『毒吐姫と星の石』/紅玉いづき ◎

この作品も、好きだ。
紅玉いづきさんの描く、強くて、優しくて、まっすぐな、お伽噺。
お伽噺だけれど、けっして子供騙しではなく、国を、人を愛する、その愛の深さに打たれました。
本作『毒吐姫と星の石』は、私の2011年読了作品ランキングで3位になった 『ミミズクと夜の王』の続編です。
あの作品の時は、ホントにボロボロ泣きました。今回も、泣かされた…!

占いによって国を動かしているヴィオンという国の、生まれた時の占いによって下町に捨てられた姫・エルザ。彼女は、国や政治や人を辛辣な言葉で罵ることで、生きる糧を得ていた。類稀なる毒吐きとして。
そんなエルザが、王宮に連れ戻され、占いによって同盟国に嫁げと言われ、魔術で言葉を奪われて輿入れする。
その同盟国が前作『ミミズクと夜の王』の舞台レッドアークであり、結婚相手が魔王に祝福されし異形の王子・クローディアス(ディア)。
もちろん、聖騎士アン・デューク(アンディ)と聖剣の巫女オリエッタの夫妻も出てくる。

ディアの腕の夜の王の呪刻により、言葉を声を取り戻したエルザは開口一番にディアを「モヤシ王子」と罵り、城を出ていくと騒ぐが、ディアになだめられ、とりあえず城に残ることに。…さすが毒吐き姫、あっぱれな口撃ぶりだなぁ、なんてあきれるやら感心するやら。
でも、そのエルザを包み込むように許容するディア、『ミミズク~』時代よりもっと強く優しくなったなぁ…なんてちょっと感激。

ストーリーを追うつもりだったんだけど、長くなりそうなので、やめることにします。
とにかく、紅玉さんて、本当に愛の作家さんだなぁ…って思うんですよね。本作でも、国を、民を、個人を愛すその愛の力強さを、ギュッと胸を締め付けられるようなそのまっすぐさを、焦がれるような思いで読みました。

そして、たぶん本作では「言葉の力」というものもクローズアップしてるなぁ、と思いました。
「毒吐き」のエルザが、祖国ヴィオンの内乱を止めるために戦場に乗り込み、言葉の力を持って戦乱を止めるシーン。真に、国を民を思う心がある言葉だから、戦っていた者たちを止めることが出来た。
真摯な思いを、言葉に乗せる。それがこんなにも、力強い。心強い。

主人公のエルザの成長も目覚ましいんだけど、本当にディアの優しさと強さには、ほれぼれしましたね~。自分をどう言おうがかまわないのに、エルザを悪く言われた途端相手を一喝するとか、エルザがどんなに毒を吐いて来ようとも微笑んで受け入れるところとか、妻となる人を愛そう、とそこから始まった気持ちが、だんだんエルザ個人を愛するという気持ちに変わっていく様子、本当に見ててうわぁ、正統派恋物語!って感じで、良かった。王道って、いいですよねぇ!
エルザは「ディアは真昼姫(ミミズク)が好き」「自分はディオンの姫だから妻になるだけ」と思い込んでるし、もともとの毒吐きという性質からしてなかなか素直になれない。なのにそれを受け入れちゃうんですもの~うふふ~♪

ミミズクの登場シーン、別に泣くシーンではないと思うんだけど、思わず涙ぐんでしまいました。あの天真爛漫さ、飾ることのない、率直でいてまっすぐな言動。美しいとも、清々しいとも、表現するのが難しいんだけど、・・・変な言い方になるんだけど、とても元気になる感じ。登場はほんの数ページなのに、素晴らしいなぁ!って感じました。ちゃんと、エルザの心に明かりを灯していったし、ね。

ヴィオンの戦乱も収まり、レッドアークに帰るという日に、ディアはエルザに国に残るかと聞く。逆上したエルザは「あたしがいいと言わせてやるわ!」と叫ぶ。
とりあえず「真昼姫より好き?」と聞かれて、間を置いちゃダメです、ディア(笑)。でもそんなやり取りが微笑ましくて、キュンってなりました・・・年甲斐もなく(笑)。
そして、物語の締めのエルザのセリフが「あたしがあんたを、幸せにしてあげるわ」ですもんねぇ。王子様がお姫様を幸せにしました、じゃなくて姫が王子を幸せにする宣言!ときめきますねぇ!

物語のラストに~~二人がお伽噺になる日は、そう遠くはない。~~ ってあったので、もしかしたら、いつか後日譚も読めるのかもしれないな~、なんて期待してます。ディアが国を継ぎ、レッドアークとディオンをどのように治めていくのか。二人がどんな夫婦になるのか、生まれる子供たちの物語。連綿と続く、この歴史の物語が、紅玉さんの中にあって、描かれる日を待ってたらいいな、って。

(2012.01.05 読了)

毒吐姫と星の石
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電撃文庫 紅玉いづき アスキー・メディアワークス 角川グループパブリッ発行年月:2010年11月 予


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この記事へのコメント

2012年01月07日 12:36
あけましておめでとうございます。
今年も素敵な本との出会いとその本についてお話しできるのを楽しみにしています。どうぞ宜しくお願いしますm(__)m

前作に続いて素敵なお話でしたね~!今回も涙腺崩壊でした^^;なによりも、ディアの成長ぶりがとっても嬉しかった。
「言葉の力」というものを改めて感じさせられましたね。私も自分の発する言葉に敏感にならなければ、と思ったりもしました^^;
続編、読みたいですね。読めるといいですね!
2012年01月07日 21:26
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
こちらこそ今年も、是非によろしくお願いします。

はい、本当に泣きましたよねぇ。いいお話でした。まっすぐな優しさは、本当に強いと思いました。
続編、書いてほしいですね♪
苗坊
2012年03月15日 21:56
こんばんは。
買ってしばらく経っていたのですがようやく読みました~
紅玉さんの描かれる世界って本当に素敵ですよね。
毒吐姫が本当にどれだけ人を傷つけることを言えば気が済むんだ~って最初は思いましたけど、1度は捨てられた国を救おうと勇んだ姿は本当に素敵でした。
きっと素敵な夫婦になりますね^^
2012年03月15日 22:13
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
「愛」ですね~。人や国を愛する、その心の強さにうたれましたね。
まっすぐで強くて、弱くて、優しい。
紅玉さんの物語は、本当に素敵です♪

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    Excerpt: 先日、号泣しながら読了した「ミミズクと夜の王」の続編。 Weblog: Bookworm racked: 2012-01-07 12:26
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