『マボロシの鳥』/太田光 ○

お笑いコンビ〈爆笑問題〉の太田光さんの、短編小説集。2010年の秋に出版され、話題になっていたこの『マボロシの鳥』ですが、もともとは読む予定じゃなかったんですよね、私。だけど、影絵作家の藤城清治さんが表題作「マボロシの鳥」を絵本化、ということで俄然興味が出まして。絵本ものほうもそのうち読みたいですね(図書館の予約待ちが凄いので当分無理そうですが)。

だけど、まあ…タレント本というとちょっと違うけど、太田さんだから大きく取り上げられたんだよなぁ…という感じがしなくもない。ちょっと微妙感が漂うかな…。良くも悪くも、「太田さん」だなぁ、って感じです。
SFには足りず、ファンタジーにも足りず、童話のようで、教訓込みの説教話のようで、読者をケムに巻こうとしてるような、己を激しく主張してるような。
好きな章もあれば、何を伝えたい物語なのか良くわからない章もあり。。

「荊の姫」
荊に巻きつかれた姫は、待っている。
「タイムカプセル」
タイムカプセルは、世代を超えてつながるが。
「人類諸君!」
人類滅亡の危機に、人類最高峰の頭脳が演説をする。
「ネズミ」
人と、見え方が違う男に、悪魔が寄生しようとする。
「魔女」
魔女狩り。魔女はいるのか。
「マボロシの鳥」
全ての人の憧れ、マボロシの鳥を出す芸人は鳥を失って。
「冬の人形」
親子の関係、失われたものとつながるもの。
「奇跡の雪」
砂漠の地に、雪が降る。聖戦と子供たち。
「地球発……」
地球を離れ行く列車に乗った2人。

べらんめえ口調の語りの「人類諸君!」は、読んでてちょっと疲れてしまった…。それと、人類滅亡の危機に際して、すべての人が他力本願…ってのがもうなんだか納得いかない。
良かったのは「荊の姫」かな。姫が待っていた人、姫を世話していた老婆、そして姫の正体。美しい童話のようだった。
やはり表題作「マボロシの鳥」もいい。人によって見え方が違うマボロシの鳥は、幸せなのかもしれないし、夢なのかもしれない。

それぞれの物語に共通するのは、「人は、世界は、繋がっている」ということだと思った。ただし、それは良くも悪くも。そしてその良し悪しさえも、立場によって反転してしまう。
そんな、不思議で猥雑な世界を、さまよう旅をしました。

(2011.11.18 読了)

マボロシの鳥
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太田光 新潮社発行年月:2010年10月 ページ数:286p サイズ:単行本 ISBN:978410


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