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zoom RSS 『武士道エイティーン』/誉田哲也 ◎

<<   作成日時 : 2010/01/22 23:05   >>

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やっと読めました、誉田哲也さんの『武士道エイティーン』
『武士道シックスティーン』『武士道セブンティーン』に続く、〈武士道シリーズ3部作〉の完結編です。
予想と違って、黄色い表紙じゃなかったけどね(笑)。黄緑色でした。
いや〜、ラストシーン、ちょっと泣きそうになった…。
一緒ではなく、だけど二人が歩いていく武士道、清々しい!やっぱ、いいです、武士道少女!

あの香織と早苗も、高校3年生。
揺れるお年頃なのですよ。自分の事だけじゃなく、チーム全体の事、後輩指導の事、進路の事、そしてもちろん自分の剣道の事。神奈川・福岡と離れていても、通じ合う気持ちのある2人の友情、本当に清々しくて気持ちがいい。 
お互いに精進を重ね、迎えるインターハイ。早苗は日舞からの転向の癖で、実は足を痛めている。それでも、チームメイトの協力を得て、夢の対戦。団体戦の大将戦での息詰まる試合の攻防、なのに二人とも笑っているんだ。2人で戦えることが、楽しくて、嬉しくて仕方ないって。二人の友情を越えた繋がりの強さ、読んでいてホントにいいなぁ〜って思う。
2人の対戦が、インターハイの最初の方で終わってしまうのにはびっくりしたけど。それはそれで、いいのかもしれない。彼女達は、戦うことだけが目標じゃないのだから。お互いに切磋琢磨して、色んなこと考えて、まっすぐに生きていくことの清々しい強さ。それがこの作品のメインテーマじゃないかな〜、と私は思ってるので。
香織は個人戦で、福岡南の黒岩レナを破っての、優勝を果たす。

足を痛めた早苗は、引退を決意。〈和風で武士道で平和〉な、何かにトライしようと。ふと出会った本から「哲学」や「思想」に心ひかれ、それを勉強するために浪人を決意。
香織は警察道場の助教になれる可能性がないことを知り、スポーツ推薦で名門大学へ入学。
再会した時に、香織が「鉄拳制裁」というTシャツを着てたのには、笑った。男子学生からそれをもらった過程もスゴイけど、それに気づかずもう1枚買ってこいと言うあたりがね(笑)。香織のサムライ精神、健在。

合間に挟まれる、関係者たちの物語も二人のストーリーを盛り上げてる。
早苗の姉・緑子の切ない恋の終わりを描いた「バスと歩道橋と留守電メッセージ」
桐谷道場の悲しい過去と、それを切り開いた桐谷先生の兄の物語、そして桐谷先生の剣に対する気持ちの物語く「兄、桐谷隆明」
福岡南の吉野先生の過去、「実録・百道浜決戦」。(実はこれは桐谷先生の話とつながっている)
最後の学年で香織に反抗してしまった美緒の、本当の訳と鮮やかな成長を描いた「シュハリ!」
今までは、香織と早苗の視点で二人の事を描いてきたのだけど、別の目から見たり、ここに至るまでのいろんな繋がりを語ったりするこの構成、よかったと思います。香織と早苗二人の周りにいる人たち(特に大人)が、誰に恥じることなく潔く真摯な生き方をしてるってのがよく伝わってきて。こういう人たちに囲まれていたから、見守られていたから、彼女たちはあんなにも真っ直ぐに、美しく成長できたんだと思う。
色んな事があって、色んな人がいて、繋がって、交差して、出会って別れて・・・。
そして、だから、今、「私たち」はここにいる。

唯一、残念だったのは、ヘタレの清水くんの出演が‘かすった程度‘だったことだなぁ〜(^_^;)。
ほら、水無月・Rはトホホ愛の人だから(笑)。ヘタレでトホホな清水君が、ちょっと頑張ってくれたらよかったのにな〜、と(^_^;)。香織は清水は美緒狙いだ、って言ってたけど、私は清水君の本命は香織だと今でも思ってますよ(←妄想しすぎ)。

しかし、香織は本当に、成長したなぁ。人斬りみたいだったシックスティーンの最初の頃から、無駄に打たず最小限で相手に勝つ、戦いを収めるための剣道をするようになったんだから。兵法者ではなく、武士道を目指して、真っ直ぐに爽やかに。自分の事だけじゃなく、家族や友達や仲間の事を思って、行動できる芯のある子になった。ホント、素敵だなぁ、と思います。剣道指導者になりたい、って思うようになったの、本当に素晴らしい成長だと思う。私も、香織は指導者に向いてるなぁ、って思いましたもん。
ただ相変わらず、喋り方や考え方は、とても女子高生とは思えないほど硬くて〈サムライ調〉なんだけどね。それも、なんだか可愛いぞ〜と思ってしまう。うん、私は完全に香織派だなぁ。

香織は大学生、早苗は同じ大学目指して浪人中、というラストも、まだまだ彼女達の成長が続くんだろうな〜って、ワクワクした。物語は終わりでも、爽やかでいい。すっきりと落ち着く。願わくば、このシリーズの本編はこれで終わり、出すなら番外編がいいかな。武士道シリーズは、女子高生が清々しく爽やかに成長する、そこがいいのだから。彼女達が同じ大学の学生になって、また一緒に稽古する物語も読みたいけど、それは武士道シリーズじゃないと思う。「それはまた、別のお話になる」でいいと思います。
なんかもう、すごい勢いで読んじゃった。ホンットとても、楽しかった。

全ての、武士道シリーズファンに、私からも一言。
〜〜では、武運長久を、祈る。〜〜 (本文より引用)

(2010.01.22 読了)

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武士道エイティーン
 誉田哲也 2009 文藝春秋 とうとう、ここにたどりついた。最後の夏。18歳の、高3の夏。なーのーにー、なんでそういうことが起こるかなぁ?やきもきしながら、2人の成長を見守ることになる。彼女達は変わらず、元気で一生懸命で、だからこそ爽やかで、好感が持てる。 香織と早苗。人によって、どちらに自分を託すか、それぞれだろう。『武士道シックスティーン』、『武士道セブンティーン』と、これまでは香織と早苗が交互に語られる形で進められてきたが、『エイティーン』では合間に、早苗の姉や桐谷先生の若かりし頃、ある... ...続きを見る
香桑の読書室
2010/01/22 23:26
武士道エイティーン(誉田哲也)
武士道シリーズ3作目。 ...続きを見る
Bookworm
2010/01/25 12:45

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは☆ ほんとに末尾がお揃いですね♪
この三部作を貫くメッセージは、がんばる女の子たちへのエールとして、このフレーズに集約されるんだと思うのです。
同じく、私もこの三部作はここで終わることがすがすがしく思えました。すっきりと気持ちよく、この先を祈りながら本を閉じる。
剣道のことは相変わらずよくわかりませんが、とても楽しめた、大好きな作品になりました。
香桑
2010/01/22 23:38
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
武士道ガールズが、健やかに成長してゆく、とても気持ちのいい物語でしたもんね〜♪
剣道が分からなくても、武士道のカッコよさや素晴らしさは、伝わってきましたよね。
水無月・R
2010/01/23 23:44
この作品のレビューを読むとついウルウル〜っとしちゃうんですが。水無月・Rさんのレビューにもやはり私の涙腺を刺激されてしまいました^^;
とっても清々しく、そして熱いお話でした。二人の対決はちょっと残念だったけど、でも、読み進めるとそれは気にならなくなっていきました。
清水くんを主役にした番外編が読みたいです(笑)
すずな
2010/01/25 12:52
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
ええ、私も何だかあのラストシーンを思い出すと、涙が出そうになります(^_^;)。
二人の対決は、万全の状況じゃなかったけど、それでもすごく素敵でした。
これからも、二人が武士道を歩いて行くっていうのが良かったですよね〜。

ええ、番外編でヘタレの清水君にスポットライトを当ててほしいです、トホホ好きの私としては♪もちろん、少しは頑張ってもらわないと皆さまからダメ出しされちゃうんで、ヘタレ返上&トホホ健在でお願いしたい!(#^.^#)
水無月・R
2010/01/25 21:52

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