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zoom RSS 『冷たい校舎の時は止まる』(上)(下)/辻村深月 ◎

<<   作成日時 : 2016/04/14 22:45   >>

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高校3年の文化祭最終日、クラスメートが校舎から飛び降り自殺をした。
それから2か月後の初雪の日、8人の級友たちは、その自殺者の精神世界らしき校舎に閉じ込められる・・・。
辻村深月さんのデビュー作、『冷たい校舎の時は止まる』(上)(下)
いやはや、これがデビュー作とは・・・。凄すぎて、言葉もありません。

厚さ2.5センチを超える文庫、2冊。一気読みだったわけではないのですが、なんだかもうホントに凄い・・・の一言。
雪が降り続ける中、校舎に閉じ込められる8人のクラスメートたち。どうしても思い出せない、自殺者の顔や名前。その人物を思い出せないのに、繰り返す自殺のその時の光景。
閉じ込められた校舎内が、自殺者の精神世界ではないかという仮定。そして、8人の中に、その自殺者がいるのではないかと言う推測。
精神世界から脱出するには、誰か一人がその者の内側に残り、〈心を閉じる〉必要があるという。

クラスの友人から、痛烈な嫌がらせを受け、心を病んでいた深月。その深月を注意深く守るために団結したクラス委員たち。
8人それぞれが抱える、弱さや引け目、葛藤。
そこまで極端ではないものの、私にもそれらに心当たりがあって、胸が痛んだ。それらのマイナス感情が増幅すればするほど、彼らは追い詰められる。日ごろは、気付かないふりをして流していても…。

自殺があった5時53分。その時間を指して時が止まり、8人は脱出を模索したり、精神世界についての意見交換をしたりしつつ、それぞれの記憶をたどろうとするが、やはり自殺者のことが思い出せない。そして、バラバラに行動し始めたその時、仲間の一人が血まみれのマネキン人形と入れ替わって、姿を消す。
時はまた流れ始め、また半日後の5時53分、石膏像として落下してきた者、絵に描かれた者がそれぞれ姿を消す。
精神世界の主〈ホスト〉は、いったい誰なのか。なぜ、その者は級友たちを閉じ込め、一人、また一人と存在を人形(やそれに類するもの)と入れ替えていくのか。

それぞれがもつ、重い過去、後悔。消される者、残される者。
実を言えば、上巻半ばで「自殺者はこの人なんだろうなぁ」という見当は付きました。そしてそれは当たってたのですが、条件的に難点があったりもして、迷いましたね。
そして、難しかったのは〈ホスト〉の方。こちらも下巻に入ってすぐぐらいに「多分この人」というのは思いついたんですが、なかなか確証が得られない。状況から考えると違うんじゃないか…という気がして、酷く揺れ動きました。自殺者とホストが同一人物かどうか、という点もなかなか難しかったですしね。

ネタバレになっちゃうんですが…。
「一人多かったのか!!」って、びっくりです。なるほど、ホストの理想というのか、願望が実現する世界だからそうなんですね。
一人多いからこそ、過去の回想に出てくる人物とその名前やエピソードに深い意味が出てきて、それが伏線になってて…いやあ、参りましたホントに。
下巻後半で、深月の腕から痛みもなく流れ続ける血というのも、象徴的。まるで、血の涙を流す聖母マリアのようで、それでいて罪深くて。
最後に残された深月以外の2人の会話。深月の登場。
ホストの精神世界は閉じられ、現実に戻ってきた彼らが直面した状況。

時が過ぎ、大学生になった彼らはまた集まる。
姿を消した、担任教師の話題を口にのぼせる。きっと、見つけ出すと。

あのう・・・、どうしても私、分からないんですよ。
「内側を閉じた」のが、誰だったのか。いや、この人かなと思いつつ、でもその人「外」にいるんで違うと思うし、じゃああの人かと思う人は精神世界にいなかったし。鷹野と清水はそれが誰かわかる、という会話をしてたんですが、私には全くサッパリ…。なんか悔しいな〜。
そして、最後の最後に現れた角田春子の幻影。
え?え?え?!どういうこと?それもよく分からないんですよ。
最後の最後に、ちょっともやっとしました。私の理解力が弱すぎるせいだけど・・・。ううむ。

(2016.04.14 読了)

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冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス) <上>ある雪の日、学校に閉じ込められた ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2016/04/16 23:34
冷たい校舎の時は止まる(上・下)(辻村深月)
ヤラレタ!ヤラレタ!ヤラレタぁぁーーーーっ!! くぅーっ。なんかね、まんまと著者の掌の上で転がされまくったような気がしてすんごく悔しいんだけどっ!でも、それがとっても嬉しかったりもするんだよねぇ。矛盾してるような気もするけどさぁ(笑)ということで、「・・・これがデビュー作ですか!?」と引いちゃうくらいの分厚さの上下巻本でしたが、それが全く気にならないくらい、もうね、夢中で読みました。まさに”無我夢中”って感じかな。いや〜面白かった!お陰で、ますます辻村さんにハマッてしまいました。 ...続きを見る
Bookworm
2016/04/21 12:33

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
もうただただビックリですよね。これがデビュー作なんて。しかも書き始めたのは高校生の時だったような。。。
真相については全く気づきませんでした。そして、私もたぶん理解できていないところがいくつかあったように思います^^;でも、面白い作品でした。
苗坊
2016/04/16 23:35
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
高校生から大学生にかけて書き上げたというこの作品、ボリュームもさることながら構成もすごすぎる・・・。
深月がちょっと弱すぎると思ってたら、それにもトリックがあったり、名前の呼び方にいろいろとひっかけがあったり、ラストになって「あ、そうか!!!」と思うことがいっぱいでしたね〜。

辻村作品、やっぱりちょっとずつ追いかけていきたいです。魅力的です…!
水無月・R
2016/04/17 06:03
コメントが遅くなってしまって本当にすみません。。。

分厚い本に最初はちょっと腰がひけちゃったんですが、読み始めるとあっという間に読了しちゃいした。面白かったですね〜。てか、デビュー作というのがビックリですね、ホントにもう。

辻村作品はあの頃の自分を思い出してシンドイ時も多いのですが、それを上回る面白さで読むのを止められないって感じです。他作品の水無月・Rさんの感想を楽しみに待ってます!
すずな
2016/04/24 06:34
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
いえいえ、お気になさらず〜。おいで頂けただけで、嬉しいです♪
ボリュームもさることながら、内容の濃さ深さ、あらゆるところにさりげなく張られる伏線、終わりに向けて、〈口あんぐり〉状態が続きました(笑)。

辻村作品ワールド、なかなかペースは上がらないと思いますが、楽しんでいきたいです♪
水無月・R
2016/04/24 22:02

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