『鬼女の都』/菅浩江 〇

・・・京都の怖さを思い知る、・・・いや、私、知ってた。
更に思い知らされた・・・って感じでしょうか。
菅浩江さんって、京都在住だったんですね。なんていうか、京都ってやっぱり、私みたいな単細胞には向いてないなぁと、痛感いたしました。
京都を舞台にした歴史ロマン小説で人気の同人作家・藤原花奈女の自死から始まる『鬼女の都』は、京都という〈街〉が引き寄せ、誤解させ、皆まで言わない文化で混迷を極めてしまった真相を解きほぐすミステリーです。

国文をちょっと齧ったことがあるぐらいじゃ、全然太刀打ちできませんでしたね、京の都ミステリー。
藤原花奈女を苛んでいた〈ミヤコ〉が誰か?と、花奈女とミヤコの関係は、なんとなく見当が付いてはいたんですが、どうにもその動機と経緯が分からず、謎の方は謎解き役の杳臣にまるっとお任せでした(^^;)。

花奈女の葬式に東京から参列した、同人仲間の優希・櫻・ちなつ、そして花奈女と京都で同居していた同級生・梶久美子。京都の大学に行っている優希の従兄とその友人で三味線弾きの杳臣と、杳臣の母親だという京女を体現したかのような小料理屋の女将・陶子。
崇拝する花奈女の死の真相を突き止め仇討ちをし、彼女の残したあらすじを小説化したいという優希は、櫻・ちなつと共に花奈女と久美子の部屋を訪れたり、あらすじにあった場所を取材したりするうちに、怪奇現象に見舞われる。久美子の元へ届いた〈ミヤコ〉からの手紙、ちなつと櫻を襲った幽女、優希たちに届いた第二の手紙、花奈女の部屋で襲われた優希、第三の手紙。夜の京の町に出現する化け物、あり得ないほどの睡魔・・・。
彼女たちからそれらを聞き、推理する杳臣。

いやいやホント、京都の知識がないと推理は無理でしたな。何が存在してて、過去と今とで何がどう違うか、そして「言わないことは、そのことを恥じて仄めかしていることを察して欲しい」という文化・・・。
よく言う〈京都の人はイケズ〉は、違う部分もあるんだな・・ということは分かりましたが、私あまり頭がよろしくなく察しの方も悪いので、優希クンじゃないけど、直截に話し合って!!と何度も思いました。

優雅に微笑んだ裏で黙って耐え忍び、その耐えていることも押し隠す、〈京女〉の呪縛に囚われた花奈女とミヤコ。
この二人が〈京女らしさ〉ではなく、お互いに腹を割ってその気持ちを伝えあうことが出来たら、この悲劇は起こらなかった・・・。

そして、舞台が京都でなければ、優希たちはここまで惑わされずに謎に迫れたかもしれません。まあ、そうすると、物語の情緒はがた落ちですが・・・。
ここは魑魅魍魎怨霊の跋扈する京都だという刷り込みが、彼女たちの中に街の気という疑心暗鬼を生み、そして一般の常識とは違った京の古い風習が誤解を生じさせる。

~~ここは鬼の都やのン。都にこだわり続けるあさましい鬼がいてるのン。みんなが見てる京都は、鬼の見せる夢なんや。~~(本文より引用)
という、花奈女の言葉は、この物語にいくつもの意味を与え、惑わせていました。
京都って、本当に、難しい・・・。難儀ですわぁ。
私のリアルな生活の方でも、京都に関しては色々とありまして・・・、本作で「そうか、京都の人ってこういうこと考えてて、こうするのか」など、学ぶところも多かったです。完全に理解できそうにはありませんが・・・。

同人作家たちそれぞれの性格というかキャラクターが立っていて、その掛け合いがくっきりしていて読みやすかったので、「京都」のくだりで抉られてた私の小心が慰められましたね。
とはいえ、ちなつは好きじゃないなぁ。あんなに風見鶏で調子のいいちなつを許容できる櫻ってすごい・・・。
あと、大阪在住の森小路侑魅の毒舌はちょっと性格悪いなぁと思うけど、言いたいことをズバズバ言うという意味ではスッキリしました。

怨霊渦巻く京都というイメージを、見事に現実に落とし込み、幻想とミステリーロジックを融合させた菅さんの手腕は、とてもすごいなと思いました。
種明かしされても、鼻白むことはなかったですもん。まあ「京都に囚われず、もっと正面向き合って、正直になろうよ!」とはやっぱり思っちゃうんですけどね。

それと・・・ちょっと本作は私の好みとは、外れてしまいますね。
菅作品、私は〈ひと〉と〈機械〉の遠い未来を描いた作品の方が、好きかな。

(2018.12.08 読了)

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長編本格推理 祥伝社文庫 菅浩江 祥伝社キジョ ノ ミヤコ スガ,ヒロエ 発行年月:2005年09月


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