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zoom RSS 『ブードゥー・チャイルド』/歌野晶午 ○

<<   作成日時 : 2009/07/05 22:18   >>

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誤認識を、そっちに持って行きましたか、歌野晶午さん。
なるほど・・・ですねぇ。その誤認識は、結構リアリティがあるかなぁ、と思いました。『ブードゥー・チャイルド』の書き出しは、とても通俗的なオカルトっぽい。が、そのオカルトっぽい文章を書きつづっているのは、普通の中学生の男の子で・・・。

前世の記憶をもっている中学生のぼく・晃士。その前世とは、黒人の男の子でバロン・サムデイという悪魔に殺された、というもの。ぼくがその前世を調べるためのHPを立ち上げた後、義母は不可解な殺され方をし、ぼくは容疑者扱いされ、父は浮気をしているようだし、そんな父まで何者かに襲われ、意識不明の重体に。義母を襲ったのは、黒人らしいことが分かる。怖ろしい符合にHPを閉じることにしたが、よくHPを訪れていたジュリアンから連絡があり、前世の謎解きや、現世での殺人のいきさつに協力したいという。天才少年・ジュリアンの出生の秘密、晃士の出生の秘密が次々と明らかにされ、殺人の真実も判明する。

あらすじを詳しく書くと、あまりにもネタバレになってしまうので、やめておきますが。でも「読者の誤認識→主人公の誤認識」という転換は、すんごいですね。まあ、最初の段階で「何かおかしいぞ」というヒントがあったし、途中で何回も挿入される「母親」のエピソードと、ジュリアンの語りと合わせて、だんだん途中で真相が見えてくるんですが。そういう意味で大どんでん返しな部分はないんですが、テンポの良い物語運びで、どんどん読んで行けましたね。主人公・ぼくの迷走ぶりが、いかにも中学生らしいというか。

単行本刊行が1998年ということは10年以上前で、不妊治療技術などは現在はもっと向上してるとは思うのですが、基本やはり不妊治療技術そのものに抵抗感のある人も多いのでしょう。だからこそ悲劇の引き金となり、事件の原因になってしまったその事に、悲しみと一抹の心苦しさを覚えてしまいます。どこまで生命の発生に人為を加えていいのか、自分の子供が欲しいと切望する夫婦に、科学的な治療を加えることの是非とか、かなり難しいですから。

あえて、10年以上前に、この問題をミステリーに使用した歌野さんは今、それをどう感じているのだろう。と、ちょっと気になりました。目を引く展開であり、ディティールではあるけれど、当事者の心情はそれぞれだから。代理母が、必ずしもこういった事件に発展するという訳ではないけれど。

ミステリーとしては、ブードゥー教というおどろおどろしい民族的宗教儀礼をうまく使っているなぁ〜と感心しました。「ブードゥー」というと、呪いの人形とか、非常に暗黒なイメージがありますもんね。そのブードゥー教の悪魔、バロン・サムデイに殺された記憶が実は・・・というのがこの物語のキモなわけで。途中で何度も入る黒人女性の述懐と僕の前世記憶が妙に偏執的で、暗黒魔教的な雰囲気を醸し出してましたもんね。
願わくば、最後の最後で騙された!大ドンデンだよ!という衝撃が欲しかったかなぁ〜。

(2009.07.05 読了)

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角川文庫 著者:歌野晶午出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:文庫ページ数:492p発行年月


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