『四〇一二号室』/真梨幸子 ○

うはぁ~。騙されたっていうか、なんていうか、ある意味凄いわ。驚愕のラストですねぇ。確かに、伏線はあったけど、ちょっと引っかかってたけど、でもなんかいつの間にか忘れて読んでて、最後に驚いた。
「嫉妬」とか「恨み・つらみ」とか、そういう悪感情で世界が回ってる物語。
この独白はこの人、この状況はこの人の状況、そう思い込んでると、最後に正面からひっぱたかれます。
真梨幸子さんは、初読みなんですが、そのフェイクが凄くて非常に驚かされました。
とある高級マンションの、心理的瑕疵物件である『四〇一二号室』。そこで繰り広げられる悪意の饗宴。
・・・後味悪ッ!

同時期にデビューした、売れっ子作家・三芳珠美としがないOL兼業作家・根岸桜子。
珠美の住んでいた高級マンションの四〇一二号室の売却を仲介する不動産業者の語りが間に挟まりつつ、二人の女流作家の確執(というかお互いへの嫉妬や虚栄心や、その他ドロドロの感情)をたどる物語が進んでいく。
そうこうするうちに、珠美はマンションから転落して、植物状態になる。
植物状態になった女は、反応が出来ないため、何も感じない意識もないと思われている。だが女には意識があり、夢現の狭間で、失った記憶を取り戻そうと一人もがき続けている。
珠美が書けなくなった代わりに担当編集者・西岡が白羽の矢を立てたのは、桜子であった。遣り手の西岡によって、スターダムにのし上がり、一時はもてはやされた桜子だが、やはり書けなくなり、業界から姿を消す。
その後、「三芳珠美を殺したのは自分だ」と衝撃の復活を遂げた桜子は例の四〇一二号室に住み始める。
そして、二つの後日談が語られ、最悪の後味で物語は断ち切られる。

珠美や桜子の物語以外にも、植物状態の女の夢の中の殺人事件、散発する「阿部定」を騙る女のエピソード、嫉妬深い西岡の妻、珠美転落の真犯人、四〇一二号室を購入したけれども住むことなく妻が夫を殺してしまったという事件、本物の死体が出て来るという謎の自主製作映画騒ぎ、とにかくいわゆる厭~なネタ満載。
これでもかこれでもかと押し寄せる、虚実入り混じり夢想と妄想が交錯する悪夢と悪意。
いやもうホントに、気持ち悪~い、読み心地悪~い、って思いがずっと続くんですよ(笑)。だけど、読むのを止めようとは思わない。うへぇ、って思いながら、それでも読んじゃって、最後にもっと「うわ~・・・」ってなる。
なんて読後感の悪い作品だ(笑)。

しかし・・・、売れっ子作家・珠美の性格の悪さったら(笑)。ここまで来ると、笑うしかないほど、ねじ曲がっている。だけど対する売れない兼業作家・桜子の方だって、おとなしそうな顔をして心の中は、どろっどろ。
だけど、ここまで酷くはなくても、そういうものですよねぇ、人間て(^_^;)。
いやいや恐ろしいわ。私も、そういう面があったりするから、余計にね~。

何より、西岡がとにかく酷いです。外見に見合わぬやり手なんだけど、担当作家を売り出すためには何でもやるのね~。妻の扱いも酷いしな~。ああ云うラストを迎えたのは、自業自得だわ。

ところで、途中に差し挟まれる不動産業者の語りですが、どこで入れ替わったか、微妙だなぁ。いや、入れ替わりじゃなくて時系列が乱れてるから、実はそれぞれだったりする?それとも、最後だけ?
どっちにしろ〈心理的瑕疵物件〉なのに、ビジネスライクに売りつけようとするその姿勢が、うすら寒~い。
こういう人間が、実は一番冷酷よねぇ。怖いわ~。

(2013.04.07 読了)

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真梨幸子 幻冬舎発行年月:2012年10月 ページ数:373p サイズ:単行本 ISBN:97843


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この記事へのコメント

2013年04月14日 07:18
衝撃のラストでしたねー!まさかそうくるとはっ!と驚きまくりました。そして、それ以上に人間の嫌ぁ~な面をこれでもか、これでもかと見せ付けられたような印象で、読んでる間もですが、読後感も最悪って感じですよね;;;でも、読むのは止められないという矛盾を感じる作品でした^^;
2013年04月14日 23:08
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
驚きの展開でしたよねぇ!びっくりして、ホントに口がぽか~んとあいてしまいました。
「ほえぇ~・・・」という間抜けな発声付きで(笑)。
誰もが嫌な面を持っていて、そしてそれが不幸を呼んでいる…のが、オソロシイですよね~。

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