『左近の桜』/長野まゆみ ○

水無月・Rは、小市民でBLが苦手だったはずなんだがなぁ。・・・最近、その辺り図太くなったんだろうか(^_^;)。
長野まゆみさんの作品だからOKなのだろうか。
今回、『左近の桜』を読んだ時に、あんまり抵抗感が沸かなかったのである。まあ実際の行為じゃなくほのめかし程度だし、主人公・桜蔵(さくら)少年はあくまで自分はノーマルだと言い張ってるしね(笑)。

ひとかどの男が世間体をそこねず遊楽にふける手だすけをする宿「左近」の長男・桜蔵。「左近」は男同士の客の多い宿である。
女将である母、その旦那の柾(まさき)、常連の浜尾、無邪気な弟・千菊(ちあき)、桜蔵の彼女の真也(まや)、千菊の担任であり居候の羽ノ浦。品行方正でそこそこ優秀な高校生である桜蔵。そして何故か桜蔵が拾って来てしまう、妖かしめいた男たち。

柾、浜尾、妖(あや)かしめいた男たちなどに化かされるように、意識を失い、男同士の関係を結んだような結ばないような・・・そんな境地をさ迷い、目覚める桜蔵。実際コトが起こったのかどうかよりも、幽玄の異世界にいつ彷徨いこんだのか、その因縁は如何にと読み解きたくなるのが、良い。
桜蔵が拾ってしまう男たちは、殆ど既に此の世の人ではない。柾や浜尾の因縁ある故人が、多い。普通の「ヒト(ただし酒が入ると人格が変わってしまう)」だと思ってた羽ノ浦ですら、死に損ない・・・らしい。

あはははは・・・。いやこれは、笑うしかないだろう(^_^;)。水無月・R、ノーマル志向なんで。
本筋をどちらに取るかというところで、この物語は結構違ってきてしまうんじゃないかな~。私的にはBL(でもこの物語ではボーイズと言うにはトウが立ちすぎてる男たちが多いよ)に主眼を置いちゃうと逃げるしかないので、無理やりにでも彼岸の世界と此岸の交流の不思議さ・妖幻さに目を向けて読むことにした(笑)。だって桜蔵は「真也」という彼女もいて、自分はそっちの世界には入らないと言い張ってるんだから。
でも多分、無意識ではソッチの人なんじゃないの?と思ってはいるんデスよ、さすがに私も(笑)。
実際「この世ならぬ妖かし」に体を乗っ取られてしまったりするのだから、かなり桜蔵は「妖物好かれ系」なんだろう。(『あめふらし』の市村弟なんかもそんな系統だ)

男同士の恋愛(肉体関係もあり)、というのはまあ置いといて。
桜蔵が彷徨う幻想の世界、故人の未練や想い入れ、ノーマルと主張する割には男と(たぶん)関係をもってしまったことにそんなにこだわりを持たない桜蔵の生き方、奇妙に霞がかって作り事めいて見える。けれども、逆に幽玄の世界は自分には関わり合いの事と割り切る、イマドキの少年像も垣間見える。
そのバランスが、長野まゆみ特有の「昭和初期文学調」な語り口とあいまって、微妙な揺らぎを感じさせる。
まあ、それでもこれは少年愛(しかも相手は死者とか死に損ないだよ…(-_-;))系な物語ですな。

出来れば『少年アリス』みたいな、透明感があり現実感の薄い少年の、幽幻な物語のほうが好きですね~。ほのかに少年愛であっても、それは秘かに漂う程度で、表には香りがするかな・・・ぐらいのがね。
やっぱり小市民ですかね(笑)。

(2008.08.20 読了)
左近の桜
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著者:長野まゆみ出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:単行本ページ数:260p発行年月:20


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