「失恋の演算」(『ダ・ヴィンチ』2010年2月号掲載)/有川浩 ◎

一卵性の双子の兄の恋人は、僕らを絶対に見間違わない。見分けてくれる。基準は、僕じゃなくて兄だけれど。
水無月・R大絶賛!読んだら即萌え!萌えの女神降臨!有川浩さんの短編、「失恋の演算」(『ダ・ヴィンチ』2010年2月号掲載)です。
といっても本作は、怒涛の萌え~!きゅんきゅんする~!って感じではなく、いつもの萌え萌え無法地帯にはなりませんでした。その代わり、なんかすっごく清々し~い、さわやかな気持ちになりました。こういうのも、好きです・・・な~んて言うと「水無月・Rは、有川作品なら何でもいいんでしょ?」って突っ込まれそうな気がしますが(笑)。

~~好きな人が手に入らないことを失恋というのなら、僕は最初から失恋していたのだと思う。
何しろ、僕が好きになったのは手に入ってはいけない人だったのだから。~~ (本文より引用)
こんな文章で始まる物語は、最初からちょっと切ない。
誰だって、特別な誰かの唯一の人になりたい、と願っているものなのだから。
親も時として見誤るような双子の僕ら。見分けてくれる人を切望していた僕の前にそんな人が現れたけど、それは、兄の大切な人で。
兄とその恋人に対して複雑な思いを抱えつつ、ぎこちない愛想笑いで迎えた、二人の結婚式。二人からの最大の〈騙し〉に、僕は騙されてあげるのだ。

双子の僕と兄と兄の恋人の3人の、優しい関係が、とてもいい。
見分けてくれる特別な人の唯一になりたいという想いが、あっさりと爽やかに裏切られる事、そして冷静でも情の深い演算。クレバーな兄弟と、兄弟にきちんと向き合える誠実さと優しさのある恋人の、温かい関係性が、ほっと出来る終わり方だった。
僕と兄を見分けてくれる人が欲しいと切望しているのに、それが叶わないのに、清々しい。
何故って、手に入ってはいけない人が手に入らなかったことを安堵出来る、自分を取り戻せたんだから。

物語の冒頭に入った文章が、終わりにもう1度登場する。そしてその後に続けられる文章が、僕の強くなった心をあらわしてるんだと思う。
皆が、優しくて、皆が素敵に温かい。有川さんの描く、こういう筋の通った人々が、私は好きだ。

(2010.05.13 読了)


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