『子どもたちは夜と遊ぶ』(上)(下)/辻村深月 ○

なんていうかねぇ、・・・非常に後味が悪いです・・・。
だけど、気になって気になって、下巻なんかもう、すごい勢いで読んじゃったんですよねぇ。
辻村深月さん、この展開はちょっと…救いがなさすぎると思うのですが…。
『子どもたちは夜と遊ぶ』という、ファンタジックなタイトルとは裏腹に、いくつもの殺人事件が描かれるこの作品。
ううむ・・・感想がとても難しいなぁ。
どうしましょう・・・(^^;)。

アメリカの名門大への留学を賭けた論文のコンクールの合否発表直前から物語は始まる。D大学の有力候補、狐塚孝太と木村浅葱は同じ研究室に所属している。この二人のどちらかが選ばれるだろうと思われていたこの賞の最優秀賞を勝ち取ったのは、『i』という匿名の論文であった。iはC大学の架空の学籍アドレスから論文を投稿した後、受賞の名乗り出もせず、コンクールはなし崩しに立ち消えとなる。
孝太・浅葱・石澤・月子・真紀・紫乃・秋月教授・・・。彼らを外側からだんだんに包囲していく、「i」と「θ」の殺人ゲーム。

iとθの関係や、ゲームの仕組みや意図はたぶん結構早めに気づいたんですが、月子の秘密は明かされるまで、なんか変だなという気はうっすらとだけしてたんですが、そのままスルーしてて。「えっぇぇぇぇ~、す、ずるいよ~」ってなりました。これは、うまくだまされたというかなんというか・・・ちょっとどうなのかなぁって思いますよ。
ていうか、浅葱君、好きな女の子の近辺はちゃんと調べましょう・・・(^^;)。と、責任転嫁させていただきます(笑)。
まあでも、確かにそういうことか~って後から納得がいく。なんで皆がそんなに月子をお姫様扱いするかっていうのが、ね。
私、月子が友達だったら、結構疲れちゃうなぁとか思いました…。といっても、紫乃はもう絶対に友達ではいられないと思いますが(^^;)。

上巻読んで、どう考えてもハッピーエンドにはならないわけで、どうしたらいいんだろう…って(私がどうできるものでもないんだけど)ずっと思いながら下巻は結局一気読み。

悲惨な幼少期を経て、少年期には施設で過酷な状況下にあり、やっと大学に来て自由になった浅葱。
ある日、「自分は兄の藍だ」というメールが届いて、「i」とのやり取りを始め、「θ」として二人が再会するための殺人ゲームが始まる。
「兄に会いたい」という一心で始めてしまったゲームは、いつしか浅葱の周りに死を呼び込むようになる。だが、ゲームをやめることができない浅葱。

そして、とうとうゲームの最終局面で悲劇が起き、浅葱は姿を消したのち、廃トンネルで左目を突かれた状態で発見される。心を閉ざした浅葱と面会する狐塚。浅葱の中にある別の人格。その人格の真実。月子を訪れた偽物の石澤。

何が、いけなかったのか。
どうして、こうなってしまったのか。
現実というのは、どうしてこんなに弱者に対して過酷なのか。
やっと自由になったのに、それでもやはりとらわれていた浅葱がかわいそうで、でもその行動の根本にある「兄への思い」の歪みは理解できなくて。
ちょっとずつ、掛け違えてしまったボタン。もし、月子と狐塚の関係を正しく理解していたら、もう少し違う未来が開けていたのかもしれない。

切ないと感じるより〈残酷だ〉と感じました。
現実は、本当に残酷だ。失いたくないものを失い、記憶は忘れることができず、気持ちだけが捻じ曲がっていく。どこかで立ち止まることができればいいのに。どこかでやり直せたらいいのに。
ずっとそう思って、でも無理なのはわかってるから、とても残酷だと感じました。

(2016.07.31 上巻読了)
(2016.08.01 下巻読了)

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この記事へのコメント

2016年08月23日 16:54
本当にタイトルからは想像できない内容でしたねぇ。殺人だし、またその描写はグロかったし・・・。でも、そこに伏線が張ってあったらと思うと飛ばし読みも出来ないというジレンマと戦いました^_^;
もう少しどうにかできなかったのか、と思うと、堪らない気持ちになりますね。
2016年08月23日 21:05
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
グロテスクな殺人の中に、悲しい事実が確固として存在していて、胸が痛かったです。
色々なことに気付くたび、〈残酷だ…残酷だ・・・〉とずっと思って読んでました。

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  • 子どもたちは夜と遊ぶ(上・下)(辻村深月)

    Excerpt: ふっふっふっふっ。と、ほくそ笑みながら心の中でガッツポーズ。今回は読みが当たりましたよ。あの二人はそうじゃないかと思ってたのよねぇ~。そして、「i」と「θ」の正体もそういうことだと思ってたのよねー。や.. Weblog: Bookworm racked: 2016-08-22 12:50