蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ばらばら死体の夜』/桜庭一樹 △

<<   作成日時 : 2011/11/24 21:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 4

あ〜。なんか、すご〜〜〜く、いやな読後感です。なんというか、直木賞後の桜庭一樹さんて、どうも〈人生のぬかるみ系〉なお話が多いですよね…。
今回は多重債務者がどこまでも転がり堕ちていき、取り返しのつかない終わりを迎えるその過程の物語。
『ばらばら死体の夜』というタイトル通り、冒頭から死体を解体するシーンがある。殺人者は殺した相手を、「生きててもばらばらな人間だったから、殺してばらばらにすることで形として安定した」と感じ、
〜〜ばらばらにしてあげなくてはならないのです。〜〜 (本文より引用)
と、ひたすらその行為に没頭する。

何か・・・感想難しいなぁ。メインの登場人物、白井沙漠・吉野解ともに、全然共感できないのである。
それぞれに借金があり、解の元々の借金の理由はともかく(沙漠に関してはその理由すら私には理解不能)、ズルズルと返済しきれず、それが多重債務になっていく自覚のなさに、とてもイライラするのである。
ほんの少し前まで、「ご利用は計画的に」といいつつ、可愛らしい動物やアイドル、贅沢したっていいじゃない的なシチュエーションの使ってのCMが、TVのコマーシャルタイムを席巻していた。それを見て、己の快楽や「ちょっと借りたってすぐに返せる」などという甘い考えに流され、気軽に消費者金融からの借金を繰り返し、いつの間にか多重債務に陥る人々が、どれだけいることだろうか。
「人生そんなに甘くないぞ!」なんて、正論を振り回したくなってしまうのである。小市民なんで。

300万貸してくれという沙漠、それならついて来いという解、そして二人が行き着いたのは、解が高校まで母親と暮らしていた掘立小屋のような家。
しかし、いきなり殺しちゃったのは短絡だと思うんですよね。何と言うか、もうちょっと心の機微の説明のようなものがあってもいいような。
しかも、そのあと死体の一部が見つかり、それが誰の死体であるかも判明したのに、それでも犯人が捕まらないまま終章まで行ってしまうってのは、どうなんだろう。日本の警察力って、甘くはないと思うんだけど。レンタカーから何か判らないの?とか、殺人現場はかなりの異臭がするはずだからいずれ判るんじゃないの?とか。どうもそういうところが気になってしまって。

メインの物語は、救いようがないというより、同情の余地なしって感じ。
見知らぬ男に体を許す沙漠、いきなり昔の下宿に踏み込んで女を犯す解、何か不都合があっても「そのことは後に…」と後回しに繰り延べしてしまう二人。いつも、ふらふらとしていて、自力で何とかしようとはしないで、何とかなるんじゃないか、そういう甘い考えで、結果悪循環になるだけ。イライラする。解がママ!とか言い出すのも気持ちが悪いし…。
借金のある知人の娘に部屋を貸す大家の佐藤が、その知人である女の死の原因になったこと。ケネディ大統領の弟テッドに自分をなぞらえて、甥達を助けて善行を成そうというその大家だけれど、どうもそれも自己満足のような気がしなくもないし。

エピローグで、解の娘・夕は読書会に参加し「罪を犯した人間は、罪が顔に出たり、その後の人生が狂ったりするものかな」と思う。そのあと夕は帰宅し、玄関先で解と顔を合わせる。その年頃の父娘にしては親しく優しさのある会話をした後、歩き去る父を見た夕は、両足首に鎖か錘でもついてるような重たげな歩き方をしてると思う。解の罪は、厳然として解の身に表出しているが、その罪を知っている人間は少ない、という物語の終わり。
もちろん、夕は父の罪を知らない。知る由もない。だが、夕は直感でそれを知っている。
例え、この後も解の罪が表沙汰にならなくても、解の体には異常なスピードで老いが降り積もる。だが、人を殺したという、その大きな罪はそんなことで贖えるものではないと思うのだ。そこが、不満でもあった。

(2011.11.22 読了)

ばらばら死体の夜
楽天ブックス
桜庭一樹 集英社発行年月:2011年05月 ページ数:354p サイズ:単行本 ISBN:97840


楽天市場 by ばらばら死体の夜 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ばらばら死体の夜 桜庭一樹
ばらばら死体の夜著者:桜庭 一樹集英社(2011-05-02)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る 2009年、秋。翌年6月から施行の改正貸金業法がもたらすのは、借金からの救済か、破滅か―四十過ぎ ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2011/11/25 22:41
ばらばら死体の夜(桜庭一樹)
タイトルからして凄いんですけど(笑)でも、桜庭さんだな〜と納得のタイトルですね。 ...続きを見る
Bookworm
2011/11/28 12:38

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは^^
ここまで主人公の気持ちに共感できず、また出てくる人で好きな人が一人もいないという作品は珍しいなと思いました。ここまでくればあっぱれです。
いろんなカラクリが隠されていて、そこは流石だなと思ったのですが。
罪が公にされなかったというのは不満ですよね。やっぱり罪は罪で、その罪は償わなきゃいけなかったと私は思います^^;
苗坊
2011/11/25 22:40
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
そうなんですよ…ホントにイライラしちゃうんですよねぇ。身の丈に合う、って言葉を知らんのか!って。
物語としてのつくりは、さすがの桜庭さんなんですが、「ひとごろし」という罪に関して、何も償わないのは、納得がいかないですよねぇ…。
水無月・R
2011/11/25 22:50
イライラして嫌ぁ〜〜な気分になるお話でしたねぇ。ここまで登場人物に共感できない小説も初めてだったような気がします^^;
でも、嫌な気分になりつつ、先が気になって読んでしまったのは、さすが桜庭さんだな〜と思いました。
すずな
2011/11/28 12:48
すずなさん、ありがとうござます(^^)。
そうなんですよねぇ・・・、〈人生ぬかるみ系〉とか言いながらも、ついつい読んでしまう、桜庭マジックです(^_^;)。
しかしホントに、共感できなかったですよね〜。逆にすごいことなのかもしれないですよね。
水無月・R
2011/11/28 22:49

コメントする help

ニックネーム
本 文
『ばらばら死体の夜』/桜庭一樹 △ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる