『永遠の森』/菅浩江 △

うう~む。今まで私の読んでた菅浩江さんとちょっと違うなぁ。
読み始めて、自分の「芸術観賞力」の低さに悲しくなりました・・・。
全然わからなかった・・・なんかとっても悲しい・・・。
『永遠の森』は、地球軌道上に据えられた人工小惑星を、丸ごと博物館として美と文化の保存に努める、未来の世界。コンピューターと直接接続する学芸員たちがいる、その博物館では、色々な騒動が巻き起こる。

「ひと」と「アンドロイド(人工知能搭載ロボット)」の境界の曖昧さを切なく哀しく語る、静かな世界観が好きだな~と思ってたんですけど、今回はちょっと違いました。
美のデータベースと直接接続できる学芸員、接続できる範囲のランクは少し下がるがやはり直接接続の出来る学芸員、接続は出来ないけれど学芸員として仕事をする人、そして学芸員じゃないけれど博物館に関係のある人、学芸員の家族など・・・基本的に、この物語に出てくるのは人間。
切なく儚い感じがしなくて、ちょっと残念。

なんていうかな~、芸術を語るのに色んな数値や理論が必要というのは解るんですが、その理論そのものを理解できる(あるいはせめて想像できる)アタマが私にはなかった・・・(T_T)。
それと、主人公・権限Aの直接接続者である学芸員・田代孝弘が、仕事のことには頭を悩ませるのに、妻・美和子の扱いが軽い印象があるのが、どうにも感じが悪くて。新婚さんのはずなのに。どっちかというと、同僚のネネ(権限Bの直接接続者であり、孝弘よりも4つほどバージョンが前の古参)とのやりとりの方が親密で、仕事と家庭を比較しろとは言わないけど、どうなのよって感じで・・・。
そのことは、最後の章で美和子が権限AAの直接接続者になってとある重要な任務に就くこと、そしてそれが夫婦の再確認になることの伏線だったんだけどなぁ・・・なんだかねぇ。

様々な価値のある展示品を各部署が所有権争いしたり、博物館を運営するために研究と観光が天秤に掛けられたりと、美と文化の殿堂の実態というのもなかなかに、生々しい。直接接続者は万能という幻想を持つ普通の人たちに対して、結構地道にお仕事するところを見せたりとか、そういう部分は、面白かったんだけどなぁ。

一つ一つのエピソードは悪くないんだけど、ミステリーとしての謎解きはちょっと物足りないか。タイトルである「永遠の森」の章も、オチは途中で見えてしまったし。とはいえ、読者だから出来る予測ってものかな~。

後半、博物館内のゴタゴタを余計に拡大してしまう孝弘の部署の新人・マシューに至っては鼻もちならないエリート主義者で、他人を見下す姿にはホントイライラさせられました。誰か、こいつを〈ギャフン!〉といわせてやれ!ってずっと思ってましたねぇ・・・。ネネあたりが、やってくれるかと思ったけど、それがなくて残念(笑)。

孝弘の語る「無邪気で気ままな妻・美和子」に反感というよりは哀れを感じていたら、最後の章で大どんでん返し(最新バージョン接続者な上に権限も上、重要任務に就く)が来て、それには感心しました。まあ、私もどっちかという美和子さんのような感覚派だなぁ・・・と思いましたよ。但し、イロイロ足りてない気がするけど(笑)。

(2010.10.12 読了)

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