『鹿の王(下) ~還って行く者~』/上橋菜穂子 ◎

実は、『鹿の王(上)』読了から半年たっています・・・(^_^;)。
それだけ間が開いても、上橋菜穂子さんの描く壮大な世界にすぐに入り込めました。
ヴァンとホッサル、上巻では別々に行動していた二人の主人公が出会い、物語は大きく動き出す。
何故、タイトルが『鹿の王(下) ~還って行く者~』なのか。
人の思い、民族の行く末、様々な関係が描き出す世界観に心奪われました!!

あらすじを追うには、あまりにもいろいろな関係が交錯していて、説明ばかりが長くなりそうです。
帝国に征服され、支配される元王国。王国の中にも数多の氏族がおり、土地の風土に従って生活していたのだが、帝国支配によりその暮らしを変容させざるを得なくなり、そこからさまざまな確執が生まれる。
国や民を守るために上に立つものがとる策、それによって影響を受けてそれぞれの思いを飲み込む氏族、帝国支配を恨む者、支配者としての立場、病素の変容、医学の発達・・・。
〈ひと〉が生きる世界は、本当にさまざまな要因が絡まり合って進み流れていき、壮大でいながら一人ひとりにとっての小さな変化や決意で構成されていく。

本当に、上手く表現できません。
壮大な〈国〉の物語でありながら、一人一人の懸命に生きる〈ひと〉の物語でもあり、それぞれの立場から見たその時々の歴史であり、日々の生活である。
こんなにも特別な物語なのに、登場人物たちは懸命に生き抜こうとして、悩み行動している。
壮大で、繊細で、切なくて、愛おしい。

ヴァンが〈犬〉たちに接することで裏返ってしまう感覚、『犬の王』ではなく『鹿の王』というタイトル、本当に〈強い〉者とは、人と人とのつながりとその確かさ、色々な感情が押し寄せてきて、胸がいっぱいでした。
書いてることに脈絡がないですね…。

帝国の王族を襲おうとした犬たちを連れて、森の奥深くに入っていったヴァン。彼の行動は、その時点で取りうるベストな対応だったのだろうけど、とても痛ましい自己犠牲だったと感じました。
でも、最後にヴァンの養い子・ユナが飛鹿乗りの若者達とサエと共に、ヴァンを追いかけて森に入っていった。きっとユナたちは、ヴァンを見出して、〈犬〉ではなく〈ひと〉である彼と生きていけるんじゃないでしょうか。そう感じることの出来る力強い物語のおわりに、とても感銘を受けました。
大きな時代の流れにそれぞれが呑み込まれながらも、懸命に真摯に生きる人々がいる世界、そんな物語を読めて、幸せでした。

(2016.03.23 読了)

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水無月・Rの『鹿の王』記事
『鹿の王(上) ~生き残った者~』  
『鹿の王(下) ~還って行く者~』

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