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zoom RSS 『オトモダチ』(「青い鳥少年文庫」vol.3)/長野まゆみ ○

<<   作成日時 : 2009/06/21 21:43   >>

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『オルスバン』『ヒルサガリ』の少年・僕は、季節限定営業の《孔雀ホテル》のさよならフェスティバルに行く。
そこで出会った、サーカスの曲芸師の少年・アリオトと『オトモダチ』になる。
長野まゆみさんの、美しくて儚い、そして少しもの淋しい物語。

鳥や魚を放す、その祭りの行事で僕が選んだのは、リンドウカケス。リンドウカケスは僕に菫色の羽をくれた。そして、湖畔で出会った人懐こい少年・アリオトに誘われて、サーカスの曲芸を見に行ったはずの僕は、時間があまり経過していないことを知る。別れ際、アリオトは「見送るものの気持ちに引かれて影を失くすから」と目をつぶっていてほしいと頼む。雨宿(アマヤドリ)との別れの時も似たようなことがあった、そんな事を想いながら、僕は見送らず、目をつぶる。
僕が放し鳥をしようと鳥かごに戻ると、リンドウカケスはおらず、兎の耳のような葉が2枚落ちていた。
それを耳にあてがうと、アリオト一家の会話が聞こえてきたのだった・・・。。

今作で、僕の名前が「ルリ」であることが分かる。と言っても、通称のようなものであるらしい。「ほんとうの名前は忘れてしまった」という。父にはたいてい「きみ」と呼びかけられ、何の支障もないという。僕は学校へ行ってたんじゃなかったっけ・・・。学校ではどうなのだろう。というより、本当に僕は学校へ通っているのか?

過去の記憶のない僕。兎の耳を宛がって聞こえてきたのは、‘あの子は素晴らしい青い羽根をしていた‘‘だけど彼は気付いていない‘という会話。やはり、・・・僕自身が、鳥の化身なのだろう。
「ルリ」という愛称、菫色の羽をもったリンドウカケスを放つはずが姿を消していたこと。

青い鳥。メーテルリンクの童話。幸せの青い鳥は、実は家にいたのだと。すぐそばにいるのに、気づかず探し求め、さすらい、失意のうちに帰ってきた家に、実はいる。そういう物語だったが、それを示唆しているのだろうか。
ルリ=僕は、青い鳥なのだろうか。いつか、どこかで、父から飛び立っていくのか。父は医者だが、実はひとの医者ではなく動物(鳥)の医者なのでは。父が助けて、庇護している青い鳥が、僕なのでは。
めぐりめぐる、暗喩。はっきりとしない、人と鳥との境界が、ぼかされているのではないかと。

長野さん特有の、生き物のニオイがしない、もろく儚く描かれる少年はとてもとても美しかったです。
でもやっぱり、前半にある少年人形の写真はいただけない。多分、私の中で既に、長野さんの描く少年が出来あがってるせいなんだと思います。

「青い鳥少年文庫」のシリーズはあと1冊、僕は青い鳥になってしまうのか、自由な世界に飛び立っていってしまうのか。

(2009.06.19 読了)

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青い鳥少年文庫 著者:長野まゆみ出版社:作品社サイズ:全集・双書ページ数:78p発行年月:1999年


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