『メルカトル』/長野まゆみ ◎

久しぶりに、長野まゆみの幻想系作品です。リアル感の薄い、幻想的で繊細で、美しい物語です。ああ、いいですねぇ、こういうの、大好きです。

あらすじを書こうと思ったんですが、長くなりそうなので、部分的にだけ。
欧羅巴らしき、とある土地の地図収集館に勤め始めた主人公・リュス。彼の周りで、不審な人々が不思議な策略を廻らし始める。地図会社を興した『メルカトル』一族、国民的セクシー女優(30代)、女刑事、人気ファッションモデル(10代)、ドラッグストアのアルバイト少女など。彼らと、孤児であるリュスの関係は?いったい、何人の登場人物が、誰の変装なのか。孤児であるが故に、すべてにおいて控えめで、目立たず淡白に生きる、リュス。そのリュスを巻き込んで渦巻く、不可思議な出来事。誰が本当の事を言っているのか。誰が偽りを語っていて、真実はどこにあるのか?

こういう、そこはかとない浮遊感のある、長野まゆみ作品は、いいですねぇ。日頃の俗世の垢をそぎ落とされるような気持ちがしてきます。登場人物たちの、繊細な美しさ、奥ゆかしさが、非常に、いい。世俗的な押し付けがましさがない、透き通った感じが。

しかも、今回は主人公・リュスと不思議な少女・ダナエのほのかな恋愛が根底に流れています。水無月・Rは小市民で、物語の中の恋愛は出来たらノーマルカップルであって欲しいタイプなので、嬉しかったです。安心して読めたというか・・・(笑)。
ネタバレになりますが、ダナエはファッションモデルのルゥルゥなんだけど、少年少女の憧れのルゥルゥではなく、意固地なダナエに恋心を抱くリシュ、すごくよかった。二人の関係はまだまだだけれど、爽やかで思いやりのある関係が築けるのでは、と何となく思いますね。

(2007.07.01 読了)
メルカトル
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著者:長野まゆみ出版社:大和書房サイズ:単行本ページ数:189p発行年月:2007年04月この著者の


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