『くうねるところすむところ』/平安寿子 ○

水無月・R的平安寿子さんのイメージは、喰えない作家さんである。ツッコミ処満載の「ど~しょ~もない」かったり「なんじゃそりゃ~!」な恋愛に、乾いた苦笑いを否めないという、気軽に読める作家さんです。
ちなみに今作『くうねるところすむところ』と言えば、幼児の母にとっては、某●HK教育「●本語であそぼ」の「じゅげむじゅげむ・・・」ですねぇ・・・。ウチの子供たちも、あの番組見て「じゅげむ」全部言えるようになりましたよ(笑)。いや、この作品には全然●HK関係ないですけど、どうしても連想してしまうので・・・(^^ゞ。

付き合ってる妻子持ちの男と誕生日を過ごせず、ヤケ酒の末に工事の足場に上がり、降りられなくなった梨央を救ってくれたのは、トビの親方・徹男だった。徹男に再会し、建設にかかわりたいと転職した先は、浮気した夫を追い出したら社長職を継いでしまった「姫」こと響子の率いる鍵山工務店。響子は現在引き受けてる仕事を終えたら、会社を縮小→廃業したいと考えていたが・・・。

梨央のバイタリティが半端じゃない。30歳になって、不倫に見切りをつけ、求人誌の副編集長の座を捨てて、全然畑違いの建設業へ「現場監督になりたい」なんて転職して。最初は事務職(雑用込)だったのが、リストラのあおりで出社しなくなった監督の代わりに、現場に出ることに。そんな忙しい中、ちゃんと建設について勉強したり、徹男にアプローチをかけたり。
同じく「姫」社長、響子(40歳後半)も面白い。離婚するまで20年以上専業主婦だったのに、「(専務の)じい」こと棚尾と「(事務の古株の)女帝」こと時江の後押しを受けて、なんとか会社を引き継ぐが、終わらせたいと思いつつ、仕事をし始め梨央を雇い、そのバイタリティに触れたり、娘が建設業に目覚めたりして、遂に廃業をひるがえして合併話まで断って、会社発展へとやる気になっちゃう。

男性陣も出てくるんだけど、皆な~んか頼りないのね。徹男もトビ職としては頼りがいのあるカッコイイ男なんだけど、1回目の結婚を失敗してそれに懲りちゃってて後ろ向きで、梨央のアタックにも尻込みばかり。
だから、なんだかやたら女性が元気な物語です。いえ、そういうの大好き。まあちょっと「こんなに都合よく話が展開するかいな~」的な、疑問やらツッコミやらはありますが。

響子・梨央・響子の娘の早知子、この3人がタッグを組んで、時江のバックアップを受けて鍵山工務店を盛り上げていく姿が、目に浮かびます。もちろん道は平坦じゃなくて、とんでもない事件が次々おこったり、喧嘩したり、仲直りしたり、そんな感じでワイワイやってく。本人たちは大変だし、真剣なんだけど、どこか微笑ましい情景。たぶんそれは、姫や梨央が「自分」を知ってるから。今の自分は足りないからもっと頑張って行こう、でも頑張りすぎて駄目にはならないように、ってコントロールしたり、冷静に自分にツッコミを入れたりできるから。

そういう、面白い女性の頑張る物語です。梨央が、素で響子を「姫」と呼ぶ当たりがすごいですよね(笑)。

(2008.04.18 読了)
くうねるところすむところ
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文春文庫 著者:平安寿子出版社:文藝春秋サイズ:文庫ページ数:302p発行年月:2008年05月この


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この記事へのコメント

まみみ
2008年04月19日 21:58
こんばんは^^
この作品あたりから、平さんの作風が「元気な女の子が(恋愛以外でも)がんばる話」にシフトしてったかな~という気がしてみたり。
ともあれ楽しい話でしたよね^^
このバイタリティ…見習いたいです。作者もこんな風にガッツある女性なのかもしれませんね。
2008年04月19日 22:20
まみみさん、ありがとうございます(^^)。
ほほう~、では平さんは、水無月・R的・要チェック作家さんです~♪
ええ、ホント楽しかったです。あっけらか~んとしたガッツのある女性は、いいですよね~。
エビノート
2008年07月17日 20:39
新しい環境に飛び込んだり、煮詰まってる現状を変えたいと思ってる時に元気をもらえる一冊でしたよね。
丁寧に取材をされてたからか、工務店を中心とした建築業界のことも勉強になりました。ラストの方で、登場した家。どんな家なんだろう?って、施主じゃないのに間取りを想像して楽しんでました(^_^)
2008年07月17日 21:18
エビノートさん、ありがとうございます(^^)。
前向きでガッツがあって、梨央がとっても素敵でした。下心で始めた仕事にはまっちゃうところ、とってもいいですよね。
姫社長も成長して、鍵山工務店はこれから!ですね。大変そうだけど、楽しそうだな~♪

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