『ミーナの行進』/小川洋子 ○

あ~、なんだろ、この肩すかし感は・・・・。
いや・・・いい物語だったと思うんだけど。なんていうんだろうか。優しすぎる。うん、多分そうだ。
小川洋子さんの『ミーナの行進』、水無月・R的に合いませんでした・・・好きな方、ごめんなさい。

冒頭で、すでに30年以上の過去回想であることが分かってるせいか、物語の中に「喪失」というテーマを見てしまったのですね。その喪失が、あまりにも何度も象徴されるため、息苦しくなってしまって。
物語の美しさも、過去を美化している感が否めなかった気もします。間に阪神大震災を挟んでしまったのも、ちょっと・・・。
ううむ。水無月・Rの心が清くないからなんだろうなぁ・・・。

家庭の事情から、叔母一家の家で1年余りを過ごした主人公・朋子。その家には、ドイツ人とのハーフで飲料会社経営の伯父、ドイツ人のおばあ様、伯母、虚弱体質の従妹・ミーナ、一家を取り仕切る使用人の米田さんが住んでおり、庭にコビトカバのポチ子を飼っていた。その他に、通いの庭師の小林さん、夏休みに帰省するスイス留学中の従兄・龍一、芦屋の図書館の司書・とっくりさん、飲料水を配達してくる水曜日の青年、登場人物はわずかである。
中学1年の朋子の1歳下のミーナは、体が弱く小学校への坂を登れず、車酔いもするので、なんとコビトカバの背に乗って、通学している。
ミーナは、マッチで美しい灯をともすことが出来る。そして、ミーナはマッチ箱のイラストに、小さな物語を付けて、大事に取っておいている。朋子とミーナの初恋。
ミーナや家族と、心あたたかな生活を続ける、朋子。悲しいことは起こっても、嫌なことは起こらなかった(美しい過去回想)、その1年余り。
30年を経て、大きくなったミーナと書簡のやりとりをする。

ううむぅ~。美しいのだけれど、まず結果(すべては過去であり、その場所は跡形もない)が見えていて、且つあちこちで「大丈夫、まだみんないる」的な言葉が差し挟まれ、いつかは失われてしまう物語・・・というのが、割とありがちな感じがしました。
お金持ちの親戚の家で、意地悪をされることもなく受け入れられ、楽しくも美しい日々を過ごす・・・。
一つ一つのエピソードは、美しいのだけど。どうも「ふぅぅ~ん。」て感じなのだ。

おばあ様と米田さんの精神的双子のような美しいデュエット、ミーナの作る小さな物語たちなどは、本当に良かったのだけどなぁ。ミーナの物語は、小さいのだけど、キラキラと光り、物語全体に優しさと美しさを与えていたように思います。天使の羽繕いの物語なんか、とても素敵。
多分、小川さんの「ファンタジー」が好きなんだなぁ、私。

年経れば失われてゆく、全ての記憶に優しさを。そんな感じの物語でした。
コビトカバのポチ子とか、さりげなく可愛かったんですけどねぇ。

(2009.04.28 読了)

ミーナの行進
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著者:小川洋子(1962ー)出版社:中央公論新社サイズ:単行本ページ数:330p発行年月:2006年


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この記事へのコメント

2009年05月04日 07:04
「肩すかし感」分かります~!そして、「優しすぎる」も!私も、いい物語だとは思うんですが、その後に「う~~~ん;;;」という言葉を付けてしまいます^^;
ミーナの作る物語は私も好きでした♪
2009年05月04日 22:27
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
どうも水無月・Rは「さりげない物語」が苦手で、だからなんなのさ~(-_-;)と思って読んでたので、すずなさんのレビューを見て、良かった私だけじゃない!と安心した次第です。
ミーナの作る小さな物語は、とっても素敵でしたよね~。可愛くて、美しくて。

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    Excerpt: 暖かい優しい物語。 一言で表現すると、そういうお話・・・でしょうか。 Weblog: Bookworm racked: 2009-05-04 07:00