『不思議の国の少女たち』/ショーニン・マグワイア ◎

その寄宿学校に通う子供たちは、〈異世界に行ったことがある〉。
心ならずも、現実世界に帰ってきてしまった彼らのために、現実と折り合うすべを教えるその学校で、連続殺人が起きる。
ショーニン・マグワイアさんは、この『不思議の国の少女たち』が日本で初めての紹介となる作家さんなのだそうです。
設定が面白く、すいすいと読め、そしてラストにはちょっとしんみり。
とても良かったです。

この作品を知ったのは、なにかの書評だったと思うのですが、〈不思議の国に行った子供たちのその後の物語〉という紹介にとても心惹かれ、読みたい本リスト入り。紹介の中に〈不思議の国のアリスのような子どもたち〉という表現があったので、何となく自分の中で〈不思議の国に行った子どもたち〉=アリス、ドロシー(オズの魔法使い)、ペベンシー兄弟(姉妹)(ナルニア国物語)、なども含まれるパロディ的なものを想像してたのですが、全く違いました。でも、違っててよかったです。

死者の国、ナンセンスなおかしな国、光り輝く蜘蛛の国、吸血鬼の治める国・・・、様々な国から〈現実の世界〉に戻ってきてしまった彼らは、この世界に馴染めず、暮らしていた国に戻りたいと思っている。
子どもたちはこの学校に通いながら、自分のいた国を「ロジックなのか、ナンセンスなのか」「高貴傾向なのか、邪悪傾向なのか」などの指針をもとに分類し、お互いの経験を語り合うセラピーを受けたり、それぞれの特性を尊重しながら生活をしている。
時に〈不思議の国〉に帰れる子供が現れることもあるらしい。

死者の国に行き、死者の王に愛でられ、その世界を受け入れ愛していたナンシーは、現実世界に帰ってきてしまい、この学校に新しく仲間入りした。
彼女が転校してくるなり、同室のスミが殺され、次に蜘蛛の国へ行っていたロリエルが殺され、セラピストのランディも殺され、そして学校一の美貌を誇るセラフィーナも拉致される。
ナンシーとその仲間たちは事件を追って、犯人であるジルを追い詰め・・・。

色んな事が切ないなぁ、と思いました。
吸血鬼の国に戻りたかったジル。ジルと共にその国で生きてきた双子の姉妹・ジャックは、ジルが戻れない理由を知っていた。
連続犯行を止め、ジルの本当の願いとは反した戻り方で不思議の国に戻ることを選んだジャック。
残された、ナンシー・ケイド・クリストファーは協力して学校を支える。
でも、休暇に実家へ帰ろうとしたナンシーの前に扉は現れ、彼女はそれを開いて、行ってしまう。

私的には、ナンシーが仲間たちと協力して、現実の世界を何とか生きていく物語が読みたかったなぁ。
残されたケイドたちはきっと、ナンシーを責めるどころか、故郷に帰れたことを寿いだのでしょうけど。

物語中で、様々な不思議の国を分類する指針がいくつかか書かれていましたが、分類難しそうだなぁ。ロジックはいいとして、ナンセンスを方向付けするなんて、それこそナンセンスな気が(笑)。
それを分類することで、もしかしたら「帰れる」可能性が上がるとか、そういうこともあるのかな?その辺の理解が曖昧なまま、読んでしまいました。ちゃんと理解してたら、もっと面白かったのかもしれません・・・。

ちなみに、私も〈物語好き〉の性として、〈異世界へ行ってみたい〉気持ちは、すごくあり「ました」。
今は、現実世界の方が大事というより、しがらみが多すぎて(笑)。それと、現実世界にいると、いろんな〈異世界の物語〉を読むことで、その願望を部分的に叶えられるうえに、数をこなせるので、その方が楽しいです(笑)。

この作品は、3部作の1作目だそうです。
次作はジルとジャックの物語で、この学校に来る前の物語なのだそうです。そちらも楽しみ。

(2020.07.19 読了)

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