『おわりの雪』/ユべール・マンガレリ ○

少年の孤独。病に伏せる父親。養老院の老人たちと管理人。囚われのトビ。冬の雪原と犬。
ぼくは少年時代を回顧する。そこに流れゆく、静かに降り積もる淋しさ。
この淋しさは、悲しいまでに美しい。回想だからこそ、昇華されて。何かがすり替わったのかもしれないけれど。
でも、ぼくの中ではそれは、美しい思い出なのだろう。

ユベール・マンガレリはフランスの児童文学作家だそうです。この本を選んだのは、多分書評でのイメージが良かったからだったと思うのですが、「読みたい本リスト」の前の方すぎて、記憶がないのですよ(笑)。『おわりの雪』みたいな物語は、好きですからOKですけどね。

どういう物語か、というのを説明するのは、難しいです。物語の筋や設定は簡単なんだけど、何と言うのかな~、物語の雰囲気を上手く伝えることができない気がする。一家tの主が病に伏せり貧しい家族、お金のために動物の処分まで請け負ってしまった少年の心、囚われのトビを手に入れ病の父のそばで、トビについて語り合う。
少年の世界は、息苦しいほどに狭い。冷え冷えと、淋しい。

養老院で老人たちの散歩介助をして、お金をもらっている主人公・ぼく。養老院からの帰り道のよろず屋で見つけたトビに心奪われ、手に入れたいと切に願う。そのために、養老院の管理人から動物の処分を引き受ける。
最初は、子猫。次も、子猫。
最後に、養老院で死亡した老人の老犬。
憐れみや悲しさを持ちながらも、それを遮断して行動するぼく。動物の死は父の生命の揺らぎを感じさせもするような。

意外だったのが、トビを手に入れたらそれを父と観賞した後きっと自由にするだろう、という予想が外れたことですね。孤独でいろいろなことに囚われている少年が憧れたトビ。自分の代わりに空へ放つのだろうと思っていたのですが。ずっと父の傍らに置き、衰弱していく父と共に、鑑賞し、感じ、維持する。父の命は、維持できなかったけれど。なんだか悲しいです。少年の心は、いつまでも何かに囚われたまま。
回想している「ぼく」ですら、囚われて固定された思い出を回想しているかのような。苦しくて、悲しくて、切なくて。

冷たい雪野原の、美しい光景が、余計淋しい。雪の降る街が見える窓と、寝込んでベッドから起きられない父の間の、鳥かごの中のトビも、淋しさに輪をかけるだけ。
父が逝き、取り残された母と子、そしてトビは、どうなってしまうのだろうか。

(2008.03.19 読了)
おわりの雪
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著者:ユベール・マンガレリ/田久保麻理出版社:白水社サイズ:単行本ページ数:159p発行年月:200


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