『蒲公英草紙』恩田陸 ◎

「常野物語」の2冊目。『光の帝国』に出てきた、「仕舞う」能力の春田家の過去の物語。文句なしに面白い。

物語を進めていく少女は「常野」一族ではないが、自分のであった出来事を『蒲公英草紙』として記す。『蒲公英草紙』では、著者恩田陸は、この少女の視点から、「常野」を描く。

日清戦争後の日本の田園で起こる、「常野」の物語。村の長(おさ)的一族と人の記憶や人生そのものを「仕舞える」春田家、それを見つめる隣家の少女。日清戦争後、日本が転がり落ちていく方向への不安や、村の存亡の危機、時代背景もシッカリしている。

村の子供たちを救った、「常野」の血を引く長の娘の死と、その娘を「仕舞った」春田家の息子が娘の気持ちを皆の心に映し出して見せた、そのことに涙してしまった。

常野一族は、これからどうなるのか。常野一族は、何を目指しているのか。分からないまま、続巻に期待する気持ちがとても大きい。

(2006.12.1 読了)

蒲公英草紙
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常野物語 著者:恩田陸出版社:集英社サイズ:単行本ページ数:252p発行年月:2005年06月この著


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この記事へのコメント

雪芽
2008年06月15日 13:19
水無月・Rさん、こんにちは!
変わりゆこうとしている時代の狭間でのひと夏が美しかった。光比古が響かせる場面は涙なくて読めません。
村の歴史、時代背景を語る中に、しっかり常野の人々の姿も描かれていて、長い血脈の歴史に感慨深いです。
2008年06月15日 22:15
雪芽さん、ありがとうございます(^^)。
「常野一族」は、どこへ行くのだろうか。
古き良き時代への郷愁、新しい時代への不安と期待がないまぜになって描かれる、村の物語。
光比古彦姉弟の今後を読んでみたいと思いました。
新しき時代=にゅう・せんちゅりぃは、この国をどこへ連れて行くのでしょうか。
願わくば、暗黒の時代ではなく、ささやかでも暖かい世界であらんことを。
香桑
2008年08月18日 23:35
水無月・Rさん、こんばんは。
常野ではない常人を主人公に持ってくるところで、ますます常野一族が謎めいて見えてよかった気がします。
古い時代と新しい時代の変わり目の不安定さ、今の自分が感じる不安や郷愁に重なって……。
それにしても、春田家の記憶力は、羨ましい。しんどくてもいいから、ちょっとわけてほしいぐらい、羨ましいです。
2008年08月19日 21:53
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
読んだのは1年半以上前なのに、それでも響くものがありました。
春田家の記憶力、羨ましい半面、辛いことや嫌なことまで記憶にとどめていなくてはいけないというのが、宿命なんでしょう。
この常野シリーズ、続編は『エンド・ゲーム』しか出てないようなのですが、もっと「常野一族」について知りたいですよね~♪

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