読むと(笑)。
水無月・R
2009/04/24 21:36
お話自体は、あまりしっくりこなかったんですが、私も食べるものへの感謝は忘れてはいけないなというのはすごく思いました。大切なことだけれど、あまりに日常的なことだからついつい忘れがちになってしまって・・。
それにしても、フルコースはいくらなんだろうとか、お子様ランチのお値段は?とかそんなことがついつい気になってしまいました^^;
june
2009/06/19 21:34
juneさん、ありがとうございます(^^)。
・・・確かに気になる、お値段!!
高校生(中学生でしたっけ?)がお小遣いから出せるだけのお値段のスープとか、一家全員でお子様ランチていくら?・・・(笑)。
厳選素材で心をこめて1日一組って、すっごく高いような気がするんですよね〜。
実際、小川さんはその辺、どう設定してたんでしょうねw(^^)w。
水無月・R
2009/06/20 23:01

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