『眼球綺譚』/綾辻行人 ○

綾辻行人さんの 『深泥丘奇談』を読もうと思ってたところ、雑誌 『ダ・ヴィンチ』の特集に「深泥丘の前に『眼球綺譚』を」とあったので、M市図書館の書庫から出してもらいましたよ。
ううむぅ~。こ、これは・・・グロイな。ホラーでグロイ・・・ううむぅ~。
なんていうか、水無月・R的ボーダーラインを出たり戻ったりという、アレだ、津原泰水さんみたいな感じだ。ほら、食虫とか、ゲテモノ喰い系というか。(←綾辻さんの方が先)

物語は、全然ドロドロしてないのね。どっちかというと、澄み切った空気の中を、相当生々しい「ブツ(内臓とか)」がよぎってくという、シュールかつ逆に目が逸らせないオソロシサ・・・でした。
7篇の、それぞれに苦くダークな物語。堪能しましたが、ある意味「うぎゃ~」な気持ちになったのも否定いたしません。ビンビン来る怖さではなく、変に現実感がないんだけどありありと情景が見えてしまうというイヤ~な感じ。グロテスクではなく、「グロイ」のですよ。ニュアンスが違うんだけど・・・うわ~ん、表現力の貧困な私には、説明できない~!

「再生」
体を切り落としても生えてくる女を、妻にもった私。生えてくる、元々の本体の方は・・・。
「呼子池の怪魚」
私が釣ってきた奇妙な魚は、短期間に驚くべき進化を遂げ。
「特別料理」
・・・あんたら!食う気満々だろ!倫理観を棄てた、グルメの行く末。
「バースデー・プレゼント」
恋人をナイフで切り裂いた夢。切り分けられた自分の体をプレゼントされる女。
「鉄橋」
ありがちな怪談話かと思いきや。
「人形」
物語中に挟まれる過去。庭から掘り出してはいけない開けてはいけない、小さな棺桶とは。
「眼球綺譚」
後輩が送ってきた、小説。
~~読んでください。
  夜中に、一人で。~~
 (本文より引用)
読み終えたとき、現実は裏返される。

いや~、どれも緻密なのに曖昧なで、澄んだ美しさを含んだ情景が見えてきます。
そういうのは好きなんですけどねぇ・・・(-_-;)。いかんせん、ボーダーラインが・・・。

「呼子池の怪魚」は、終わりに救いがあってよかったな~と思いますね。主人公の予想通りの不気味な生き物が出てきたら・・・、救いがないですもん。妻は(産まれ得なかった)自分の子供だと夢を託してましたしね。
「特別料理」は・・・、ゲテモノ・如何物(いかもの)喰いにハマった夫婦が、とあるレストランでだんだん倫理観を失っていく物語。特別メニューのCが「かなり凄いもの系」で、Bがいわゆるカニバリズムで、えぇ?Bが最高(ていうか最低)到達点じゃないの?と思ったら、まさかのAが、「アレ」とは・・・。欲望の膨らみ方というか、エスカレート加減と、グロすぎな料理(私的にはもう、食品でも料理でもないんですけど!)の描写に、相当気持ち悪くなったんですが・・・。最終的にこの夫婦、作る予定のなかった子供を「そろそろつくろうか」とか言い出す。あんたら、喰う気満々だろ!勘弁してぇ~。ブラックすぎです。(←水無月・Rは、レギュラーメニューもパスです。)
「人形」の、途中々々で挟まれる、このエピソードは何なんだろう・・・というお決まりの不安をそそる展開ながら、最後の方でやっとそのネタが分かるんだけど・・・。埋められた人形たちは、どうなってしまうんだろう。再生される私の記憶や人格は、どうなるんだろう・・・・、と気になって仕方無かった。怖いはずなのに、妙に軽い読後感。

表題作「眼球綺譚」は、作中作「眼球綺譚」を読んでいる編集者に、物語の結末が襲い掛かってくるという、入れ子細工のような、手の込んだホラーでした。
ちなみに冒頭の「読んでください。夜中に、一人で。」というのを目にした水無月・R、昼間だったにもかかわらず「一人で読んだらヤバイ」と、速行本を閉じました(←どんだけ小心者)。そして、ダンナが帰って来てから同室で読み終えました。一緒に読んだわけじゃないですけどね(笑)。

さて、各章に共通するの登場人物名「咲谷由伊」。 あとがきで、著者本人が
~~と云っても彼女らはみんな別人で、~~深読みされる必要はありません―― とさしあたりここには記しておくことにします。~~ (あとがきより引用)
と書いてるあたり、深読みの必要なしなれど、心のどこかにひっかけておいてね、というメッセージじゃないかと疑ってるんですが。
もしかしたら『深泥丘綺譚』、或いは他の綾辻さんのホラー系物語の象徴的存在?なんて・・・ね。
綾辻さんは初読みなんで(ミステリの方も全く)、楽しみですね。はずれてても、全然OK。

(2008.10.30 読了)
眼球綺譚
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集英社文庫 著者:綾辻行人出版社:集英社サイズ:文庫ページ数:331p発行年月:1999年09月この


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