『スリースターズ』/梨屋アリエ △

現実とうまく向き合えない中学生の女の子たち。金と物だけはふんだんに与えるけれど愛情はくれない親、親から責任放棄され、子供を無視した親の過干渉、友人関係の崩壊。一度は集団自殺を計画するが、一転して、自爆テロを起こすことに。世の中は、崩れていくばっかり。自分たちがセンセーショナルに死を演出するのだ。「死」に対して、漠然としたイメージしか持たない3人が迎える結末とは。

梨屋アリエさんは、初読みです。『ダヴィンチ』(`07.11月号)に紹介されてたのを見て、面白いかも?と図書館で借りてみたのですが・・・うう~む。確かに、そこそこ面白いんだけど。分類としてはヤングアダルトのようですね。・・・微妙なんだよねぇ~、YAって。私がYAと呼ばれた時代は、遙か彼方に流れ去ってしまったからかな~(^_^;)。イマドキの中学生って、こんな風に「死」を捉えてるんだね・・・うう~む。

有名レストランチェーンを経営する両親に金と物だけ与えられ、世の中ナナメ目線でグレてる・弥生。
母は失踪、父は自殺未遂で入院中、金もなければ友情も失った、それでも愛に生きたい・愛弓。
親の決めた5分刻みのスケジュールに追われ、まじめで完璧主義な優等生・水晶(キララ)。
このまったく違った3人が、ケータイやネットで偶然につながって知りあい、お互いの細かい事情はすっ飛ばして集団自殺を図ろうとする。
・・・安易だなぁ~、女子中学生って。でも、自分のあの頃をちょっとだけ思い出すと、それもアリなのかもと思ってしまう。
安易で、世界が狭いのに、その世界だけが真実だと思ってて、周りがみんな敵だと感じてる。

そんな3人がオリオン座の3つ星になぞらえて『スリースターズ』と名乗り団結し、各自の学校内自爆テロを計画。
その計画も緻密なようで杜撰。
彼女らは、自分を哀れむことに重点を置いているから。自分が被害者だと思い、3人の中でお互いを必要とし支え合うけど、外部からの接触を拒否している。思春期にありがちな、自己完結。そんなところを、とてもよく描いてると思いましたね。

弥生は、実は集団自殺もテロも、自分だけは抜け駆けして当事者でいつつも傍観するつもりだったんだけど、集団自殺はなし崩しに仲間入りの末に手抜かりで中止、テロの方は結局実行されないまま物語が終わっちゃったのでわからないけど、爆弾作成者・小6の衣紋に騙されてる。最初から逃げるつもりだから「弥生」と名乗らず「ミサキ」と名乗る。頭は悪くないし、人を引っ張り廻す才能もあるのだけど、詰めが甘い。いかにも、中学生だな・・・。

水晶も愛弓も、「ミサキ」の弁舌に乗せられて、自分たちの死を聖戦のように考えてる。だが、愛弓の父の死や他人との関わり、弥生の詐称を知ったことから、自爆テロよりも弥生を知りたいと行動を始める。
~~わたしが壊したかったのは、自分の中に閉じ込められた感覚だったのかもしれない。~中略~明日の朝になったら、いちばんに弥生に会いに行こう。弥生が壊さなくてはならない何かを探りあててあげたいと思う。~~ (本文より引用)
世界を壊すことではなく、自分の殻を壊すのだ。
目覚めよ、その閉塞感から。
そう、女子中学生は、多分みんな、そんな狭苦しい息苦しさに悩まされている。「スリースターズ」は極端に走ったけど、でも、彼女たちのリアル~現実~は、きっとそこにある。

出来れば、水晶と愛弓が弥生に会いに行き、自爆テロ実行ではなく、共感して、殻を破って、変わっていくところも読みたかったな。でも、物語として長くなりすぎちゃうかな。きっとそれぞれの親は変わらないだろうし。とすると、親(保護者)に依存するしかない中学生としては、派手に何かが変わるという訳にはいかないし・・・。うん、逆にココで終わって、それぞれの今後を読者にゆだねるという手段も、悪くはないのかな・・・。私的には、物足りないけどね・・・。
彼女たちの革命が、明るい明日を開きますように。

(2008.03.09 読了)
スリースターズ
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著者:梨屋アリエ出版社:講談社サイズ:単行本ページ数:325p発行年月:2007年09月この著者の新


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この記事へのコメント

2008年03月12日 00:24
色々考えさせられてしまう物語でしたね・・。
その時代が抱える問題を描きながら、やっぱり、梨屋さんが描きたかったのは、若さというものが持っている、変われる強さだと思うんですよ。その勇気を、この物語を読む若い人たちが持ってくれたらいいなあ、と思いながら読みました・・。
2008年03月12日 22:23
ERIさん、ありがとうございます(^^)。
梨屋さんの生き生きとした文章で描かれる、女子中学生の「今」。そこを通り過ぎて久しい私にも、あの頃の自己完結を思い出しました。
そうですね、若い人たちがこの物語を読んで目覚める勇気を奮い起こしてくれたら…いいですよね♪

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  • スリースターズ 梨屋アリエ 講談社

    Excerpt: 三つの孤独な魂・・だから、スリースターズ。 読んでいる間中寂しかったんですが、読み終わると、不思議に すっきり元気になれました。マイナスがひっくり返ってプラスに なるような。梨屋さん、力作です。.. Weblog: おいしい本箱Diary racked: 2008-03-12 00:04