「ストーリー・セラー」/有川浩 ◎ (小説新潮5月号別冊『ストーリー・セラー』掲載)

滂沱の涙。
病死ものは苦手、とかそういうのはもう、関係ない。
人前であるのに、涙が止まらなかった。
作家・有川浩。この人は、『書ける側』の人だ。
そして、私は『書けない側』つまり「読む側」の人間だ。でも、それが嬉しい。それでよかったと、心から思う。
ありがとう、有川さん。

「ストーリー・セラー」は、私、水無月・Rにとって、衝撃の作品だと言っていい。今まで「萌えの神!」「ベタ甘ラブロマ!」「じれったい愛!」などと叫び散らして、のたうちまわりながら身悶え、萌え死に寸前、きゃ~きゃ~いいながら読んでた、その部分を踏まえつつ、思い切り泣きました。
これは、作風が変わったというより、進化したと言っていいのではないでしょうか。
もちろん大絶賛!なのは変わりません。
水無月・Rは、有川さんが作品を発表し続ける限り、ずっとついていきます。ずっと読み続けます。

え~、たぶん感想も何もあったもんじゃないです。いつもどおり白旗上げまくりで。とんでもなく感傷的な文章が続きます!なんで、
まっとうな感想や内容を求める方は、他のブログさんを当たってください。
ここで回れ右~、ってことで、ヨロシクです!


語り手は作家の夫。彼は最初から、彼女の一番の読者だった。彼女の一番の協力者だった。
二人の出会い、恋愛の過程、結婚し彼女の作家デビュー、専業作家となった彼女を襲った嫌がらせ。精神科への通院。彼女の親族との確執。心労の果てに発生した、「致死性脳劣化症候群」。
その病は、思考に脳を使えば使うほど、生命を維持するために必要な脳の領域が劣化する、作家という職種の人間にとっては、彼女にとっては・・・・。

二人の恋愛に萌えもあったさ。
編集さんのミスで受ける仕事には「交渉」をもって、差し引きゼロで手打ちにする。その交渉術に「はちきん」を感じて萌えたさ。(はちきんとは:男勝りでサッパリした気性の、芯がシッカリしている女性を指す、土佐弁。)
けどさ、あの絶筆は・・・。胸がいっぱいで、苦しくて、切なすぎて。涙をこらえられなかった・・・。

そして、彼女の手紙。作家(職業ではなく『書ける側の人』)が、一番の読者であり、最愛の人に対しての、最後の言葉を贈る。そして、それに応える、夫の言葉。
「あなたがすき あなたがすき あなたがすき・・・・・・・」
「きみがすきだ きみがすきだ きみがすきだ・・・・・・・」
何度も繰り返す、愛の告白。相当な文字量なのに読み飛ばすことができず、一文字ずつ、追いかけて読んだ。涙と鼻水は止まらず、傍目に私はどう映ったことか。号泣ではなく、ただひたすら涙が止まらず、それでも私は、感謝していた。

有川さんは怒涛のベタ甘ラブロマだけじゃない、これだけ深い愛の物語も書ける。
うれしい。もっともっと読みたい。
「彼」の気持がよく分かる。自分の好みにぴったりと合う作家がいるのだ。残念ながら私は単なる一読者なので、彼女がその作品を商業ベースに乗せてくれないことには読めないけれど。
私は、彼女の作品が好きだ。もっともっと好きになった。
だから、感謝している。有川さんと、有川さんを支えてくれる旦那様に。

この物語は、作家・有川浩さんが、旦那様にささげる「ラブレター」だな、と思う。
有川さんのWEB日記を読むと、よく旦那様の話が出てくる。旦那様は有川さんをとても大切にしていて、有川さんも旦那様をとても大切にしている。この物語のように、お互いを支え合い、愛し合う、素敵なご夫婦だと思う。
そういえばこの物語、作家にもその夫にも、名前がありません。「彼女」「彼」としか書かれていませんね。なんだかそこも、有川さんご夫婦を描いたような感があります。

どこからどこまでが、フィクションなのか、私にはわかりません。全くのフィクションなのかもしれません。
それを詮索しても仕方ない、と私は思います。
それより、この物語をよんで、感じてほしい。
有川浩は、進化し続ける作家である。

(2008.04.30 読了)

ちなみに、作品の後のページに今後の有川さんの出版予定が出てました!
☆『ラブコメ今昔』(角川書店)6月末
☆『空の中』(角川文庫/書き下ろし短編付き)6月下旬
☆『別冊図書館戦争Ⅱ』(メディアワークス)夏頃
おお・・・いろいろ萌えるなぁ~
萌え全開なラブコメ系も、好きだ~!
(↑すでに目が遠いところを彷徨い始めている、水無月・R)

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この記事へのコメント

香桑
2008年05月02日 00:35
水無月・Rさん、こんばんは。
切なくて、悲しくて、でも、目が離せない。
魂に刻み込むように、一字一句が鮮烈な印象を残す一篇でした。
有川さんがどんどん進化していく。ほんと、そうですね。目が離せません。
2008年05月02日 13:59
こんにちは。
色んな感情が渦巻いて、溢れる涙が止まらない作品でした。
作品を読む度に、もっともっと好きになって、次作がとっても楽しみな作家さんですね~。
2008年05月02日 22:38
>香桑さん。
有川さんの、また新しい面を見ることのできた、素晴らしい作品だったと思います。
今までの萌えworldも好きだし、この作風も好きです。これからまたもっと、色々な有川世界を見せてくれるのだと思うと、嬉しくてたまりません。

>すずなさん。
萌え叫ぶ作品も、ただただ涙するしかない作品も、出会えたことに感謝しています。
そしてこれからも・・・。
もちろん6月以降、新作は要チェック!ですね!(^^)!
june
2009年06月08日 21:15
水無月・Rさん、こんばんわ。
>この物語は、作家・有川浩さんが、旦那様にささげる「ラブレター」だな、と思う。

本当にそんな感じですよね。有川さんはこんな思いで作品を書いて、それを旦那様はこんなふうに支えてるんだろうな・・、そう思いました。いいなぁ~素敵だなぁ~。
そういえば有川さんの旦那様のおかげで、後日談が付け加えられたというのもありましたね。

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