『医学のたまご』/海堂尊 ◎

ぎゃ~ッ!また間違えた!読む順番!また、間違えたッ!
・・・・すみません。手に入った順に読むのは、水無月・Rの個人的な事情なんですが、先日読み終えた『ジーン・ワルツ』、こっちの『医学のたまご』を読んでからのほうが良かったのでは・・・!!
海堂尊さんの作品は、あちこちリンクしてるなぁ~。しかも矛盾がないのはすごいですよね~。

なんせ、主人公は「曾根崎薫」クン。曾根崎、かおる、しかも双子の妹・しのぶって!『ジーン・ワルツ』のあの理恵の!・・・ではないですか。しかも、かおるとしのぶの関係者である山咲さんがシッターさんとして、薫くんのお世話をしてますよ…!
『ジーン・ワルツ』では、ほとんどの期間胎児で、終わり間際に生まれたばかりだった薫が、立派に育って中学生になっています。おぉ~。

あの【バチスタ・スキャンダル】から、10数年後(舞台は2020年です)・・・。
その東城大学医学部で、潜在能力試験で全国1位をとった天才少年が、医学研究をすることになる。
・・・ただし、彼が全国1位をとれたのは、その問題を作ったのが彼の父、世界的な「ゲーム理論」学者、曾根崎伸一郎だったからなのだ。
クラスメートの医学オタク・三田村の手を借りて、初歩文献のヤマを当ててしまった薫は、解剖学教室でレティノブラストーマ(神経細胞芽種)の研究を始める。そして、いきなりビギナーズラックでとんでもなくラッキーな発見をしてしまう。
喜びというより、成果を文科省に見せつけたいがために暴走を始める藤田教授、薫と組んで実験をする桃倉、薫と同じような立場の(でも実力はある)天才高校生医学生、佐々木。医学雑誌への論文(作成者は藤田教授)の掲載、米国のレティノ研究第一人者・オアフ教授の訪問、研究結果偽造疑惑。そして、薫の謝罪会見で薫の父・伸一郎により暴かれる、藤田教授の暴走。

読んでて、薫の危なっかしさには、ハラハラしました。普通の中学生が、たまたま試験問題に慣れ親しんでたがゆえにとってしまった、全国一位。しかも調子に乗って、パパのゲーム理論「何事も勝ち過ぎてはいけない」をすっかり忘れてしまい、ドツボにはまるという・・・。
けど、中学生らしい一直線なところ、なかなか好感が持てましたよ。

学問の世界は、色々と大変そうだな~。予算確保のため、そして学内や文科省へのメンツのために、暴走する藤田教授。研究に勤しんでればいいというわけではなく、官僚と馴れ合いや、予算の獲得競争をし、張り巡らされた上下関係の強い人間関係に振り回され。もちろん、藤田教授の暴走は、とてもじゃないけど許せない。大人げなさすぎる。追試結果の確認もしないで、勝手に論文化し、ネイチャーがダメならカスな雑誌にでも投稿して、文科省への点数稼ぎ。挙句にすべての罪を薫に押し付けようとし、それが叶わないとなると桃倉の発言を利用して全責任を押し付けた上に、首切り宣言。
「大人って、汚すぎる!!」 って思っちゃうじゃないですか。
そこへ佐々木君の見事な鉄拳。ああ~スッとした!佐々木君、昔の「ハイーパーマンバッカス」が大好きだったアツシ君を思い起こすよ。あのやんちゃ坊主だった頃のな~。立派になったねぇ~。
なんか・・・、オバちゃん、嬉しいよ・・・(^_^;)。

マサチューセッツ大にいるパパと薫のメールのやり取りが、暖かかったな。毎日朝食メニューをメール報告するパパ。なんか、微笑ましいです。しかも、薫が困った事態に陥った途端、「アクティブ・フェーズとパッシヴ・フェーズ」が出てくるあたり、もしかして白鳥の薫陶があるのでは・・・?なんて勝手な妄想も走り始めました。薫と伸一郎親子は、暮らしている場所は遠く隔たってるけど、ちゃんと通じてるなぁ~と思いました。すごくお互いを信頼してる、ってのがひしひしと伝わってきましたもの。

各章のタイトルの‘「○○は~~だ」と、△△は言った。‘っていうの、名言が多いですよね。ほとんどがパパのゲーム理論の言葉なんだけど。でも、実生活確かにそうだよ!ってのが多いです。メモって、おこうかしらん。

ところで、最初の教授会で、「田口教授が出てきましたよ?!えぇぇぇ~!!田口センセ、大出世じゃないですか。万年講師をいつ返上したのデスカ? 
あれかな~、物語の途中でさら~っと、「東城大学医学部付属病院が潰れ、再生した」と佐々木君が言っていた、アレですかね。その大混乱の収拾に一役買って、教授になっちゃった(多分本人はイヤだったはず(笑))、って奴でしょうか。高階院長も、学長になってるし!でも、相変わらずエシックスは沼田教授なのね(笑)うわ~、海堂さん、伏線伏線!きっとこの物語もいつか描いて下さることでしょう!(ガラスのでんでん虫崩壊の物語も読みたいですよねぇ~。

それから、薫くんのお友達「ヘラ沼雄介」は、『夢見る黄金地球儀』のプロフェッサー平沼のお子さんですよね!おお、ここでもリンクだ!医学オタクの三田村くん、オールマイティ美少女の美智子など頭イイ系のお友達も出てきたから、今後の薫くん物語に期待できるんではないでしょうか。あとがきに~~薫くんの冒険はまだまだ続きます~~ってありましたからねぇ~。
この「チーム・曽根崎」のメンバーが活躍する青春小説を書いてくださるんじゃありませんか?うふふ、海堂さん、伏線伏線!期待してますよ~!!

ちなみに。『ナイチンゲール』時代にハイパーマンバッカスが人気アニメだったわけですが、10数年を経てなお、リターンズ2とはいえ、子供たちに支持を得てるとは・・・。ぜひ、海堂さんにノベライズ(?!)してほしいものです(笑)。え~だってさ~、酔っ払いなのに正義の味方、地球侵略を目指す正論吐きな宇宙人って、ねぇ。興味ありますよ~(笑)。

(2008.06.27 読了)

医学のたまご
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ミステリーya! 著者:海堂尊出版社:理論社サイズ:単行本ページ数:277p発行年月:2008年01


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この記事へのコメント

藍色
2008年06月29日 02:58
薫くんの奮闘ぶり、微笑ましく読めました。
薫くんとサポートをしたメンバーとのやりとりが良かったです。
「ジーン・ワルツ」先読みは…ちょっと痛かったですね。

ハイパーマンバッカス、ノベライズしてほしいですよね。
今度はライトノベル・レーベルに進出かもです(笑)。
じゅずじ
2008年06月29日 09:25
やっちゃいましたかぁ、読順…
先に出生の秘密をしっちゃったわけですね(笑

でもそのつながりは別にして、パパの薀蓄はすごいですよね。名言集として後世に残しておきたいものです (^^ゞ
2008年06月29日 11:07
こんにちは。
こちらのレビューを読んだら、水無月・Rさんのように、順番を逆に読んだ方が薫くんへの思い入れが強くなって良かったんじゃないかな~と、そんなことを思ってしまったり^^;あ、山咲さんって!?って思えるのも、この順番で読んだからこそですし・・・。うーむ。

お父さんの名言が良かったですよね!私も思わずメモりたくなりました(笑)
今後の薫くんの活躍も是非、読みたいですね~。教授になった田口先生のお話も併せて!あれこれ想像するのも楽しいですね~♪
エビノート
2008年06月29日 20:44
薫くんとお父さんとのやりとり、距離を感じさせないあったかさでしたね。薫くんと同級生のやりとりも微笑ましかったです♪
海堂さんの作品を読むと、サラリと他の作品とのリンクがあったり、今後書かれるに違いない話への伏線があったりと気が抜けないというか、そんなところを発見するのも楽しみの一つですよね。
2008年06月29日 22:56
>藍色さん。
薫君とそのサポートした皆、いい絆でしたよね。お父さんも、遠くにいたけどホントに薫君のことを想ってるんだ、って伝わってきました。
ノベライズ!して欲しいですよね~♪

>じゅずじさん。
パパの言葉は含蓄に富んでますよね(^^)。
最後の、
「道は自分の目の前に広がっている」と、僕は言った。
が一番ジーンときました。薫君は、自分で成長していく。もちろん周りに助けられるけど、自分で道を見極めていくだけの強さを持てたんだな~と。
少年の成長というのは、清々しいものですね!
2008年06月29日 23:03
>すずなさん。
海堂さんworldの桜宮市は、いろんな事件が起こり、それを収拾する人物がいて、きちんとした歴史を齟齬なく刻んでるんでしょうねぇ。
是非、これからの薫君、そしてもちろん田口教授の物語を!

>エビノートさん。
『ブラックペアン』辺りから、海堂作品の拡がり・繋がりのスゴさは痛感してたんですが、この作品には(私個人の私見での)伏線がいっぱいで、今後も楽しみです。
きっと私が気が付いてない伏線もいっぱいあるんでしょうね~。
楽しみだな~、ホント(*^_^*)。
雪芽
2008年08月16日 23:13
こんばんは~♪
あ、仲間だ嬉しい。同じく逆読みでした。でも、あの時の子がこんなに大きくなって、という感慨があって、それはそれでよかったのかもしれません。近所のおばさん気分です。
離れていても心はひとつ、パパと薫くんの絆が伝わるメールのやり取りでしたね。
伏線もごろごろ転がっていそうで、次は何を書いてくれるのか楽しみです!
2008年08月17日 21:51
雪芽さん、こんばんは(^^)。
ハイ、私もすっかり「近所のオバちゃん」化しておりました。
次作は速水(東城大)VS清川(帝華大)、つまり過去編らしいですよ!
有能系イケメン対決ですね!(^^)!
june
2008年10月17日 13:09
私も順番間違えましたよっ!でも、あのたまごだった薫くんが・・という暖かい目(オバチャンの目ともいう)で読めたんでよかったと思うことにします。
ところで佐々木君=アツシくん、いまさら気づきました・・。記憶も危なくなってきてるんで、誰かに相関図を作ってほしいものです(自分で作る気力はないので・・。
次作は速水(東城大)VS清川(帝華大)なんですね。それはなんとも楽しみです!どこまで広がるのか海堂ワールド!
2008年10月17日 22:22
juneさん、こんばんは(^^)。
イヤホント、人物相関図と桜宮市の歴史&東城大学の沿革、誰か作ってくれませんかね(←他力本願(笑)。
次作の『ひかりの剣』も、良かったですよ~♪

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