蒼のほとりで書に溺れ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『何者』/朝井リョウ ○

<<   作成日時 : 2016/08/14 22:47   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 4

大学を卒業してもう、二十数年。就職氷河期に突入した頃だったなぁ・・・。
当時の就職活動はどうだったかもあやふやになった今、朝井リョウさんの『何者』を読むことになった。
いやあ・・・イタイね。大変、イタイ。
何がイタイって、結局キレイな人間なんていないんだよ・・・ということを斬りつけられ再確認させられたことですよ。

留学から帰ってきた女子二人、サークルのバンド活動を引退した男子、バンド男子とルームシェアをしている元・演劇サークル男子。留学女子の一人の恋人。
この5人が集まって、就活対策を始める。
色々な肩書を持ち、留学を中もインターンをしたりして、意識高い系の発言を繰り返す理香。
同じく留学帰りで、最初は外資系を狙っていたのだが、事情でどこでもいいから就職せねばと焦る瑞月。
瑞月の元恋人で、適当に見えて着実な就職活動を進める光太郎。
仲間の就職活動に気を取られながら、なかなか自分の就活がうまくいかない拓人。
みな同じ就職活動をすることを、斜め上から見下しているくせに、結局やはり就活している隆良。
それぞれは、自分を模索したり、面接のためにキャラを作ったり、友達と組んでテスト対策をしたり、ありのままではいられない。でも、働くってそういうことだものね〜、なんてスレてしまった大人の自分は思ったりします。ああ、イタイですなぁ。

就職活動って、作中にもあったけど人によって「上手い下手」がありそうですよね。企業から求められる人物像をどれだけリアルに演じられるか、どれだけそれに自分を寄せていけるか。もちろん、それだけではないんだろうけど。
不採用で『自分を全否定された』ように感じてしまうこと。そんなことないのに。シューカツというカタカナで括ってしまいたくなるくらい、特殊な状況なのに。
その中でもがいてる登場人物たちを見てると、こちらもだんだん息苦しくなってきました。

表向きのSNSでは前向き発言をしたり、他者を祝福したり、ちょっとだけ凹んで見せたりして「いいやつ」を装っている人が、裏アカウントでは妬み全開で毒を吐いたり、上から目線で他人を勝手に決めつけたりしてるのを読むと、ちょっと嫌な気分になりました。いや、私も聖人君子じゃないんで、そういうところはあるけど、一応心の中だけで終わらせてます。SNSって結局、自分の中だけで終わらせることじゃなくて、外へ発信してるわけでしょう。
こういうツールが普通の世代って、大変だなぁ…って思います。

主人公・拓人と同じ目線で「意識高い系ってちょっとうざいよねぇ」「シューカツを馬鹿にしてるくせに結局やってるんだ〜へぇ〜」「なんかカッコつけてるよなぁ、あいつら」なんて思って読んでるうちは、まあよかったんだけど、そのうち拓人の毒吐きも鼻についてくる。
それでも、割と普通の反応だと思ってた拓人の現状にはたと気づいたラスト(私が気付くの遅すぎ?)、お前もかよ!!ていうか、お前があんなことやこんなこと言うか?!って、ツッコミを入れました。
そして入れてから気づく、自分だって、結局拓人と同じじゃないの・・・・ってことに。
強烈なしっぺ返しを食らったことに気付き、愕然としました。
朝井リョウさん、ひどい人!!でも、すごい作家さんだ。
なんかもう、いろんな意味で衝撃の初・朝井リョウ作品、でした。

今中高生である私の息子たちの就活、きっとまた様変わりしてるんだろうなぁと思います。
願わくば、あまり変にねじくれないでも、仕事に就けるといいなあと、願ってやみません。
ホント大変なんだろうなぁ。
でも、この本を就活前に読ませるのは、ちょっと違う気もしますね〜。もちろん、本人が選んで読む分には、全く問題ないですが。

(2016.08.06 読了)

何者 [ 朝井リョウ ]
楽天ブックス
新潮文庫 朝井リョウ 新潮社BKSCPN_【楽天ブックス夏の文庫2015】 発行年月:2015年06


楽天市場 by 何者 [ 朝井リョウ ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
何者 朝井リョウ
何者著者:朝井 リョウ新潮社(2012-11-30)販売元:Amazon.co.jp 就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2016/08/16 22:08
何者(朝井リョウ)
今年、大学を卒業されて社会人となられた著者。その著者が綴った就活生たちの物語。 ...続きを見る
Bookworm
2016/08/22 12:48

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは^^
私も現役の頃の就活は忘れかけていますが。
インターネットは普及していたので利用していましたが、今ほどSNSはなかったので今の学生さんはいろんな意味で大変だろうなと思いました。
ホント痛いですよね〜^^;痛かったです。
でも就活中って辛いのも事実なんですよね。内定がゴールみたいになっちゃっていて、今考えるとそれは危険だったなと思います。そこからがスタートなのに。
学生の心情をここまで書ける朝井さんはさすがだなと思いました。まあ、年代が近いのとご自身も就活されていたからというのももちろんあると思いますけども^^
苗坊
2016/08/16 22:10
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
SNSで自分を演出してしまう登場人物たちを見て、大変だなぁ…とつくづく思ってしまったオバサンでございますよ(笑)。
就職活動、内定をゴールに感じるというのは、私の時代でもそうでしたねぇ。
とてもリアルで、読んでて辛くて、でもつい調子に乗りそうになって、しっぺ返し食らって…なんとも忙しい読書でした(^^;)。
水無月・R
2016/08/17 21:21
沢山のコメントとTBありがとうございます!それなのに、お返事が遅れてしまってすみませんm(__)m
ボチボチお返ししていきたいと思いますので、気長にお待ちいただけると有難いです。。。

私も今の就活って本当に大変だなぁと思いながら読んだオバサンです〜(笑)
もうホントにイタイお話でしたね;;;イタイイタイ、うっわぁ〜と思いながら読んでたんですが、最後に水無月・Rさんと同じように、一番イタイのは私じゃないか!と気付いて何とも・・・すごく微妙な気分になりました^_^;
すずな
2016/08/23 12:51
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
いえいえ、私もレビューためまくってたので、一気にTB失礼いたしました(^^;)。
どうぞお気になさらず、ご自分のペースで…(^^)。
ですよねぇ、ホント最後にしっぺ返しを食らって、あっちゃ〜って思いました(^^;)。
水無月・R
2016/08/23 20:57

コメントする help

ニックネーム
本 文
『何者』/朝井リョウ ○ 蒼のほとりで書に溺れ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる