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zoom RSS 『クローバー・レイン』/大崎梢 ◎

<<   作成日時 : 2012/08/11 23:58   >>

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ええ話やわぁ〜!と、読了して叫ぶ。とっても、ほっこりしました。
割とエリートで優等生な編集者だった主人公・彰彦が、「過去の人」扱いな作家・家永の素晴らしい作品と出会い、周囲に猛反対されながら刊行へ向け様々な努力を重ねていく中で、自分の中にあった心のわだかまりとも向き合っていく。
その作品『シロツメクサの頃に』にちなんでつけられたタイトル、『クローバー・レイン』
私も、誰かの上に降る雨になりたい。そして、私の上に降る雨を、感じたい。そう思いました。

大崎梢さん、「成風堂シリーズ」「ひつじくんシリーズ」に続いて、満を持して編集さんを主人公に持って来ましたねぇ!…って思ってたら、私まだ読んでない『プリティが多すぎる』は雑誌編集者さんが主人公だったそうですね(笑)。(←図書館の予約順番待ち中)
大崎さんの描く出版業界(本屋さんも含む)モノ、とても素敵です〜!
「いい作品」と出会うと、きゃあきゃあ大喜びしながら読む私ですが、そういう素晴らしい作品でも世の中に出てくるまでに、色々な段階を経ているんだなぁ、出版社の編集さん、営業さんが、そして本屋さんが、それから同じ作家の方の書評やエッセイ、色々な人やことがらに後押しされて、私の手元に届くんだなぁ…って、感慨が深かったです。
いい作品だからって簡単に出版できるわけじゃない、「内容に関係なく、売れる・売れない」の判定がまずあるというのが、残念なことだけど、それを乗り越える情熱が、本当に素晴らしかった!
ああ、家永嘉人(大崎梢)『シロツメクサの頃に』を読んでみたい。きっと、心温まる、素晴らしい作品だろうと思う。読みながら『クローバー・レイン』を思い出して、この作品なら確かに、色々な人の心をとらえて情熱を傾けさせるに足る、私もこの物語にちょっとでも関わりたい、とブログの原稿書きにも力が入るんだろうな、なんて思ったりしました。

彰彦のわだかまりでもある「なおちゃん」の存在が、ずっとひっかっかっていました。幼馴染の河上との会話の内容が、少々不穏な気配を漂わせていたので。でも、ラストで私の全ての懸念を払拭して届く雨が、とてもよかったです。
こういう「なおちゃん」との交流があり、気にかけてきたからこそ、彰彦は誠実で真摯に人や仕事(素晴らしい作品)に向き合うことのできる男になれたんだろうな、って思いました。

実は、最初の方は「他の大崎さんの本がらみシリーズの方が面白いかな〜」なんて、あまり読むスピードが出てなかったんですよ。確かに、切々と迫る物語なんだろう、彰彦が刊行に向け情熱を捧げるようにして取り組んでいるし、出版社内部のアレコレも興味深い、とは思ってたんですけどね。これは評価としては「○」かな、と。
だけど、営業のホープ・若王子が再登場してからの展開が、すごく戦略的で面白くて。読むスピードがぐんぐん上がるわ、ニヤニヤ笑いがあちこちで頻発するわ、「絶対◎評価だよ!」と、変更。
一番笑ったのは「王子の憧れの先輩に祭り上げられる事件」ですかね(笑)。きっと王子、《そろそろあのネタ使える時期だから、よし、ここでかましてやろう!》って思ってたに違いない♪書店員さんたちの中での王子扱いが定着し、若く見目良く優秀な先輩編集者が熱意を傾けてる作品、よしいける!って感じで。喰えない王子だなぁ(笑)。
王子は私の好きなトホホじゃないけど、こういう風に頭の回転が良く、自分のキャラを最大限に生かせる人も好きですねぇ。

紆余曲折を経て『シロツメクサの頃に』は刊行され、増刷への戦略も着々と進む中、刊行へ向けてのやり取りから育ち続けていた家永の娘・冬実への彰彦の想いが、ばっさりと断ち切られるという事態が起こる。
だが、しばらくして、それを告げた家永からまたその事態が解消されたと聞かされ、そのやり取りから事情を察したらしい家永に、彰彦は穏やかな表情を向けられる。
冬実との再会で、一緒に行った書店の『シロツメクサの頃に』のディスプレイ。そこで見つけた、サンフランシスコからの感想。
細かく、キラキラと光りながら降り注ぐ、温かい銀色の雨。様々な人の、それぞれの思いを乗せて、誰かを潤す雨。
とても、美しいラストシーンでした。

そして、読了するなり「えぇ話やわぁ」になったというわけであります。
まあね、上手く行き過ぎのきらいもあるんだけどね。よく出来た営業・王子の助力とか、ライバル社・相馬出版の国木戸の、雑誌取材での「対立すると見せかけてのさりげない協力」とか、そううまく運ぶか?そんなにうまいこと協力してくれる有能な人物ばっかりか?ってのはね。ちょっと思ったけど。
でもそんなコトはどうでもよくなっちゃうぐらい、素晴らしかった。
「本」というものが好きな私への、ご褒美のような作品でした。

願わくば。
いつか、「成風堂シリーズ」「ひつじくんシリーズ」とコラボしてほしいなぁ。
彰彦が「良い作品」の刊行へ尽力し、王子が抜け目なく営業し、ひつじくんが王子にいじられたりながら、みんなで成風堂へ行くの。そんな物語が読めたら、きっと私は喜びのあまり、感謝の舞を舞ってしまうかも(笑)。

(2012.08.09 読了)

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大崎梢 ポプラ社発行年月:2012年06月 予約締切日:2012年06月06日 ページ数:315p


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クローバー・レイン 大崎梢
クローバー・レイン (一般書)著者:大崎梢ポプラ社(2012-06-07)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る オススメ! 作家=小説を書く人。 文芸編集者=小説のためになんでもする人。 老舗の大手 ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2012/08/12 10:39
クローバー・レイン(大崎梢)
ハラハラドキドキワクワクウルウル。楽しかった!面白かった!泣けたーっ!じわ、じわ、じわわわっと何度も何度も涙腺が刺激され、お陰でずーっと涙ぐみながら読んでたような気がします。途中で止められなくって一気に読了。その後数日は、何度も読み返しては余韻に浸ってしまいました。 ...続きを見る
Bookworm
2012/08/17 12:41

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは^^
あら、「プリテイが多すぎる」よりも先に来たんですね^^;その作品に登場する出版社とここの出版社は同じみたいですよ。私は読み終えたあとに知りました^^;
この作品を読んでいて、本を好きで良かったなと思いました。とても幸せな気持ちになれました。大手出版社って、割と自由にやらせてくれるのかなと思っていましたけど、逆に色々縛られているのかもしれないですね。
彰彦頑張りましたよね〜。かっこよかったです。
苗坊
2012/08/12 10:41
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
この作品と『プリティ〜』は、会社が同じなんですね!うわぁ、楽しみですぅ〜♪
そうですね、ホントに「本」が好きでよかった、って思える、いい作品でした!
王子の抜け目なさに笑い、彰彦のひたむきさに心打たれ、本にかかわるすべての人たちの努力と情熱に感謝した一冊でした。
水無月・R
2012/08/12 11:19
TB&コメントが遅くなってしまってすみませんm(__)m

ホントに「えぇ話やわぁ」でしたねーっ!ご都合主義な部分も無きにしもあらずでしたが、そんなことは気にならないくらいのめり込んで読んでしまいました^^;
こんなに沢山の人の思いによって私の手元に本が届いてるんだなぁということを改めて感じる事が出来た作品でもありました。
すずな
2012/08/18 06:42
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
いえいえ、お気になさらず♪
私たちの好きな「素晴らしい作品」たちが、本当に色々なことを乗り越えて、私たちのところへ届くんだなぁと、本当に感慨深かったです〜。
これもシリーズ化、せめて他の「本にまつわるシリーズ」とのコラボがあったらいいなぁ、と願わずにはいられませんね。
水無月・R
2012/08/19 22:14

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