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zoom RSS 『追憶の夜想曲』/中山七里 ◎

<<   作成日時 : 2015/09/25 11:55   >>

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緻密な調査と冷徹な思考力とギリギリの手法で、不利な裁判を勝ち抜く悪辣弁護士・御子柴礼司。彼が他の弁護士からゆすりまがいの方法で無理やり担当を替わった、主婦の夫殺害事件の弁護。なぜ、彼は儲けにならないこの裁判に関わることを望んだのか。
中山七里さんによる法廷劇は、前作『贖罪の奏鳴曲』よりも緊迫感を増した感じがしましたね。
『追憶の夜想曲』、御子柴の選んだ、弁護の結末とは。

かつて少年時代に犯した少女殺害を再現する夢から目覚めた、御子柴。
裁判関係者から刺されて3か月の休養を余儀なくされた彼は、復帰の手始めに同業者を恫喝して、とある事件の弁護担当に就くことに。
本人が殺害を認め、一審を有罪で終えたその事件の弁護を受けるメリットは、ない。
御子柴の狙いは?そして、裁判の行方は。

容疑者である主婦・亜希子が、誰かをかばっていることはすぐに分かったし、かばってる相手も想像がついたのですが、御子柴がこの事件に関わろうとしたきっかけが全然わからなくて、読みながらずっとその疑問がぐるぐるとまわっていました。
御子柴の調査が進むにつれ、もしかしたら?と気づいたのですが、そうすると御子柴が自分と亜希子の関係性を表沙汰にせずに弁護を終えられるのか、そっちがドキドキして息詰まるような気持ちで読んでいました。
まさか、最後の法廷で露見してしまうとは。そんなリスクを負ってまで、彼がしたかったこと。
前作同様、「ひとを殺したという事への贖罪」は一生背負ってゆかねばならない軛だと覚悟した御子柴の、〜〜償うことで人は生きていける〜〜(本文より引用) というセリフが、深く刺さるラストでした。

亜希子の次女・倫子の存在が、物語の深みを増していたととても感じます。たった6歳の子が、母親が父親を殺した(倫子は信じていない)という事件にかかわる弁護士を訪ね、手伝いたいという。もちろん御子柴が手伝わせるわけはないのだけれど、倫子に調子を狂わされる御子柴の様子が微笑ましかったのが、結構意外でした。子供って、存在そのもので破壊力があるなあ(笑)。あの御子柴を笑える日が来るとは、私は思ってもみなかったですよ。

裁判での岬検事との攻防、素晴らしかったです。冷静で老獪な検事、奇手をもって裁判を覆そうとする御子柴、お互い挑発には乗らず、自分の持ちうる事実というカードを開きながら傍聴人や裁判員、裁判官への心証を操ろうとするその手腕、見事というしかありませんでした。
最後に御子柴が流れを変えた、裁判の方向性。ただし、御子柴は過去の露呈という弁護士としての最大の弱点をさらすことになってしまった。今後、彼は物語世界から、退場してしまうのでしょうか。この後の彼を見てみたい気がします。

しかし、物語の途中で突然差し挟まれたある男の独白には、吐き気がしました。それまでずっと私が疑っていた人物ではなく、この男が元凶だったなんて。独白から垣間見える、自己陶酔。勝手な解釈。最悪の気分になりました。その罪が暴かれることになるだろう今後の展開には、快哉を叫びたいところですが、その被害者や亜希子ののことを思うと、なかなか複雑です。

御子柴のこれからを、まだ読みたいです。なので、倫子の最後のセリフを書いて、本稿の締めとしたいと思います。
〜〜「またね!センセイ」〜〜(本文より引用) 

(2015.09.17 読了)

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