『からくりからくさ』/梨木香歩 ○

梨木香歩は3作目です。前に『りかさん』を読んだ時と、微妙に違います。『りかさん』で感じていた幻想譚的な部分が影を潜め、登場する若い女性達の浅からぬ縁(えにし)の謎解きや、女性達が染色や織物にかける情熱のような信念の物語が描かれています。

『りかさん』が、結構好みにハマっていたので、今回もりかさんの大活躍を期待してたので、ちょっと当てが外れました。りかさんが出てきたのは、最後のほうで、しかもあんな結果になってしまうとは・・・。もちろん、そうなることで、物語そのものやストーリー性の完成度も上がるんですが。何かちょっと残念です~

『からくりからくさ』は、『りかさん』の15年ほど後のお話です。りかさんをくれた祖母が亡くなり、その家で植物染色家になった主人公・蓉子が、留学生のマーガレット、染織の研究をする学生・与希子と紀久の4人で暮らし始めることで、物語は回り始める。りかさんは、祖母を「お浄土送り」に出たまま帰ってこないが、この家での暮らしの中に、溶け込んでいる。

紀久の実家の墓から、りかさんと全く同じ人形が出てきたり、その人形の作り手が与希子の祖先であったり、実は紀久もその人形つくりの血を引いていたり、マーガレットが紀久の恋人と知らずにその男との子供が出来てしまったり、紀久の研究取材が大学の教授に横取りされそうになったりと、これでもか、これでもかというほどに、絡み合う縁と現在の人間関係、そして未来が描かれていて、ちょっと息が詰まりそうになりました。まあ、つまり、水無月・Rのアタマがついていけてないだけなんですが・・・・。

読んでいてつらかったのは、マーガレットと恋人の事を知らされ、内なる葛藤に苦しみ、化学媒染剤を使って「完全な闇」を染め出して欲しいと依頼する紀久。そして、 化学媒染剤を使って、草木に悲鳴を上げさせて色を搾り出す ような手段がとても辛く好めず、でもそれを苦しみながらこなす蓉子と与希子。3人の葛藤が、非常に重くのしかかってきました。染織にかける3人の気持ちが、とてもよく描かれていたんですが、やっぱりつらかったな。

個人的に気に入ってるのは、紀久が研究を横取りされそうになって思い悩んでいたけれど、編集会議で静かに自分の主張を訴えるシーンです。こういう、芯の強い女性って、いいなぁって思います。
あと、マーガレットにが出産し、 「東の子でも西の子でもない新しい赤ん坊生まれた」 という伝言を皆が受け取るシーン。柔らかな生命の、新しい風が吹いた、そんな感じを受けました。

(2007.5.24 読了)

からくりからくさ
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著者:梨木香歩出版社:新潮社サイズ:単行本ページ数:380p発行年月:1999年05月この著者の新着


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