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zoom RSS 『ロード&ゴー』/日明恩 ◎

<<   作成日時 : 2010/02/02 22:43   >>

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水無月・R大プッシュ有川浩さんが、WEB日記で「面白かった!」と大絶賛。更に、重版分の帯には有川さんの推薦文が付いてますよ〜!(←でも図書館で借りてる私って。)
そりゃ〜もちろん、面白かったですよぅ〜!
このスピード感と迫力は、文句なしのエンターテイメント!
日明恩(たちもりめぐみ)さんの『ロード&ゴー』、エンターテイメントでありながら、社会的な問題にも言及。素晴らしいです

消防隊の機関員(運転者)・生田は、消防車から救急車への転属をして2ヶ月。救急隊長・筒井、女性救命士の森と共に出動したその帰り、路上に倒れている男性を収容。ところがその男性・悠木は突然、森を人質にとり、「自分も家族を人質に取られているのだ」と救急車ジャックを宣言。悠木を脅迫している犯人からTV携帯に電話があり、実際人質を取られていることを確認し、更に犯人から携帯電話での監視を受けた筒井のチームは、犯人達の言う通りに救急病院を目指して走り始める。犯人は、TV局と警視庁に〈マスコミは救急車を中継、警察側からの関与の禁止、道路封鎖や通行規制の禁止〉という犯行声明を出す。
犯人からの指令で、無線をONにして制限時間内に救急病院を転々とする間、森を救出しようとした筒井が腹部を刺され、筒井を下すことを犯人に頼むが許可されず、車内の緊張は高まる。

・・ううう。長くなりそうだ。あらすじはやめよう・・・。
実を言うと、最初の辺りは読みづらいなぁ〜って思ってたりしました。文章的になんとなく慣れないのと、消防署(隊員)についての知識がないので、説明的な文章があるのはありがたいんだけど、それが物語の腰を折ってる感じがして。だけど、救急車ジャックが発生してからは、どんどん状況は変化するし、登場人物たちの心情も見えてくる。物語が走り始めるとやはり、どんどん読み進められるようになりましたね〜。
犯人の狙いは、途中で見えてくるんだけど、どういう風に物語を収めるのか、生田や森たちがどんなふうに行動するかに、非常にドキドキしました。

救急病院の受け入れ拒否や、救急士が単独では医療行為を行えないこと、患者の状況を読み切れず間違った判断をしてしまうことなど、社会的にも問題になっている点が、この事件のきっかけになっている。
私は救急車を利用する方の立場で、救助側の事情はあまり知らなかった。法律的な制限、病院の受け入れ態勢の制限など、知らなかったこと、なんとなくは知っていてもそこまで厳しい制限があったなんて分からなかったこと。
色々な問題点を知ることが出来て、良かったです。
もちろん、現状よりもっと良くなる事を願いますね。この本がいろんな人に読まれて、状況がいい方に変わるといいな、と思います。

しかし・・・消防庁の登場人物達が皆、カッコよかった!!
冷静に的確な運転をしつつ、情熱的に悠木を説得しようとする生田。救命士としての正論との葛藤を乗り越え、強くなる森。刺されても気丈に対応し、救急救命の真髄―命を救う―を体現しようとうする筒井。無線指揮を執る、辣腕の鬼島。走行給油をするレスキュー隊・星野。そして・・・名もなき数々の消防隊員達・・・。
命を救うために、技を磨き、心身を鍛え、全力を尽くす、その真摯な姿勢は・・・あまりにも尊い。
もちろん、消防庁だけではない。押し寄せるマスコミを一喝し、夫を鼓舞した生田の妻・冴子。最初の情報を捨ててしまって後悔に駆られ、些細な情報でもきちんと対処したTV局の徳居。無線傍受をし、ネット中継をしつつ、掲示板の荒れを収めようと努力する女子高生・真琴。
それぞれが、自分の本分を尽くそうとする姿は、潔くて、美しい。

反面、ネット中継で野次馬根性をむき出しにする「不特定多数の人間」の醜さは、あまりにも酷かった。だけど、これは実際にあちこちの掲示板で見られる状態なのだ。匿名であるがゆえに、自分と関わりない事を高みの見物で、面白半分に茶化している、無責任さ。この国の理性は、どこに行ってしまったのだろうかと、歯ぎしりしたくなる程だ。
こんな醜い姿を(ネットで匿名とはいえ)さらすことに、躊躇を感じないのだろうか。せめて、この作品を読んだ人には、伝わってほしいものだと思う。

そう、私にとってこの作品ですごいと思えたのは、もちろん生田達の救急救命に対する真摯な態度や行動、それから救急救命の社会的問題点でもあるんだけど、実際は第三者である無線傍受者とネット掲示板参加者達の物語が加えられてる事だった。他者を貶めて自分の位置を確認したがる最近の傾向が、私は好きになれないのだ。そうすることで、自分の品位が下がってるって事に、気づいてほしい。そんなみっともない、人として情けない行為がまかり通らないで欲しい。そこに言及してくれた日明さんに、私は拍手を送りたいと思う。

命を救うために都内を駆け抜ける救急車、ラストを飾る救急への隊員達の決意、とても迫力のある、素晴らしい作品でした!

(2010.02.02 読了)

ロード&ゴー
双葉社
日明 恩


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タイトル (本文) ブログ名/日時
ロード&ゴー(日明恩)
面白かった〜。 ...続きを見る
Bookworm
2010/02/04 05:27

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私も有川さんが絶賛!されていたので手に取りました(笑)面白かったですねーっ!
救急隊員だけじゃなく、無線傍受者とネット掲示板参加者達の姿が描いてあったのが良かったですね。作品の深みが増したような気がします。救急問題だけではなく、様々な立場の人々のモラルを問う作品でしたね。
すずな
2010/02/04 05:31
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
家族を愛し、家族に愛されている生田が、カッコよかったですね〜!もちろん、ほかの登場人物もですが!
有川さんが描く社会的な問題点と同じように、面白い読書体験の中で気付かされることがたくさんありました。
水無月・R
2010/02/04 22:32

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