『物語のおわり』/湊かなえ ◎

北海道を旅する人たちの間に受け渡されていく「空の彼方」という未完の物語。読んだ人々はそれぞれに自分だったら・・・、と『物語のおわり』を思い描く。彼らは、それぞれ心にわだかまりを持って旅に出たのだが、物語に心を添わせることがそのわだかまりを溶かすきっかけとなる。
そして、未完の物語は廻り廻って・・・。
いつもの湊かなえさんとは、ちょっと違った感じになりましたが、構成のうまさはさすがですねぇ。短編それぞれに解決があり、次へ繋がり、最後につながる先での、結末。最後まで、目が離せませんでした。

5人の旅人を経て、6人目の物語が始まってすぐ、あれこの人「空の彼方」の登場人物では?となり、という事は「空の彼方」は事実を描いた手記で、結末が本当はあって、これからそれは明かされるの?と読み進めていったら、確かに大体のことはわかるんだけど、6人目のわだかまりは判明したけど、結末の方はお預け。
最後の章で、1人目に「空の彼方」を渡した少女・萌の物語が始まり、彼女にもわだかまりがあることがわかる。その中で明らかにされた「空の彼方」の結末。そして、萌のわだかまりへの対峙。
苦しいけれど、明るい未来が見えて来るものでした。

旅人たちそれぞれが同じ物語を読んでいるのに、それぞれの立場や考え方が全く違うので、描き出すあらすじが違うのが興味深かったですね。そしてそれぞれが思い描く結末も、全く違っているものになっていました。
私も「自分が描くならこんな結末」、そして「もし本当に自分が絵美だったらどういう行動をとるか」と、二通りを考えました。

しかし、湊さんが用意した結末は・・・。
もう一設定付け加えられた、優しい物語になっていました。
ちょっとずるいなぁ・・・と思わなくもなかったですが(笑)、そういった物語の創造をできないところが、私の「物語るひと」への限界なんだろうな、と思います。
このラストは、納得がいきます。こうでなければ、萌も立ち直ることはできなかっただろうし。というより、萌が存在することすらなかったかも・・・なんてね。

それぞれの旅人達の、その後を知りたいなぁと思いました。

そういえば、旅人達の思い煩いの中に、何回も「ドラマの脚本」に関わることが出てきました。その辺が湊さんだなぁ・・・と思いましたね(^_^;)。この作品も、そのうちドラマ化されるんじゃないかしらん。

読了したその日に、なんと有川浩さんがご自身のブログ《有川浩の『読書は未来だ!』》『物語のおわり』を紹介されてまして、なんか恐れ多くてこのレビューを書けずに年を越してしまいました(^_^;)。
私のレビューの後でこちらをご紹介するのは、たいへん恥ずかしいのですが、リンクを張りますので、よろしければ是非。


(2015.12.30 読了)

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湊かなえ 朝日新聞出版発行年月:2014年10月07日 予約締切日:2014年10月03日 ページ数


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この記事へのコメント

2016年01月04日 15:24
あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

あれ、湊作品だよねぇ?と、ちょっと疑ってしまうくらい雰囲気が違ってましたね(笑)最初の1編を読んだ時には「うーん;;;」と思ったのですが、読み進めていくとそれが見事に繋がっていって、挫折しなくて良かったと思いました(^-^;
とても面白かったですね!その人の抱えていることによって、その物語が違ったものになっていく、その楽しさを味わえました。

それにしても、すごいタイミングで読了されたんですね~。躊躇しちゃうお気持ち、分かります~(笑)
2016年01月04日 20:30
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
いつもの『写真週刊誌並みのセンセーショナルな事件』が冒頭じゃない?!というビックリから始まりました(笑)。
それぞれのわだかまりが解け、物語に見合う次の旅人へと渡っていく。ホント、物語の運びのうまさは、湊さんならではでした。

はい、RSSリーダーひらいて、もうびっくりしちゃって。頭抱えちゃいました(^_^;)。
2019年06月22日 08:52
ご無沙汰しております!
こういうお話は、やっぱり北海道のイメージがピッタリでした(笑
それぞれの思いが紡がれる最終章、その後。
薄々わかりつつも、ホッとした自分がいました。
旅の終わりは始まりですね。
2019年06月24日 21:12
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
そうそう!!「旅の終わりは始まり」!!
ひとつの旅が終わっても、〈そのひとの人生〉はそこでの経験を経て、続いて行きますもんね♪
爽やかな旅を感じる、素敵な物語でした。

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