『キケン』/有川浩 ◎

ベタ甘ラブロマじゃないのにッ!
読み始めてすぐに、白旗を盛ッ大に!振り回したくなりました。
いやぁもう、ホント有川浩さんだったら、どんな作品でもいいのか、お前は~!と突っ込まれそうだけど。
タイトル通り『キケン』な【機械制御研究部】に、もうメロメロでした(笑)。
え~と、いつものことですが、ここから先は水無月・Rの無法地帯&大長文&ネタバレあり、が始まりますんで、お付き合い頂ける心の広~い方だけ、どうぞ~(笑)。

あの頃、確かにホントにアホだった(笑)。無駄にしょうもないことに全力投球してた、大学時代のサークルを思い出しました。地味系完全文系大学・男女共学だったけど、サークルは全力でバカな事をやってました。
楽しかった。無意味なまでにバカ全開だったけど、それでも。

本作のいいところは、【機研】の現在進行形じゃないところ、でしたね。私的に。
一番最後に、語り手が今の【機研】は自分たちのものじゃないけど、あの時代はなくなったんじゃない、宝物になったんだ、ってフレーズが、とても沁みました。
かつてあの頃、輝いていた自分たちの時代、という郷愁。でも、郷愁だけでは終わらない、今の自分たちもきちんと存在する。誰も、過去の思い出に縋って燻ぶってなんか、いない。

いやぁ・・・ホント読んでて、すごく楽しかった。上野&大神率いる【機研】の日々が、もちろん私の学生時代と比べてもケタ違いに、楽しい。
皆、自分の持てる力を尽くして、適材適所で大活躍する。バカやってるけど、至極まっとうだなぁと感じ、非常に好感を持てるのである。
目線はすでに、学食のオバちゃん(笑)。
【機研】の子の定食は、こっそりカラアゲが1個多くて、「みんな頑張りなよ、オバちゃん応援してるからね」的な。
いや、最初はさ、【機研】でマネージャー要らんかなぁ、女子扱い一切いらんから・・・と思ってたんだけど、彼らマネージャー要らないもん。ちゃんと自分たちで切り盛り出来てるもんね。お金のことも、部活動計画のことも。
それに、有川さんも「あとがき」
~~全開状態の【機研】を女子は直に観測することができません。~~ (本文より引用)
て書いてましたが、ホントそうだと思います。
なので、私の立ち位置は学食のオバちゃんで・・・(←そういう話じゃない)。

しかし、ホント、どの話も面白くて、ぎゃはぎゃは笑ってしまいました。
なんていうかもう、すんごいリアル。お互いに会話がポンポンはずみ、子供みたいな張り合いであっけなくエスカレートしちゃうところとか、悪意のない悪ノリで周りを巻き込んじゃうところとか、「ある!ある!」の連続。
最初は、元山にトホホの香りを嗅ぎつけてウホウホしてたんですが、途中から「お店の子」がどんどんシッカリしてきちゃって、トホホ萌えというよりは「元山、ツッコミ役&ストッパー役、頑張れ~!」っていう応援になりました。うん、でもこういうキャラ好きだ。周りがぶっちぎっちゃってるときに、ブレーキ役ができるのは貴重な存在だもの。

表紙の漫画見て、〈上野と大神が1回生の時代〉の物語もあるのかな~と思ったら、そうじゃないという(笑)。それはもう、伝説のレベルに達した(たった1年前だけどね)噂話として、学校内に尾鰭がついて流布してただろうし、多分元山や池谷たちは直接詳しい話を聞いたんだと思う。それを踏まえて、この先輩たちについていくと決めて、一緒に活動していったんだから、元山たち後輩もかなりな大物だと思うよ、私は(笑)。

そんな皆が、全力で頑張ってて、しかも歯を食いしばったりしながらも、すっごく楽しそうにやってるのを読んでると、すごく元気が出る。
なんか、いいよ~こういうの。

第1話「部長・上野直也という男」
元山&池谷が【機研】と出会い、全盛期の幕開けたる〈クラブ説明会での爆発炎上〉という大デモンストレーションが行われた。
第2話「副部長・大神宏明の悲劇」
大魔神と呼ばれた男に、お嬢様大学の彼女ができたが、その顛末は。
第3話「三倍にしろ!-前編-」
学祭屋台のレベルを超えたラーメン屋「らぁめんキケン」の準備話。「お店の子」こと元山、頑張る。
第4話「三倍にしろ!-後編-」
伝説の味を初日からフル稼働させた「らぁめんキケン」、大爆走。横槍入るもなんのその、ユナ・ボマー大活躍(笑)。
第5話「勝たんまでも負けん!」
県主催のロボット相撲大会に出場した【機研】。〈自爆〉はあれですか、ガ○ダムネタですか?!
最終話「落ち着け。俺たちは今、」
元山たちにも、後輩ができる。1回生VS2回生の悪ノリから始まった空気銃作成合戦が果てるのはいつか?上野と大神のぎりぎりラインを何とか踏みとどまった【機研】後輩たち。
そして語り手は妻とともに、大学祭へと足を踏み入れる。

あ~!全然だめです、あの面白さは、こんな要約じゃ伝わるわけがないっ!
とってもテンポが良く、物事も怒涛の勢いで進んで行くんで、全部を拾ってあらすじ書くなんて無理!

最後の黒板のインパクト。うう~、これにはホント、泣かされた。アレは・・・ちょっと反則だよぅ~。なんか、黄金期健在!みんな仲間だぜ!って・・・ねぇ。
そしてそのあとに続く元山とその妻の会話が、じんわりと胸に迫って来る。
是非、読んでください。この良さは、読まないと判らない。
バカバカしいことに全力で取り組み、無駄に激しく労力を割く、あの楽しさは。
そんなバカな事をやったことがある人も。まだやったことがない人も。
これからやろうと、待ち構えてる人も。
やる気はなかったけど触発されちゃいそうな人も。
是非、【機研】の皆の黄金期を読んで欲しい。読んで、「ああ、バカだな、いいよな、こういうの」って思って欲しい。
心から、そう思います。

・・・相変わらず、全然物語の中身に触れてないという(笑)。
まあいいや、誰も私のレビューに中身は求めていないから~♪

もちろん、キャラの濃い上野やそのストッパー役として背後にそびえ立つ大魔神・大神の存在も楽しいんだけどやっぱり、内心&実際のツッコミ役な元山が素晴らしいです。
トホホじゃないけど、ややその香りもしつつ、でもしっかり者で(周りがはっちゃけてるから余計に)頑張ってるところが好感度高いですね。
冷静で肝の据わった池谷も、その他のメンバーも、ホントにいい味出してる、それぞれに。
目線が学食のオバちゃんなんで(笑)、おおらかな目で見守る大いなる母性愛で楽しませて頂きました(^_^;)。
そうだわ~、「伝説の味」ラーメン、食べてみたいな、学食のオバちゃんとしては(←まだ引っ張るか)。

どこかで、有川さんのダンナさんは理系、というのを聞いたことがある気がするんですが(でも全然情報ソースが出て来ないから私の妄想かも)、元山のモデルはダンナ様だったらいいなぁ、なんて思ってしまうのですよ。そしてもちろん、その話を面白がって聞いて(取材して)るのは有川さん、と勝手に脳内変換。
より、物語を楽しめてしまいました。
有川さん、男子しか踏み込めない【キケン】の世界のレポート、ありがとうございましたッ!

(2010.07.10 読了)

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