『愛なき世界』/三浦しをん ◎

植物研究に心を傾ける本村、本村に恋をした洋食屋・円服亭従業員の藤丸、本村の所属する松田研究室の面々、藤丸の師匠・円谷・・・あ~、も~、みんな可愛いよ!愛おしいよ!!
三浦しをんさん、ホントに大好きですよ。タイトルは『愛なき世界』ですが、愛にあふれる、幸せで胸がいっぱいになる、素晴らしい作品でした!

タイトルは、感情のない植物が進化し生きていく世界を『愛なき世界』と言っているけれど、その植物の不思議を知りたい、解明したい、と情熱という愛をもって研究する研究者たち、そしてその研究者を支える人達(家族、大学職員、近所の洋食屋従業員など・・・)の愛が、いっぱいにあふれてましたねぇ。
そして、その愛は〈慈愛〉〈情熱〉だけじゃなく〈真摯なトホホ〉もあって、ホントに読んでいて楽しかったです。

実を言うと、植物研究の詳細を微に入り細を穿って描写されると、完璧文系な私は頭がピヨピヨしてきてしまったんですが(笑)、でも研究者の皆さんがどんなに情熱的にそして細心の注意を払って考察・実験を繰り返しているかには、本当に感心しました。たしかに、そこまで心を傾けていたら、〈愛〉は絶対に在りますよね!
我が家にも理系な子がいるのですが(分野は全然違う)、こんな風になるのかしら・・・あらまあ、楽しみ(笑)。

最初は藤丸を「ハイ、可愛いおバカさん来ました~♪」っていう感じで見てたんですが、おバカさんというより、優しくて純真で真っ直ぐな、すごく良い子なんですよ。難しい学問のことは分からなくても、真剣に研究の途ことを考えている本村達に、自分の思うことを真っ直ぐに伝えたり、植物研究と料理と分野は違えども真摯に取り組んで上達を目指したり、気配りも忘れないし。そして、人懐っこい。わふわふいってるゴキゲンな大型犬(ハスキーとかピレネーとかサモエドとか)、そんなイメージ。わしっととっ捕まえて、撫でくり回したくなる(笑)。

本村も、可愛い。研究対象のシロイヌナズナの気孔模様のTシャツ着てたり、松茸模様のカットソー着てたり、植物を育てるのはあまり得意じゃなかったり、慎重派なのに、どこかポッカリ抜けてたり。でも、藤丸からの告白には、とても真剣に返事をする。研究対象には、惜しみなく愛を注ぎ、実験の手間を惜しまず、研究者仲間や先生、周りの人たちにも思いやりをもって接している。

研究室の松田先生も、藤丸に〈殺し屋みたい〉と言われるような沈鬱な表情と黒スーツしか着ないという外見ながら、研究への情熱と発想力の素晴らしさ、学生たちへの心配りなど、本当に素晴らしい人物です。かつて同じ研究者である友人を失くしたエピソードには、ちょっと涙ぐんでしまいました。
研究室の先輩・川井、本村と同期で同じ女性研究者の岩間、後輩の加藤、隣の研究室のおイモの先生・師岡、ちょっとしか出番はなかったけど松田研究室のお母さん的存在・秘書の中岡・・・本当にみんな、素敵な人たちで、大好きだなぁ可愛いなぁ愛おしいなぁ・・・って思いながら読んでました。
なんか、心が温まりますよねぇ。

ちょこちょこ挟まれる笑いポイントも、ホントにいい。
師岡先生に怒鳴り込まれても、わかってなくてサボテンをお勧めしようとする加藤とか、師岡先生の勢いに押されて「藤丸は研究室のメンバーじゃない」と言えない研究室の面々とか、2度も振られた「フラフラ丸」とか、シマウマのクローゼットとか、出鼻をくじき続ける藤丸とか、緑の指が強すぎる加藤と松田先生とか、もうニヤニヤが止まらないよ!もちろん、要所要所で爆笑しちゃったよ!!

松田研究室に関わる人になりたい・・・って思いましたね。きっと毎日が楽しいだろうなぁ。その分大変だろうけど(笑)。立場的には、円服亭のパートのおばちゃんか、秘書の中岡さんの弟子とか・・・どこかで募集してませんかねぇ(笑)。
それと、円服亭のお料理、美味しそうですねぇ。洋食屋の看板は上げてるけど、和洋中メニューにないものもリクエストがあれば作っちゃえる大将の腕の確かさ、丁寧な仕込みっぷり、藤丸への愛ある指導、・・ホントに素敵。オムライスもハンバーグもナポリタンも、食べてみたいわぁ。藤丸のスイートポテトも、美味しそうだったし。
研究セミナーの食事(50人分!)を請け負い、アレルギーや宗教上の理由で食べられないものを除去する・わかるように区別するという細やかさも、素晴らしい心配りだと思いましたねぇ。

そうそうこの本、内容ももちろんよかったんですけど。
装丁が素敵でしたねぇ。暗闇に生えるシロイヌナズナや菌糸類などの研究植物の上方から少し青い光がうっすらと射し、実験道具のエッペンチューブやピンセットやイチョウの葉っぱが青い箔押しで描かれ、DNAのらせん模様も密かに仕込まれているという、とても凝った、美しい装丁でした。
私、こういうの大好きです。

(2019.02.08 読了)

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この記事へのコメント

苗坊
2019年02月09日 11:58
こんにちは^^
藤丸君、最初はチャラいおバカな子なのかと思ったら真面目で一生懸命でだんだん大好きになっていきました^^
本村さんも研究に一生懸命なところもよかったですね。藤丸君、良いと思うんだけどなーとも思いましたが。
装丁も素敵でしたね!私も好きです^^
latifa
2019年02月09日 17:30
こんにちは!水無月・Rさん
こちらは雪です。寒いですー。

私も頭がピヨピヨしてしまいました(^-^; ちょっと私には難しかったです。

表紙、凄く素敵ですよねー。
内容も、とっても良くて、ほんとお気に入りの本になりました♪

水無月・Rさんちのお子さんも理系なのね^^
2019年02月09日 22:35
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
藤丸のあの口調は、誤解を生みますよねぇ(笑)。可愛いい、いい子でした!本村とは…どうでしょうねぇ。報われて欲しいような、報われなくても、それなりに彼は幸せかもしれないような・・・。
美しい装丁、愛ある物語、素晴らしかったですね!
2019年02月09日 22:48
latifaさん、ありがとうございます(^^)。
寒そうですねぇ~(^^;)。
ご自愛なさってくださいね。

理系の研究世界をちょっとだけ覗くことのできた、楽しい読書となりました。
2019年08月02日 18:33
こんにちは!
ずっと気になっていて、漸く読めました!!
愛なき世界、いやあ、そんな世界で愛と闘う人々の姿、
流石しをん先生、笑いとシリアスのバランスも最高でした 笑
2019年08月02日 22:57
yoriさん、ありがとうございます(^^)。
私、しをんさん、大好きなんですよねぇ。
愛と笑いとツッコミ処が満載で、でも笑うだけじゃなく、ほのぼのと胸が温かくなるようで。
もっともっと読みたくなりますよね♪

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