『夜に啼く鳥は』/千早茜 〇

これほど感想が難しい作品は、久しぶり。
千早茜さんの描く現代奇譚・『夜に啼く鳥は』は、八尾比丘尼の末裔であるという〈蟲宿しの一族〉の長である「御先(ミサキ)」とその一族の物語。
悲しくて、美しくて、終わりが来ない日々と永らえられない命が背反する切なさ。
・・・ううむ、具体的な感想が、なかなか思い浮かばない…難しい。

昔々、とある海辺の村に流れ着いた金髪碧眼の赤子。彼女を祖として連綿と続く一族は、「どんな病でも直す」ことが出来、現代に至るまで存在を秘匿され、時の権力者たちから守られていた。
彼らは、人の痛みを喰らうという緑色に発光する蟲を自身に宿し、自在にそれを操ることによって、他者の病をいやす。
一族のうちで数人しかいない〈蟲宿し〉の中でも、多くの虫を宿し長命を保っている一族の長・ミサキは、親族で付き人の雅親と共に都会で暮らすうちに、同じ蟲宿しでありながら里の認識下になかった四(ヨン)と巡り合う。

里の因習に縛られないヨン、里の掟が第一で何よりもミサキを守ることを優先している雅親、不老不死で性別すら定かでないミサキ、そしてミサキに施術を依頼してくるものやミサキの命をつけ狙うものたち、期せずしてミサキたちとかかわりが出来た者たち・・・。それぞれに事情があり、思い悩む気持ちがあり、それらは複雑に絡み合っている。

蟲を使った施術を受ければ、生殖機能が弱体化するという。
それゆえ、ミサキは未来ある若いものに施術をためらうこともある。
そして、蟲宿しには男女の区別もあやふやになった者たちが多いという。つまり、長命にはなるが、自身の遺伝子を残す確率は低くなるということ。
いずれは、蟲宿しの一族は衰退してしまうのかもしれません。

色々なエピソードを経て、最後の章で「ミサキの心の在り処」が姉ではなく姉の夫であった月雅だというが明らかになり、雅親は報われたのでしょうか。
ひたすらに憧れ、そばに在りたいがゆえに自身を傷つけ、付き人としての地位を手に入れ、献身していた雅親の中に在った月雅の名残に、ミサキは何を思ったのでしょうか。
お互いの思いは完全に一つになることはなく、それでも暖かく癒され救われるものだったらいいと、願わずにはいられません。

永らえる身のヨンと、永らえられない身の雅親、2人がいるからこそ、ミサキは自分を見失うことなく自棄になることなくいられるのかもしれない…と思いました。

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(2018.05.14 読了)

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この記事へのコメント

苗坊
2018年05月16日 22:01
こんばんは。
確かに感想を書きづらい作品でしたね^^;
面白かったんですけど。
ミサキの境遇は辛すぎますけど、それでもヨンや雅親の存在によって、少しでも生きやすくなれば良いなと思います。
2018年05月17日 16:26
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
ミサキが生きることに執着できなかったのが、ヨンと巡り合えて、そして雅親の献身に触れて、変わっていけたのがよかったと思いました。
切なくも、美しいお話でしたね。

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