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zoom RSS 極北ラプソディ』/海道尊 ◎

<<   作成日時 : 2012/11/27 20:34   >>

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前作『極北クレーマー』の事態終了(ていうか、全然終わってなかったけど)から、作品内時間で半年後、本作『極北ラプソディ』の物語が始まる。
前作のラストで「不良債権病院立て直し請負人」として颯爽と登場した世良だったけれど、極北市民病院の院長となって進めた改革は「人件費の節減」「救急を受け付けない」という、基本的ではあるけれど地味で、病院の患者数も減ってしまうようなものだった。
すっかりやさぐれてしまった、今中先生(ヒグマのプーさん・極北市民病院副院長)。
さて、海堂尊さんが描く、財政破綻・内部崩壊の地方行政及び医療の再生の行方は。

最初の頃の、今中のやさぐれっぷりが意外過ぎて、すごく驚きました。前作の終わりごろ、結構目覚めた感があったので。でもね、それもやむなし。外科の先生にとって、救急を隣市の病院に任せて自分の病院では対応できない、その自分の病院はジリ貧で患者も来ない、来る患者といえば診察料を払わない。そんな状況は、つらいものねぇ。マスコミには叩かれるし。
そんなある日、救急依頼を断ったかかりつけ患者が、隣の雪見市の救急救命センターへの搬送中に死亡。マスコミは大騒ぎし、世良院長はその対応会見の席で、今中をその救急救命センターへ派遣することを宣言する。
救急救命センターには、あのジェネラルこと速水とハヤブサこと花房がいるのだが、彼らは救急救命センターでの主流派ではない。速水が切望していたドクターヘリを所有しているセンターでの勤務だったが、速水はドクターヘリには乗らず「患者を早く俺のところへ連れて来い、おれはその命を救う」といい、他の救急医や看護師たちから「乗らずの将軍」呼ばわりされている。
勤務初日からドクターヘリ搭乗・患者収容後の置き去りの洗礼を受けた今中だが、救急の現場にいることやドクターヘリという特別な存在にかかわる人々とのやり取りから、少しずつ研ぎ澄まされていく。

う〜あ〜。ダメだ、あらすじ書こうとすると、すごく長くなってしまう。
途中だけど、止めよう・・・(-_-;)。
色々なことが起こって、偶然が必然を引き寄せ、お互いに絡み合いながら、地方医療の再生と『ナニワ・モンスター』で彦根が提唱した〈日本三分の計〉の下地作りへと繋がっていく。

しかし、桃倉センター長がスキー場の雪崩事故で胸にストックが刺さる大けがを負い、その場にいた花房は天候条件でヘリは飛ばないはずなのに、それでも速水は来ると信じていたんですよね。救急患者に対する、激烈なまでの速水の意志と行動力に、英は絶対の信頼を置いている。
そして、ドクターヘリを運用する航空会社の規定に違反させてでも、速水は「乗らずの将軍」を返上して、爆弾低気圧の目のスキー場に舞い降りる。そして、ヘリでの移送中の処置のため、ヘリのローターを止めさせるんだけど…つまりは、滑空といえば聞こえはいいけど、落下よね?!…さすが、ジェネラル・ルージュ。やることが大胆すぎる。しかも成功させるし…ホント怖ろしい人だよ、速水は…。

そのドクターヘリの活躍の後、雪見市のドクタージェットの導入のためのトライアルに、極北市民病院に協力要請が来る。世良と今中の二人がそれに参加するんだけど、看護師として登場するのが、花房。
結局世良と花房って『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』の頃、始まったか始まらないかで終わってしまったのかなぁ…と思ってたので、ここで何があったのかわかるのかなぁと思ってたら。あのラストの花房の選択には驚きました。

ドクタージェット・トライアルの行き先に選ばれたのが、神威島。この島は、世良が東城大学医学部付属病院を離れた後、心広く素晴らしい医師・久世と出会った場所だという。その久世と再会し、旧交を温めていた時、ドクタージェットのパイロットが急激な腹痛に襲われるという事態が発生。
その場にいる現役外科医は、今中しかおらず、今中は責任ある立場での手術の中で、壁に当たり、そしてその壁を乗り越える。
あ〜、良かった〜、前作ではちょっと物足りない感じで、今作では最初やさぐれてたので、今中センセのことは、ちょっと心配だったんですよね。これで今中先生もきっと、「北」の医療に深く携わる医師として、大きく成長して「北」を守れるんじゃないでしょうか。

世良が東城大学を離れたとき何か事件があって、酷く傷ついていたのを迎えてくれた神威島と久世先生。どんなことがあったんでしょうねぇ。気になります。たぶん『スリジエセンター 1991』でそのあたりは明らかになるのでしょう。
極北シリーズ(?でいいのかな)はこのあたりで一段落でしょうか。でも、三枝医師の裁判はどうなったのかしら・・・。この件に関しては、また別の作品で経緯を知ることができるいいな、と思います。

そういえば、前作『極北クレイマー』で、最終的に病院から去った後藤医師と並木看護師が、神威島の久世先生のところにいました。二人は結婚して、もうすぐ子供も生まれるということで、明るい未来を切り開くことを象徴するような出来事だな、って思いました。よかったねぇ、後藤君。

(2012.11.27 読了)

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極北ラプソディ(海堂尊)
「極北クレイマー」の続編的作品。 ...続きを見る
Bookworm
2012/11/28 11:05

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
久々に海堂作品で面白かった!と思える作品でした。現在の地域医療の問題など、色んな事を考えさせられました。
ま、それより何より、速水の登場が嬉しかったんですけどね〜(笑)花房の選択にはちょっと驚きましたけど^^;
すずな
2012/11/28 12:54
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
花房の選択は驚いたけど、思いは深いんだな〜と思いました。
地方医療の問題、小説の中だけではなく、現実にもあるものですもんね…。
今後の展開が、とても気になります!
水無月・R
2012/11/28 22:06

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