『発現』/阿部智里 △

〈八咫烏〉シリーズ阿部智里さんのシリーズ外の第1作。
・・・なんだけど、う~ん、なんだろこれ。私的にはちょっと不完全燃焼だなぁ。
母を自死で亡くした兄妹に『発現』した、怖ろしい幻覚。
その過程と苦しみを追う平成30年パートと、戦争帰りの兄の自死の謎を追う弟の昭和40年パートが交互に語られていく・・・。

う~ん、これねぇ、澤村伊智さんだったら、すんごい怖かったんじゃないかなと思うんですよね(^^;)。そして、オチの無いラストでも「ひょえぇぇ~、怖かったわぁ~」ってビクつけたと思うんですよ。
更に言うとたぶんね、澤村さんなら〈いったん解決、の後に怖さの可能性をあからさまにチラつかせる〉展開にしたかなって気がしますね。
私的には、その方が納得がいったかな~。

ホントに、この作品気に入った人には申し訳ないけど、私には合わなかった。
迫りくる死体少女も、折り重なる死体の山も、怖くなくて、実感がわかない。
リアルな幻覚を見てしまう兄妹としたら、たまったものじゃないのだろうけど、「あ~、この人たち怖いんだろうなぁ」とまでは思うけど、そこから先がなかったのですよ。残念。

昭和40年パートの方も、懸命に「戦地で兄に何があったのか」を追い、「兄の犯した罪(だが戦地では仕方なかったかもしれない)」を推測してしまった痛ましさは感じられたのだけど、今更どうにもできないことだし・・・と思ってしまいました。

そして、二つの物語が出会う最終章(平成31年)、理不尽なことが判明する。
戦地で兄が罪を犯し、そのことに苛まれて自死したことは、悲しいことだけれど致し方ない。
だが、その幻覚?現象?が、娘にも、弟にも、甥にも遺伝?するのは理不尽ではないか。
諦めるしかない、と甥は言う。その現象と生きていくしかないのだと。
兄妹の母は、戦地で罪を犯した男の娘であるという。父から何を聞かされたはずもないのに、幻覚を見る。
お祓いをしても、宗教に頼っても、それは失せることなく、母は自死し、何も知らないはずの兄妹にその幻覚は遺伝した。

幻覚が何なのか分かってホッとした兄と、これからも幻覚と付き合っていかねばならないことに絶望した妹。
彼女は、「死んだ方がマシ」「では死ねばいい」を経て、唐突に「付き合っていくしかない」と腑に落ちたという。

え?ええぇぇぇ?なんで?
・・・わからない。そりゃ、付き合っていくしかないんだろうと思う。
理不尽な遺伝だからと、自死して久しい祖父を責めることも意味がないのだろうとは思う。
全く、救いがない・・・って、なんかホント辛いですよ。
あまりの辛さに、もともとあまり沸いてなかった共感を切り離してしまい、「この物語、なんだったんだろ…」って結果になってしまいました。

(2020.12.02 読了)

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この記事へのコメント

苗坊
2020年12月04日 20:46
こんばんは。
本人たちは何も悪くないのに巻き込まれていくのは読んでいていて切なかったですよね。
続きが気になって読む手は止まらなかったのですが、面白いとは違った気がします。
ただ、八咫烏シリーズ以外の作品もどんどん書いていってほしいなと思いました。
2020年12月04日 21:50
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
怖ろしい幻覚に襲われる理由が、遺伝…ってなんて理不尽なんだろう、救いがないというのが本当につらいラストになりました。

そうですね、八咫烏シリーズ以外にもいろいろ書いて行って欲しいですね。阿部さんの筆力なら、きっと私たちの期待を越えるものを書いてくれるだろうと思っています!