『この庭に ~黒いミンクの話~』/梨木香歩 ○

『りかさん』『からくりからくさ』に微妙に続く、物語のようです。とはいえ、上記2作品とはあまり関わりがなく、『からくりからくさ』で産まれた、マーガレットの子供の見た夢の話、のような、そうでないような・・・。

<あらすじ>
<何か>から逃げるように、この北の地に来た私は、とある家に籠りきり、アルコール漬けの日々を送っていた。アルコールとオイルサーディンのみを摂取するうち、門柱の影にいた少女と、庭で<黒いミンク>を捜すことに。見つからず、家の中で少女と話をするうちに、少女の並みでない言語能力に気味の悪さを覚える。そして、自分自身が「気味が悪い、この子は。何でも見通すようで」と少女時代に言われたことを思い出す。
少女が帰った後、家の中に黒いミンクが現れる。黒いミンクは私が摂取した末に、夢想の中で実体化させたオイルサーディンを襲ったり、私に噛み付いたりする。少女は私を<ミケル>と呼び、「大丈夫」と言い、私は眠りに落ちた。
現実世界に戻り、マーガレットと与希子、そして高熱にうなされていたミケルがいる。ミケルは「自分が大切にしていた黒いミンクの襟巻きはミケルの中にいた」と与希子に言う。

あれ?ええと・・・<私>はミケル?でもミケルは学齢前の子供。学齢前の子供が<アルコール漬けになった自分が夢想の中でオイルサーディンを実体化させ、黒ミンクの襟巻きが生物化しそれを襲う>なんて夢を見るかしらん・・・。いや、でももしかしたら、ミケルは早熟な子供で
~~「気味が悪い、この子は。何でも見通すようで」~~ (本文より引用) などと言われたことで高熱をだし、こんな夢を見てしまったのか。<何か>から逃げていたのは、そういうこと?

いや、そもそも、内容をこじつける必要がないのかも。こういうのは理詰めじゃなく、何となくで捉える方がいいのかな?
『この庭に ~黒いミンクの話~』は、幻想譚なのか?夢語りなのか?、なんてことは解析しなくてもいいのかも。

アルコール漬けの<私>がオイルサーディンを実体化させ、しかも、(缶詰になる際に?それともミンクに襲われて?)失った頭をもう一度得て、~~それぞれてんでに勝手な方向へ頭を付けて嬉々としていた~~ (本文より引用) 、のが非常に可笑しくて、笑ってしまった。挿絵もあるのだけれど、水無月・Rの頭の中で、傾いだ頭をくっつけて嬉々として宙に揺らめくオイルサーディン(ちょっと脂でギトついている(^_^;))が見えてしまったのである。うふふ

挿絵がほとんど白黒なのに、一冊の中で2箇所だけ赤い色が入っていたのが、とても印象的。
文章も、相変らず、美しく、読んでいて、気持ちが落ち着く。さすが、梨木香歩。気楽にさらっと読めて、でもちょっと引っかかる。だから少し考える。でも、考えてもわからないから、そのままでいいや、とあるがままを受け入れる。
そんな風に読みました。

(2007.6.27 読了)
この庭に
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黒いミンクの話 著者:梨木香歩/須藤由希子出版社:理論社サイズ:単行本ページ数:91p発行年月:20


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