『輪違屋糸里』下巻/浅田次郎 ◎

ああ・・・、鴨が、芹沢鴨が、死んでしまった・・・。
イヤ、だから、違うって。この物語のメインは、「鴨が死んじゃった~」じゃなくて、「鴨が死んだ時、輪違屋の糸里天神はどうしたか」でしょうが、水無月・R。
大体、この芹沢鴨は佐藤浩市(NHK大河ドラマの配役)じゃないってば。(←上巻感想参照)

上巻で、鴨の土方に対する策略に乗せられ、土方の為に鴨配下の平間に身を任せた、糸里。
壬生村で隊士たちの世話をする壬生住人士の女房、おまさとお勝。
鴨に手篭めにされ関係を続けてきた、呉服大店を仕切る妾女房、お梅。
鴨配下の平山と相思相愛の、吉栄天神。
様々な女達が己で見聞きした、新撰組の面々の事が次々と描き出されていく。

また、上巻ではなかった、新撰組の主だった者達の側からの、描写。
鴨配下新見の死。鴨の孤独。労咳に蝕まれる沖田。鴨側に対する制裁に憤る永倉。長倉を押さえる斉藤。心無い鬼である土方。茫洋としてつかめないが武士たらんとする近藤。
鴨が殺されたのは、会津藩からの指示があったからに違いはないが、幕府開祖以前から武士であった家系の、本物の侍である鴨を殺する事で、百姓侍たちである試衛館一派が本当の侍になるのだと、皆が心のどこかで思っており、それを確実な方法で、計画を立てる土方がいたからであった。

薬を盛るために、鴨誅殺の現場に居合わせた糸里と吉栄は、糸里の意地と機転により、殺されることを免れる。お梅は覚悟を持って、鴨と共に切り殺された。作中の
~~女というのは、剣を持たずに斬り合いが出来るらしい~~
とは、言い得て妙。正に、『輪違屋糸里』に出てくる女性は皆、最後には腹を括った行動が出来ている。

実家の大店はお梅の店だったから、店を閉めてくれと気丈に言い張り、鴨達の葬儀を采配する、お勝。
糸里が太夫上がりした初道中を見物しながら、万感の思いに涙する、おまさ。
会津の殿様に、我が願いを申し上げ、桜木太夫となった、糸里。
糸里の故郷へ移り、(平山との間に)生まれた女の子に「おいと」と名づける、吉栄ことおゆき。
女って、強いんだなぁ・・・って私も女ですが。覚悟が違うのね、きっと。

新撰組を描いた作品だけれど、やはり、主役は「輪違屋の糸里天神(桜木太夫)」であり、その他の女達の覚悟であったような気がする。

鴨が誅殺されたシーンは、アッサリしすぎてて泣かなかったが、「コレから鴨が殺される・・・」と話が盛り上がっていくにつれ、胸が痛くなっていったのは、ホントの話。芹沢鴨といえば、極悪非道の酒乱として捉えられてることが多いのだけど、本当は孤独だったのよね。会津の意を受けて暴れまわり、孤独に蝕まれながら、新撰組新生への道作りのために死に、本当は、辛かったのではないかしら。

(2007.5.19 読了)
輪違屋糸里(下)
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著者:浅田次郎出版社:文藝春秋サイズ:単行本ページ数:285p発行年月:2004年05月この著者の新


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