『アヒルと鴨のコインロッカー』/伊坂幸太郎 ○

大学入学前、入居したアパートの隣人で悪魔のような美男子・河村に「本屋襲撃」に誘われ、流れで加担してしまった主人公・椎名。現在と2年前の事件が交錯し、最後まで真相がわからない。予測はしたんですよ。ところが、気づくことなくスルーしてしまった部分が、すごく重要な点で、思ってたのとちょっと違う(だけど深い真相は全く違う)ラストになりました。うう~む。
読み始めて、終わりに至るまで、タイトル『アヒルと鴨のコインロッカー』の意味は、全然わかりませんでしたが。分かった途端、なんだかとても寂しい気持ちに・・・。

うわぁ~。伊坂幸太郎らしいですねぇ。現在と2年前はどうつながるんだろ?と思って読んでるうちに、だんだんパズルのピースがハマり、「えぇ~!そういう事だったんかい!」という結末に。
主人公だったはずの椎名は、実は脇役で中途参加だったという、すごいストーリー展開になります。でも、椎名がいないとこの物語は終われない。椎名が、ボブ・ディランを歌えなかったら、河村は襲撃に誘わなかっただろうから。私は椎名ストーリーがメインだったことを押しますよ!
(椎名が水無月・R好みのトホホ青年だから…ですよ!居直っちゃいますが!)

ボブ・ディランの声は神の声。信心深いブータン人のドルジは「神様が見ているから悪いことはできない」というが、2年前の事件に登場する、ドルジの彼女・琴美は「神様を閉じ込めちゃえばいいんだよ」なんて言う。だから、ラストシーンが出来上がるんですね。

しっかし、いかんなぁ。また、騙されちゃいましたよ。作者の術中に嵌っちゃうんですよね~、水無月・R(←単純人間)は。河村とドルジの外見の描写、全然気が付いてなかったです。あぁぁぁあ!って叫んじゃいましたよ、ホントに。

ところで、琴美に関しては、「お~ま~え~は~!!」と、大いにイラつきました。なんでそこで怖がるのに、警察行かないわけ?!ホントにあった事になっちゃうから、このままなかった事にしたいから・・・という気持ちも、推察できなくはないんですけどね。「ペット殺し」ならともかく「人間拉致して惨殺」未遂だよ?あの連中なら、琴美がダメならその辺の幼児とか、さらいそうじゃん。そんなとんでもない連中を野放しにしていいわけ?!結局2年前の事件の終焉で、勝手に逝っちゃうしさ。そのせいで河村もドルジも復讐計画を立てなきゃいけなくなったんじゃん。確かに、琴美の死がなければ、この物語は始まらないんだけど、それでも私的にはイラつきを押さえられないなぁ。

この物語の「動物虐待」というサイドストーリー(水無月・R的にはメインストリーは巻き込まれた椎名の物語なので)は、ちょっと嫌な気分になっちゃうなぁ。こういう、快楽殺害(殺人は未遂だったからね)をやる若者たち、嫌いです。理解できません。その辺の読了後のいやな感じが、いまいちだったかな~。

(2008.01.13 読了)アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

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東京創元社・ミステリ・フロンティア 著者:伊坂幸太郎出版社:東京創元社サイズ:単行本ページ数:331


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この記事へのコメント

やぎっちょ
2008年01月16日 00:23
これ、どうやって映画化したんでしょうね。ゼッタイ無理だと思ったんだけどなぁ。映画でも琴美にイライライライライライラしそうです♪
2008年01月16日 06:25
琴美にはイライラしましたねぇ;;;イライラというか理解できない(-_-;)
読了後のいやな感じ、私もでした。こういう描写はどうも慣れないです。
そして、これの映画は本当にどうなってるのか気になります。
まみみ
2008年01月16日 14:01
伊坂さんの人気が高くて、そして自分も気になってすべて著作を読んでますが、好きとは言い切れない自分がいまして。その理由はと考えると、イヤなシーンとか幸福でないラストの確率が高いからかなぁと思います。このお話も伊坂さんの作品では好きなほうですが、手放しでほめることもできず…なんかもやもやします。
エビノート
2008年01月16日 20:03
私もこれはどんな風に映画化したのか、凄く気になってます。原作を読んで映画を観た方の評判は、良いんですよね~。
琴美に関しては、全く同感。
イライラとしてしまいました~笑
june
2008年01月16日 21:27
このラストを思い出すたびに、やりきれない気持になります。動物虐待もそうだけれど、ドルジが復讐を選ばなければならなかったのも悲しくて・・。
それにしても映画。私もすごく気になります。どうやって撮ったんだろう??
2008年01月17日 21:23
>やぎっちょさん、ありがとうございます。
確かに、私もこの物語の映像化はかなり難しいんじゃないかな~と思いますが。もしかして2年前の河村とドルジは全部逆光だったとか?!

>すずなさん、ありがとうございます。
ホンット琴美には、皆さんイライラさせられていますよね~。
文中でも書きましたが、「自分さえ我慢すればなかったことにできる」という発想だったのかな~。でもね、そうじゃないんだよ!自分だけの問題じゃないだろう!他にも絶対害が及ぶよ?!と、説教を垂れたいですね、私は。

>まみみさん、ありがとうございます。
確かに、このラストはモヤモヤしますね。
『死神の精度』とかは、すっごく良かったのにな~。基本的に、水無月・Rは希望の見える明るいラストが好きなのですよ。
2008年01月17日 21:29
>エビノートさん、ありがとうございます。
これは、映画を見るしかないですかね・・・(^_^;)。今度レンタル屋行ったら、探してみようかな~。といいつつ、レンタル屋行く予定がないのですが(笑)。

>juneさん、ありがとうございます。
そうなんですよ。ドルジが逝っちゃうのは、すごく納得がいかないです。確かにこのままじゃ、日本の警察の捜査能力からいって、逮捕は間近かもしれませんが。でも、琴美に殉じるかのような、「動物を助けて死亡」は、あまりにも…ですね。
雪芽
2008年01月17日 23:05
こんばんは~
バラバラだったピースが一枚の絵になる瞬間が伊坂さんらしくて、二人の描写は全然気づかず、ああ、完全に騙されましたよ。クヤチイ~(笑)
琴美の行動は???で、イラ草いっぱい生えました。
映画のほうも気になります。
2008年01月18日 21:24
雪芽さん、こんばんは(^^)。
伊坂作品の構成力は、本当にスゴイですよね。「おお!ぴったりはまった!」って感じで、爽快な気持ちになりました。
ただし…やっぱりあのラストはあんまりだ~。
たかこ
2009年02月25日 11:22
水無月・Rさん こんにちは。
いまさらですが、この本を読みました。伊坂さん、ゴールデンスランバーが初読みだったので、今は前に戻って読みすすめようといったところです。

2年前と現在との交錯はすごいですね。現在に琴美が出てこないのがハラハラしました。でも、残虐なのはあまり読んでいて気持ちの良いものではありませんね。それにやっぱり私も琴美に対してちょっとイライラしたし…。
でもやっぱりすごい作家さんだと思います。また他の本も参考にさせて頂きますm(__)m
2009年02月25日 21:56
たかこさん、ありがとうございます(^^)。
伊坂さんの、時系列がばらばらなのに、最後にぐぐぐっと収束する物語構成が、とっても好きです。読了後「おぉ~!」とため息が出ますね。
今回は、ちょっと残虐な動物虐待シーンが辛かったですが・・・。

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